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株式会社オブライト
Business DX2026-08-02約8分で読めます

経費精算システムの開発費用 — 既製サービスと自社開発の相場

経費精算システムの開発費用を解説。既製SaaSで足りるケースと自社開発が向くケースの違い、スマホOCR・交通系ICカード連携・電子帳簿保存法のスキャナ保存制度対応といった論点も整理する。費用は申請件数や連携先システムの数により大きく変動するため、発注前に複数社から見積もりを取り比較することを推奨する。


経費精算システムとは

経費精算システムとは、従業員が立て替えた交通費や交際費、出張費などの申請から、上長・経理による承認、会計システムへの仕訳連携、振込データの作成までを一元的に電子化する仕組みを指す。紙の精算書や領収書の糊付け、Excelでの手集計を置き換え、月末の経理業務の負荷や申請漏れ・二重請求を減らすことを目的とする。近年はクラウド型の経費精算SaaSが数多く登場しており、月額数百円/ユーザー程度から利用できる既製サービスで多くの中小企業の経費精算業務はカバーできるようになっている。そのため開発費用を検討する前に、まず既製サービスで自社の精算フローが実現できないかを確認することが出発点になる。それでもなお自社開発やカスタマイズが必要になるのは、独自の経費規定チェックや原価管理システムとの一体運用が求められる場合である。

経費精算システムに求められる典型的な機能

- 交通系ICカード・法人カード連携: SuicaなどのICカードやコーポレートカードの利用明細を自動取り込みし手入力を減らす
- レシート・領収書のスマホOCR読み取り: スマートフォンで撮影するだけで金額・日付・店舗名を自動認識し申請データ化する
- 経路検索・交通費の自動計算: 出発地と到着地から運賃を自動算出し、区間の重複や不正な二重請求を防止する
- 承認ワークフロー: 上長・経理による多段階承認、金額上限や規定違反の自動アラート
- 仕訳・会計システム連携: 承認済みデータを勘定科目へ自動仕訳し会計ソフトへ連携する
- 電子帳簿保存法(スキャナ保存制度)対応: 撮影したレシート画像を要件を満たした形で保存し原本を破棄できるようにする

実現方法の3段階と費用レンジ

経費精算システムの実現方法も大きく3段階に分けられる。標準的な立替経費・交通費精算であれば既製SaaSで完結することが多く、独自の経費規定や基幹システムとの一体運用が求められるほど、カスタマイズや自社開発の必要性が高まる。

実現方法概要初期費用の目安月額・保守費用の目安
1. 既製SaaS利用型経費精算SaaSを契約し標準機能の範囲でOCR・承認フローを運用0〜10万円程度(初期設定費用)300円〜800円程度/ユーザー(月額)
2. SaaSカスタマイズ・API連携型既製SaaSをベースに法人カード・会計・人事システムとAPI連携し独自の規定チェックを追加30万〜150万円程度1万〜8万円程度
3. 自社開発(基幹一体型)独自の経費規定・原価管理システムと一体で経費精算を開発300万〜1000万円程度、規模により超える場合も保守費用として初期費用の10〜15%程度/年が目安

上記はあくまで一般的な目安であり、実際の費用は申請件数や連携先の数によって大きく変動する。承認フローの設計思想は、請求書発行システムの開発費用で扱う入金消込や承認の考え方とも共通する部分が多く、あわせて確認すると費用感がつかみやすい。

既製サービスで足りるケース・自社開発が向くケース

多くの中小企業にとっては、既製の経費精算SaaSにスマホOCRと法人カード連携を組み合わせるだけで十分に運用できる。承認フローの電子化そのものについてはワークフロー・電子稟議システムの開発費用でも詳しく扱っているため、経費精算と合わせて承認基盤を検討している企業は参照してほしい。一方で、プロジェクト別の原価管理と経費を一体で集計したい企業や、業界特有の複雑な精算規定(現場手当・日当の自動計算など)を持つ企業では、既製サービスの標準機能では対応しきれず、カスタマイズや自社開発を検討する余地が生まれる。開発に進む前に、既製サービスの上位プランやアドオン機能で要件を満たせないか改めて確認することが、無駄な開発費用を避ける近道になる。

電子帳簿保存法・インボイス制度との関係

経費精算システムを検討する際は、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度への対応も避けて通れない論点である。スマートフォンで撮影したレシート画像を原本の代わりとして保存するには、タイムスタンプの付与や訂正・削除履歴の記録など一定の要件を満たす必要がある。インボイス制度(適格請求書等保存方式)との関係についてはインボイス制度の実務運用で詳しく解説しているため、ここでは開発費用に影響する範囲にとどめると、取引先が適格請求書発行事業者かどうかの自動判定や、経費区分ごとの仕入税額控除の要否判定をシステムに組み込む場合は、見積もりの段階でその範囲を明確にしておく必要がある。

