Backlog値上げにどう対応するか — 新料金の整理とRedmine移行という選択肢
Backlogは2027年1月1日から新プラン体系へ移行し、無制限ユーザーを維持するには報道ベースで月額約2.3倍のコスト増が見込まれます。新旧プランの料金比較に加え、オープンソースのRedmineへセルフホスト移行する場合のコスト構造とデータ移行の実務的な制約についても中立的な視点で整理して解説します。
プロジェクト管理ツール「Backlog」を提供するヌーラボが、2027年1月1日から新しい料金体系を適用すると発表しました。現行の4プランは3プランに再編され、既存契約は次回更新時に順次新プランへ移行します。ITmediaの報道(2026年8月27日)によれば、現行のスタンダードプラン(ユーザー無制限・月1万6000円)でユーザー無制限を維持するには、月3万6300円のビジネスプランへの移行が必要になる見込みで、これは約2.3倍の負担増にあたります。本記事では新料金の内容を整理したうえで、オープンソースのプロジェクト管理ツール「Redmine」へのセルフホスト移行という選択肢についても、データ移行の実務的な制約を含めて中立的に解説します。
値上げ後の選択肢 — 判断フロー
新料金への対応は、大きく4つの選択肢に整理できます。1つ目は、利用ユーザー数が15人以下であれば、月2万1000円のエコノミープランへ変更し、無制限ユーザーを諦めるという選択です。2つ目は、ユーザー無制限が必要かつ予算が許すなら、月3万6300円のビジネスプランへそのまま移行し、SaaSとしての手軽さやサポート体制を維持する選択です。3つ目は、ライセンス費用を抑えたい、かつ自社にサーバー運用の体制(または信頼できるITパートナー)があるなら、オープンソースのRedmineをセルフホストする選択です。4つ目は、自社に運用体制がない場合に、Redmineの構築・運用を外部に委託する形や、Linear・Jira・Asana・Notionの比較記事で紹介されているような他のプロジェクト管理SaaSへの乗り換えを検討する選択です。以下、それぞれの内容を順に見ていきます。

新旧プランの整理
ヌーラボの公式発表によれば、2027年1月1日から新プラン体系が適用され、現行の4プラン(フリー・スタンダード・プレミアム・プラチナ)は、エコノミー・ビジネス・プロフェッショナルの3プランに統合されます。月払いはクレジットカード払いのみとなり、3ヶ月払い・6ヶ月払いは廃止されます。ヌーラボは改定理由として、業務のプロジェクト化が進み組織横断のタスク管理や情報一元化のニーズが高まる中、継続的な機能開発とサービス品質向上のためとしています。既存契約は次回更新時に順次新プランへ移行するため、即座に請求額が変わるわけではありません。
| プラン | 月払い | 年払い換算/月 | ユーザー数 | プロジェクト数 | ストレージ |
|---|---|---|---|---|---|
| エコノミー | 21,000円 | 19,950円 | 15人まで | 30 | 30GB |
| ビジネス | 36,300円 | 34,485円 | 無制限 | 無制限 | 100GB |
| プロフェッショナル | 100,000円 | 95,000円 | 無制限 | 無制限 | 300GB |
現行プランからの自動移行先も公式に案内されており、現行プレミアムはビジネスへ、現行プラチナはプロフェッショナルへ自動移行するとされています。一方、ITmediaの報道(2026年8月27日)では、現行スタンダードプラン(ユーザー無制限・月1万6000円)を使うユーザーが無制限を維持するにはビジネスプラン(月3万6300円)への移行が必要になり、約2.3倍の値上げになると伝えられています。SNS上では「値上げエグすぎ」といった反応も見られたとのことです。なお、2023年1月にも最大50%の料金改定が行われており、今回が初めての大幅改定ではありません。詳しい移行マッピングはヌーラボの公式発表ページで確認できます。
Redmineとは
Redmineは、GPLv2ライセンスのオープンソース・プロジェクト管理ツールです。チケット(課題)管理、ガントチャート、Wiki、リポジトリ連携、カスタムフィールドなどBacklogと重なる機能を備えており、ライセンス費用は無料です。2026年8月時点では7.0系・6.1系・6.0系が並行してメンテナンスされており、開発コミュニティによる更新が続いています。BacklogのようなSaaSとは異なり、自社のサーバーやVPS上にセルフホストして利用する形になります。
コスト構造はBacklogと大きく異なります。ライセンス費用は無料ですが、サーバー費用(VPSであれば月数千円程度が目安)に加えて、構築・アップデート・バックアップといった運用の手間が発生します。つまり「SaaSの月額利用料」が「自前運用の手間」に置き換わる構造であり、どちらが総合的に安くなるかは、自社にどれだけ運用の体制があるかによって変わります。公式サイトはredmine.orgで、ドキュメントやプラグインの情報が公開されています。
コスト比較 — ビジネス・Redmine・エコノミー
| 選択肢 | ライセンス/月額 | 追加コスト | 手間 |
|---|---|---|---|
| Backlogビジネス | 36,300円(公式値) | なし | ほぼゼロ(SaaSとして運用) |
| Redmineセルフホスト | 0円 | VPS費用の目安は月数千円程度 | 構築・アップデート・バックアップ等の運用が自社(またはパートナー)負担 |
