本文へスキップ
株式会社オブライト
Software Development2026-08-24約9分で読めます

OpenLogiとは — Logi Options+の代替となるRust製・ローカルファーストなロジクールデバイス管理ツ

ール

OpenLogiは、ロジクール製マウス・キーボード・Webカメラをアカウント不要・クラウド同期なしで管理できるRust製OSSツール。純正Logi Options+との違いと導入前の注意点を整理(2026年8月時点)。


OpenLogiは、ロジクール製のマウス・キーボード・Webカメラを管理するRust製のオープンソースツールです。ネイティブGUIフレームワークGPUIで作られており、アカウント登録もクラウド同期も不要、設定は手元のTOMLファイル1つに収まります。純正の Logi Options+ がクラウドアカウントと同期を前提にしているのに対し、OpenLogiは「ローカルで完結する」という思想を最初から明言している点が決定的な違いです。技術者や情シス担当者から見れば、社用PCに常駐アプリを入れる際の説明責任を果たしやすいツール、とも言えます。

何ができるか

OpenLogiはHID++対応デバイス(マウス・キーボード)とUVC対応デバイス(Webカメラ)を横断して管理します。機能はデバイス管理・マウス・キーボード・カメラの4領域に整理できます。

デバイス管理

- ペアリング済みの各デバイスのバッテリー残量と充電状態を一覧表示
- OSレベルの入力フックによる全ボタンの再割り当て
- アプリ別プロファイルの自動切り替え(macOS / Windows対応、LinuxはX11・XWaylandのみ)

マウス

- 中ボタン・モードシフト・サムホイールの再割り当て
- ジェスチャー割り当て(ライブキャプチャに対応)
- Actions Ring — カーソル中心に表示される8スロットのオーバーレイメニュー
- DPIプリセットの設定と巡回切り替え
- SmartShiftのホイールモード切替と感度調整
- デバイス単位でのスクロール方向反転

キーボード

- グローバルなFキーの再割り当て(入力テキストやキーコンボの割り当てが可能、macOS / Windows対応)
- 静的RGBライティングの制御

カメラ(UVCデバイス)

- ライブプレビュー
- ハードウェアレベルの画質制御(ズーム・フォーカス・露出・明るさ・コントラスト・彩度・シャープネス・ホワイトバランス・色合い・アンチフリッカー・低照度補正)
- Default / Streaming / Video call のプリセットに加え、独自スナップショットの保存

対応OS・対応デバイス・接続形態

項目内容
対応OSmacOS 13.0以降 / Linux(第一級サポート)/ Windows(Windows 11で検証済み)
配布形式macOS: 署名・公証済み.dmg、brew install --cask openlogi/Linux: .deb・.rpm・.pkg.tar.zst(x86_64・ARM64)、NixOSモジュール、udevルール同梱、systemdサービスでagent自動起動/Windows: 署名済み.msiと可搬版.zip(x86_64・ARM64)、システムトレイ常駐
接続形態Logi Boltレシーバ/Unifyingレシーバ/Bluetooth/有線
通信プロトコルマウス・キーボード: HID++(DPI=0x2201、SmartShift=0x2111、スクロール反転=0x2121、RGB=0x8070/0x8080)/Webカメラ: UVC
動作確認済みデバイス例MX Master 4 / MX Master 3S / MX Master 3 / MX Anywhere 3 / Signature M650 / ERGO M575

インストール

OSごとに配布形式が用意されています。いずれの環境でも、インストール前に純正のLogi Options+を終了しておく必要があります。HID++通信にはデバイスへの排他的なアクセスが必要なため、Logi Options+が起動したままだとOpenLogi側からデバイスを制御できないアクセス競合が起きます。

# macOS(Homebrew)
# 事前にLogi Options+を終了しておくこと
brew install --cask openlogi

# Linux(Debian/Ubuntu系)
# .debパッケージをダウンロードしてインストール
sudo dpkg -i openlogi_<version>_amd64.deb
# udevルールとsystemdサービスが同梱されるため、
# インストール後にagentが自動起動する構成になる

# Windows
# 署名済み.msiインストーラを実行、または可搬版.zipを展開
# インストール前にLogi Options+をタスクトレイから終了しておく

設定ファイル(TOML)の考え方

OpenLogiの設定はクラウドではなく、~/.config/openlogi/ に置かれる単一のTOMLファイルにすべて記述されます。アカウント登録やクラウド同期は存在せず、テレメトリも送信されません(アップデート確認も既定でオフです)。README ではこれを一時的な制約ではなく思想上の立場として明示しています。設定がただのテキストファイルであることには実務上の意味があります。read/edit/diffができるため、設定変更をgitで履歴管理したり、dotfilesリポジトリに含めて複数マシン間でコピーしたりできます。ボタン割り当てをレビューする際も、GUIを操作して確認するのではなく、ファイルの差分を見れば済みます。