導入までの流れと期間

既製SaaSであれば、申請フォームの作成や承認ルートの設定を中心に、契約から数週間程度で運用を開始できることが多い。SaaSカスタマイズ・API連携型では、会計システムとの連携テストや既存データの移行を含めて1〜3か月程度、自社開発(基幹一体型)では要件定義から本稼働まで半年〜1年程度を見込んでおくのが現実的である。特に経費精算は全従業員が日常的に利用するシステムであるため、一部部署での試験運用を経てから全社展開するステップを挟むと、現場の使い勝手に関する不満を運用開始後に大きく減らせる。

費用が変わる主な要因

- 申請件数・利用人数: ユーザー課金型SaaSは人数に比例して月額が増え、申請件数が多いほど処理負荷への配慮が必要になる
- OCRの精度要件: 手書き領収書や海外発行の領収書まで高精度で読み取りたい場合は上位プランや個別チューニングが必要になる
- 交通系ICカード・法人カードの連携先の数: 対応するカード会社・交通事業者が増えるほど連携設計とテストの工数が増える
- 経費規定チェックの複雑さ: 上限額・対象範囲・役職別の規定が細かいほど承認ロジックの開発工数が増える
- 会計・原価管理システムとの連携範囲: 勘定科目やプロジェクトコードへの仕訳をどこまで自動化するかで費用が変わる
- 電子帳簿保存法対応の厳密さ: スキャナ保存要件をどこまでシステムで自動化するかによって費用が変わる

失敗しやすいポイント

経費精算システムの導入でよくある失敗は、既製SaaSの標準機能を確認しないまま自社開発の見積もりを先に取ってしまい、実際には既製サービスで十分だったと後から気づくケースである。逆に、既製SaaSを選んだものの自社の経費規定が特殊で、結局は申請のたびに手作業での確認が発生し、紙の運用とほとんど変わらない状態になってしまうケースもある。いずれも、導入前に自社の経費規定・承認ルート・連携が必要なシステムを棚卸しし、それを満たせる既製サービスがあるかを具体的に検証してから進めることで避けられる。

発注前チェックリスト

- 現状の経費規定(上限額・対象範囲・役職別ルール)を文書化できているか
- 交通系ICカード・法人カードのうち、どの発行会社と連携が必要かを洗い出したか
- 会計システム・原価管理システムとの連携要件(勘定科目・プロジェクトコード)を整理したか
- スマホOCRで読み取りたい証憑の種類(手書き・海外発行含むか)を明確にしたか
- 電子帳簿保存法のスキャナ保存要件への対応範囲を確認したか
- 全社展開前に試験運用を行う部署・期間を決めているか
- 複数社から見積もりを取り、初期費用と月額・保守費用の両方を比較しているか

よくある質問

既製の経費精算SaaSと自社開発、どちらを選ぶべきですか?

立替経費や交通費の申請・承認・会計連携といった標準的な業務であれば、既製SaaSで十分なことが多い。プロジェクト別の原価管理と一体化したい、業界特有の複雑な精算規定を自動化したいといった要件が必須の場合に限り、カスタマイズや自社開発を検討するのが費用対効果の面でも現実的である。

経費精算SaaSの月額はどのくらいかかりますか?

ユーザー課金型が一般的で、1ユーザーあたり月300円〜800円程度が目安になる。全社導入すると利用人数に比例して月額が積み上がるため、実際に申請・承認を行う人数で試算することが重要である。小規模事業者向けの無料プランを持つサービスもある。

スマホでのレシート撮影OCRはどこまで自動化できますか?

印字されたレシートであれば金額・日付・店舗名の自動認識精度は高いが、手書き領収書や海外発行の領収書は誤読が発生しやすく、確認作業が残ることが多い。高精度なOCRを求める場合は上位プランの選定や個別チューニングが必要になる場合がある。

電子帳簿保存法のスキャナ保存に対応するには追加費用がかかりますか?

多くの既製SaaSはスキャナ保存制度の要件(タイムスタンプ付与・訂正削除履歴の記録など)を標準機能として備えているため、追加費用がかからないことが多い。自社開発の場合はこれらの要件をシステム仕様に組み込む工数が発生するため、見積もり段階で対応範囲を確認しておく必要がある。

まとめ

経費精算システムの開発費用は、既製SaaSをそのまま利用する場合であれば1ユーザーあたり月300円程度から始められる一方、独自の経費規定や原価管理システムと一体開発する自社開発では1000万円を超える場合もあり、実現方法によって幅が大きい。多くの中小企業ではまず既製サービスのスマホOCR・IC カード連携・承認フローで要件を満たせるかを確認し、それでも足りない部分に絞って開発・カスタマイズを検討するのが費用を抑える現実的な進め方である。費用は要件により変動するため、複数社から見積もりを取って比較することをおすすめする。

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