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株式会社オブライト
Business DX2026-07-09

運送・物流の日報・配車・請求のデジタル化

運送・物流業の事務負担(運行日報・配車計画・運賃計算や請求)の現状をドライバー不足の背景とともに整理し、手作業・汎用アプリ・専用システムを比較しながらデジタル化の進め方を中立的な視点で解説する。


運送・物流業における事務DXとは

運送・物流業における事務DXとは、ドライバーが記入する運行日報、配車担当者が組む配車計画、そして荷主ごとに異なる運賃計算・請求業務といった事務作業を、手作業中心の運用からデジタルツールを活用した運用へ移行する取り組みを指す。ドライバー不足が進む中、限られた人員で事務を回すための手段として関心が高まっている。

現状:ドライバー不足と事務負担が重なる物流業界

トラック運送業では、運転時間の上限規制強化などを背景に、限られた稼働時間の中でいかに効率よく配送を行うかが課題として意識されるようになっている。あわせて、運行日報の記入・確認、配車表の作成、請求書の発行といった事務作業も、ドライバーや配車担当者の限られた時間の中で処理する必要がある。

こうした事務負担は、ドライバー不足という業界全体の課題と切り離せない関係にある。事務作業に時間を取られることで、本来の運転業務や休息時間が圧迫される懸念もあり、事務の効率化は労務管理の観点からも重要性が指摘されている。特に配車担当者を1人で兼務している会社では、繁忙期に配車調整と請求処理が同時に立て込み、対応が後手に回りやすいという声も聞かれる。人手不足対策の全体像は中小企業の人手不足対策ガイドで整理している。

課題の構造:運行日報・配車計画・運賃計算という3つの負担

運送・物流業の事務負担は、日々発生する「運行日報」、日次・週次で組まれる「配車計画」、荷主ごとに条件が異なる「運賃計算・請求」の3つに大別できる。それぞれ関わる担当者や必要な情報が異なるため、業務ごとに適した対応を検討することが求められる。

- 運行日報: 出発・到着時刻、走行距離、休憩時間、点呼記録などを記録する。手書きの帳票では転記ミスや記入漏れが起こりやすい
- 配車計画: 車両・ドライバーの空き状況、荷物量、配送先の地理的な条件を踏まえて組む必要があり、担当者の経験に依存しやすい
- 運賃計算・請求: 荷主ごとに異なる運賃体系や燃料サーチャージなどを踏まえて計算し、請求書を発行する必要があり、確認作業に時間がかかりやすい

手作業・汎用アプリ・専用システムの中立比較

これらの事務負担への対応方法は、「紙・電話・目視による手作業」「汎用の配車アプリやスプレッドシートの活用」「運送業向け専用システムの導入」の3つに整理できる。会社の車両台数や取引先の数によって、適した方法は異なる。

方式初期費用配車の効率性運賃計算・請求拡張性
手作業(紙・電話・ホワイトボード)ほぼなし担当者の経験に依存手計算・手入力が中心低い(属人化しやすい)
汎用アプリ・スプレッドシート低い一定の効率化が見込める計算式の設定で対応可能中程度(設計次第)
運送業向け専用システム中〜高い空き車両・ドライバーの可視化に対応する製品が多い運賃体系に応じた自動計算に対応しやすい高い(日報・請求と連携しやすい)

手作業は導入コストがかからず、少数の車両であれば担当者の経験でカバーできる場合もあるが、車両数や取引先が増えるほど属人化のリスクが高まる。汎用アプリやスプレッドシートは低コストで始めやすい一方、運賃体系が複雑になると計算式の管理が煩雑になりやすい。専用システムは初期費用がかかるものの、日報・配車・請求を連携させて管理できる点が特徴となる。事務作業そのものを外部に委託する選択肢についてはバックオフィスBPOの基礎知識でも解説している。

デジタル化を進める実務手順

1. まず1つの業務(例:運行日報の記録のみ)からデジタル化を試みる
2. ドライバー・配車担当者が使いやすい入力方法(スマホアプリ・音声入力等)を選ぶ
3. 少数の車両・路線で試験運用し、記入や確認にかかる時間の変化を確認する
4. 現場の意見をもとに項目や運用ルールを調整する
5. 問題がなければ対象車両・業務を段階的に広げる

一度に全車両・全業務を切り替えるのではなく、限られた範囲で試すことで、システムが実際の運行実態に合っているかを確認しながら進められる。特に運行日報は法令に関わる記録項目を含むため、試験運用の段階で記録漏れがないかを丁寧に確認することが望ましい。

小規模運送会社での運用の工夫

車両台数が少ない小規模な運送会社では、専用システムの導入前に、まず運行日報や配車表の様式を標準化し、記入ルールを明確にすることが土台になる場合がある。事務作業の一部を外部委託と組み合わせることで、社内の担当者数を増やさずに事務負担を分散する方法も選択肢として挙げられる。請求業務のように定型化しやすい作業から外部委託を検討し、配車のように現場の状況判断が必要な業務は社内に残す、といった切り分け方も考えられる。

- 運行日報はドライバーが移動中でも入力しやすい様式にする
- 配車計画は空き車両・ドライバーの情報を一覧化し、担当者以外でも把握できるようにする
- 運賃計算は荷主ごとの条件を一覧表として整理し、属人化を防ぐ
- 請求書発行のタイミングをルール化し、確認漏れを防ぐ

よくある質問

運行日報のデジタル化は法令対応にも関わるか?

運行日報には点呼記録や乗務時間など、労務管理や安全運行の観点から記録が求められる項目が含まれる。デジタル化する場合も、必要な記録項目が漏れなく残る形式であるかを確認することが前提になる。

配車計画のデジタル化はどの程度の車両数から検討すべきか?

明確な目安があるわけではないが、車両数や取引先が増え、担当者の経験や記憶だけでは配車の全体像を把握しにくくなってきたと感じる段階が、見直しを検討する一つのタイミングとして挙げられる。

運賃計算のミスを減らすにはどうすればよいか?

荷主ごとの運賃体系や割増条件を一覧表として整理し、計算のルールを属人化させないことが基本になる。スプレッドシートの数式や専用システムのマスタ設定として管理することで、担当者が変わっても計算基準を維持しやすくなる。

まとめ

運送・物流業の事務DXは、運行日報・配車計画・運賃計算という性質の異なる3つの業務を切り分けて捉え、自社の車両台数や取引先の状況に合った方法を選ぶことが出発点になる。ドライバー不足が続く中で、事務負担を軽減し、運転業務や休息時間を確保しやすくする取り組みとして、段階的なデジタル化の検討が進められている。どの方法を選ぶ場合も、記録項目や運賃条件を担当者個人の経験だけに依存させず、誰が見ても同じ基準で確認できる状態を整えておくことが、長期的な運用の安定につながる。

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