Mercury 2.5とは?拡散LLMの速度と料金を解説
Mercury 2.5はInceptionが2026年9月8日発表の拡散型LLM。速度1,107トークン/秒、料金は入力100万$0.20・出力$0.75、ローンチ価格は80%オフの$0.04/$0.15。コンテキスト260K・最大出力65,536。オープンウェイトなくAPIのみで提供し既存モデルとの違いを整理。
Mercury 2.5は、Inception(Inception Labs)が2026年9月8日に発表した拡散型LLM(diffusion LLM/dLLM)だ。広く入手可能なNVIDIA GPU上での計測で生成速度1,107トークン/秒を公称し、前世代Mercury 2比で「知能40%向上」を主張する、コスト最適化帯のフロンティアモデルに位置づけられる。オープンウェイトは公開されておらず、Inception APIやOpenRouter、Basetenを通じたAPI提供のみとなる。
拡散LLMとは何が違うのか
GPTやClaudeなど一般的な大規模言語モデルは「自己回帰(autoregressive)」型で、文章を左から右へ1トークンずつ順番に生成する。これに対し拡散LLMは、画像生成の拡散モデルと同様の発想で、出力全体(あるいはブロック単位)をノイズの多い状態から始め、複数トークンを並列に生成しながら反復的に精緻化していく方式を取る。
この仕組みの利点は、1トークンずつ逐次生成する自己回帰モデルに比べて理論上の並列度が高く、低レイテンシでの応答が狙いやすい点にある。一方で、既存の自己回帰モデル向けに最適化されたツールチェーンや推論基盤との相性、長い文章を通じた厳密な逐次的一貫性の担保は論点になりやすい。関連するGoogleの拡散型モデルについては「DiffusionGemmaの解説記事」も参照してほしい。

スペック早見表
| 項目 | Mercury 2.5 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月8日 |
| 発表元 | Inception(Inception Labs) |
| 生成速度 | 1,107 tokens/sec(広く入手可能なNVIDIA GPU上、公式発表値) |
| コンテキストウィンドウ | 260,000トークン |
| 最大出力トークン | 65,536トークン |
| 標準料金 | 入力$0.20/出力$0.75(各100万トークンあたり) |
| ローンチ促進価格 | 入力$0.04/出力$0.15(標準比80%オフ) |
| キャッシュ読み出し料金 | $0.004/100万トークン |
| オープンウェイト | なし(API提供のみ) |
| 提供形態 | Inception API/OpenRouter/Baseten(OpenAI互換エンドポイント) |
料金の読み方:標準価格とローンチ価格を混同しない
Mercury 2.5の料金には「標準価格(入力$0.20/出力$0.75、各100万トークンあたり)」と「ローンチ促進価格(80%オフの入力$0.04/出力$0.15)」の2種類がある点に注意したい。促進価格は期間限定の性質を持つキャンペーン価格であり、恒久的な価格設定として扱うべきではない。API連携や見積もりを行う際は、どちらの単価を前提にしているかを明示し、促進価格終了後のコスト試算も並行して行うことが望ましい。
アクセス方法
Mercury 2.5はInception公式APIのほか、OpenRouter・Basetenといったモデルアグリゲーター経由でも利用できる。エンドポイントはOpenAI互換の仕様で提供されるため、OpenAI SDKや既存のOpenAI互換クライアントのベースURLとAPIキー、モデル名を差し替えるだけで接続できるのが特徴だ。主なポイントは以下の通り。
・Inception公式APIまたはOpenRouter/Basetenのいずれかを選択可能
・OpenAI SDK互換エンドポイントのため既存コードの改修は最小限で済む
・並列ツール呼び出し(parallel tool calling)とスキーマ準拠のJSON出力に対応
・reasoningレベルは用途に応じて可変(tunable)に設定できる
・エンタープライズ向けには専有キャパシティのオプションも用意されている