| Backlogエコノミー | 21,000円(15人まで) | なし | ほぼゼロ(ただしユーザー数上限あり) |
Backlog→Redmineへのデータ移行の現実
移行を検討するうえで正直に押さえておきたいのは、ヌーラボが公式に用意している移行ツール(Redmineインポーター)は「Redmine→Backlog」方向のみだという点です。逆方向、つまりBacklogからRedmineへ移行するための公式ツールは用意されていません。
現実的な移行方法としては、BacklogのAPI(課題・コメント・添付ファイルの取得が可能)でデータをエクスポートし、RedmineのREST API、あるいはRedmineが標準サポートする課題のCSVインポート機能を使って投入するスクリプトを自作する方法が考えられます。対象のデータを絞り込んだうえで、手動でCSVを作成して移行する方法もあります。
- 移行しやすいもの: 課題のタイトル・説明・状態・担当者・期限・カスタム属性(ただしマッピング設計は必要)
- 移行が難しいもの: コメントの投稿者・タイムスタンプの完全な再現
- 移行が難しいもの: 添付ファイルの一括移行
- 移行が難しいもの: Wiki(記法がBacklog記法とTextile/Markdownで異なる)
- 移行が難しいもの: 通知設定やGit連携などの周辺設定
実務上の定石としては、過去の全履歴を完璧に移行することにこだわらず、進行中の案件だけを新環境で作り直し、過去のデータはBacklog側のエクスポートやアーカイブとして参照用に残す、という割り切りが総コストを下げやすいとされています。切り替え時には一定期間の並行運用を設け、Backlogを参照用に残しながらRedmine側の運用を軌道に乗せてから完全移行する進め方も現実的です。
移行を成功させる進め方
- 対象データの棚卸し: どのプロジェクト・どの期間のデータを移行対象とするか、優先順位を決める
- 移行方式の決定: API連携によるスクリプト移行か、CSVインポートによる手動移行かを選ぶ
- テスト移行: 一部のプロジェクトで試験的に移行し、フィールドのマッピングや文字化け・記法崩れを確認する
- 並行運用: 一定期間BacklogとRedmineを併用し、業務に支障が出ないか検証する
- 切替: 運用が安定した時点でRedmineへ完全移行し、Backlog側はアーカイブとして保持する
どんな会社がどれを選ぶべきか
利用ユーザーが15人以下で収まる組織であれば、エコノミープラン(月2万1000円)への変更で対応できる可能性があります。ユーザー無制限が必要で、値上げ後の予算も許容できるなら、ビジネスプランに留まり、SaaSとしての手軽さ・サポート・安定運用をそのまま享受するのも合理的な選択です。実際、Backlogに残ることが最もシンプルでリスクの少ない選択肢である組織も少なくありません。一方、ライセンス費用を抑えたい、かつ自社またはパートナーにサーバー運用の体制があるなら、Redmineセルフホストが選択肢に入ります。運用体制がない場合は、Redmineの構築・運用を外部に委託する形や、他のプロジェクト管理SaaSへの乗り換えも比較対象になります。この機会に、こうしたサブスクリプション型サービス全般のコストを見直したい場合は、SaaSサブスクのコスト見直しガイドも参考になります。
よくある質問
Backlogの値上げはいつから適用されますか?
ヌーラボの公式発表によれば、2027年1月1日から新しいプラン体系・新料金が適用されます。既存契約は次回更新時に順次新プランへ移行するため、実際に適用される時期は契約の更新タイミングによって異なります。
Redmineは本当に無料で使えますか?
Redmine自体はGPLv2ライセンスのオープンソースソフトウェアで、ライセンス費用はかかりません。ただし、サーバー費用(VPSなら月数千円程度が目安)や、構築・アップデート・バックアップといった運用の手間は別途発生します。
BacklogのデータはそのままRedmineに移せますか?
完全な移行は簡単ではありません。ヌーラボが公式に提供している移行ツールはRedmineからBacklogへの方向のみで、Backlog→Redmine方向の公式ツールは用意されていません。API連携やCSVインポートを使った移行スクリプトを自作する必要があり、コメントの投稿者・タイムスタンプやWikiの記法、添付ファイルの一括移行などは特に割り切りが必要です。
利用ユーザーが15人以下の場合はどうすればいいですか?
15人以下であれば、月2万1000円のエコノミープランへ変更することで、無制限プランより低いコストで利用を続けられる可能性があります。ただしプロジェクト数は30、ストレージは30GBという上限がある点は確認が必要です。
まとめ
Backlogの新料金は2027年1月1日から適用され、無制限ユーザーを維持する場合は報道ベースで約2.3倍の負担増になる見込みです。エコノミープランへの変更、ビジネスプランへの移行、Redmineへのセルフホスト移行、外部委託や他ツールへの乗り換えという4つの選択肢にはそれぞれ一長一短があります。特にRedmineへの移行は、公式の移行ツールが用意されていない方向であることを踏まえ、データ移行の手間とコストを事前に見積もったうえで判断することが重要です。
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