既存モデルとの違い(比較)
| 比較軸 | Mercury 2.5 | Mercury 2(前世代) | DiffusionGemma(拡散系) | 一般的な低価格帯の自己回帰モデル |
|---|---|---|---|---|
| アーキテクチャ | 拡散型 | 拡散型 | 拡散型 | 自己回帰型 |
| 生成速度 | 1,107 tokens/sec(公式値) | 非公開 | 非公開 | モデルにより幅があり非公開 |
| 知能(自社比) | Mercury 2比40%向上と公称 | 基準 | 非公開 | 非公開 |
| 標準料金(入力/100万トークン) | $0.20 | 非公開 | 非公開 | モデルにより幅があり非公開 |
| オープンウェイト | なし | 非公開 | あり(Google公開) | モデルによる |
| 主な用途 | 低レイテンシ応答・エージェント処理 | 同左(前世代) | テキスト拡散の研究・検証用途 | 汎用チャット・軽量タスク |
表の通り、Mercury 2.5固有の標準ベンチマークスコアは本稿執筆時点で公表されていない。「知能40%向上」はInceptionによる自社比の定性的な主張であり、第三者機関によるベンチマーク結果を伴う数値ではない点に留意したい。GPT系列の料金・ベンチマーク動向は「GPT-6 Astraの解説記事」、Meta系列は「Muse Spark 1.3の解説記事」で個別に整理している。
どんな用途に向くか/向かないか
生成速度の速さを活かせるのは、チャットUIでの体感速度を重視する補完・提案表示や、エージェントがツール呼び出しを何度も往復させるループ処理など、低レイテンシが価値に直結する場面だ。並列ツール呼び出しとスキーマ準拠JSON出力への対応も、こうしたエージェント用途との親和性を後押しする。
一方で、長大な文章を通じた厳密な逐次的論理展開や、既存の自己回帰前提で構築された評価基盤・プロンプトエンジニアリング資産をそのまま流用したい場合は、拡散型アーキテクチャ特有の挙動差を踏まえた個別の検証が必要になる。標準ベンチマークの個別スコアが公表されていない現状では、自社ユースケースでの実測評価を挟むことが望ましい。
現時点の注意点
・標準的なベンチマークの個別スコアは本稿執筆時点で公表されていない
・オープンウェイトは公開されておらず、ローカル実行や自社ホスティングはできない
・ローンチ促進価格(80%オフ)は期間限定の性質を持ち、終了後は標準価格に戻る可能性がある
・API提供のみのため、特定ベンダーへの依存(ベンダーロックイン)リスクを考慮した設計が必要
Mercury 2.5とは何ですか?
Inception(Inception Labs)が2026年9月8日に発表した拡散型LLM(diffusion LLM)です。複数トークンを並列に生成・精緻化する方式を採用し、広く入手可能なNVIDIA GPU上で1,107 tokens/secの生成速度を公称しています。
Mercury 2.5の料金はいくらですか?
標準料金は入力100万トークンあたり$0.20、出力$0.75です。ローンチ促進価格として80%オフの入力$0.04/出力$0.15も提供されていますが、期間限定の性質を持つ点に注意が必要です。キャッシュ読み出しは100万トークンあたり$0.004です。
拡散LLMと従来のLLM(自己回帰型)はどう違いますか?
自己回帰型は文章を左から右へ1トークンずつ順番に生成するのに対し、拡散LLMは出力全体を反復的に精緻化しながら複数トークンを並列に生成します。理論上は並列度が高く低レイテンシに向く一方、長文の厳密な逐次的一貫性は論点になります。
Mercury 2.5はローカル環境で動かせますか?
動かせません。Mercury 2.5はオープンウェイトを公開しておらず、Inception API・OpenRouter・Basetenを通じたAPI提供のみとなっています。
どこからMercury 2.5にアクセスできますか?
Inception公式API、OpenRouter、Basetenの3経路から利用できます。いずれもOpenAI互換エンドポイントを提供しており、既存のOpenAI SDKベースのコードから接続しやすい設計です。
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