仕組み — HID++とUVCで何をしているのか

Logi Options+ と OpenLogi の設定経路の対比。純正はアカウントとクラウド経由で設定を保存・同期するのに対し、OpenLogi はローカルの ~/.config/openlogi/ の TOML に設定を持ち、HID++ と UVC でデバイスへ直接話す。

OpenLogiの中核は、ロジクール製デバイスが実装しているHID++プロトコルとの直接通信です。DPI変更にはfeature 0x2201、SmartShiftの制御には0x2111、スクロール方向反転には0x2121、RGBライティングには0x8070/0x8080のfeatureが使われています。Webカメラについては標準規格のUVC(USB Video Class)経由でハードウェア制御を行います。純正のLogi Options+がクラウドアカウントを介して設定を保存・同期する構造であるのに対し、OpenLogiはローカルのプロセスがHID++/UVCでデバイスへ直接話しかける構造です。間にクラウドを挟まないため、設定の反映に外部通信が不要という違いが生まれます。

Logi Options+・Karabiner-Elements・Solaarとの違い

OpenLogiの立ち位置を理解するには、純正のLogi Options+に加えて、macOSのキー割り当てツールとして定番のKarabiner-Elements、LinuxでHID++デバイスを管理する定番のSolaarと比較すると分かりやすくなります。同じくRustで書かれた開発者向けツールとしては、rust-analyzerの1/100のRAMで動くことを目指すRust Glancerも2026年8月に話題になりました。

観点Logi Options+(純正)OpenLogiKarabiner-ElementsSolaar
アカウント要否必要不要不要不要
設定の保存先クラウド同期ローカルのTOMLファイル1つローカルのJSON設定ローカル設定
テレメトリあり(ロジクール公式)なしなしなし
対応OSmacOS / WindowsmacOS / Linux / WindowsmacOSのみ主にLinux
カメラ制御一部モデルで対応UVCデバイス全般に対応非対応非対応
アプリ別プロファイル対応macOS / Windows / X11・XWaylandで対応対応(キー割り当て中心)非対応
対応デバイス範囲ロジクール全製品ラインで広く保証HID++対応デバイスのみ、新製品は追従に時間がかかる可能性デバイス非依存(OS入力層で動作)HID++対応デバイスのみ
安定性・サポートベンダー保証あり開発中(README上「まだ安定版ではない」と明言)成熟・長期運用実績あり成熟・長期運用実績あり
ライセンスプロプライエタリApache-2.0 / MITデュアル(ブランド資産は権利留保)MITGPL-2.0

整理すると、OpenLogiはLogi Options+のクラウド依存・テレメトリを避けたい人向けの代替であり、Karabiner-ElementsやSolaarとは守備範囲が異なります。Karabiner-Elementsはデバイスを問わないOS入力層でのキー割り当てに強く、SolaarはLinuxでのHID++デバイス管理という点でOpenLogiと重なりますが、カメラ制御やActions Ringのような機能は持ちません。

導入前に確認すべきこと

業務用のPCに入れる前に、次の点は押さえておきたいところです。ライセンス面では本体がApache-2.0とMITのデュアルライセンスである一方、ロゴやアイコンなどのブランド資産は作者が全権利を留保しており、フォークがOpenLogiの名称やブランドを使うには許諾が必要です。OSSのライセンス条件が実務にどう効くかという観点は、Mojoの完全OSS化の回でも整理しています。

- まだ安定版ではない: READMEが「features and config may still change」と明言しており、更新でボタン割り当てや設定項目が変わる可能性がある
- ブランド資産のライセンスは別扱い: コード自体はApache-2.0/MITのデュアルライセンスだが、ロゴ・アイコンなどのブランド資産はAprilNEAが著作権を保持し全権利留保。フォークがOpenLogiの名称・ブランドを使うには許諾が必要
- Wayland環境ではアプリ別プロファイルが未対応: Linuxでのアプリ別プロファイル自動切り替えはX11・XWaylandのみで動作し、Wayland対応は未完
- ジェスチャーの制約: ジェスチャーはデバイスがHID++で公開しているボタンでしかキャプチャできない
- 新デバイスへの対応速度: 純正Logi Options+が保証する新製品の即時対応や公式サポート窓口は、OpenLogiには存在しない
- HID++のアクセス競合: どのOSでも、先にLogi Options+を終了しておかないとデバイスを制御できない

よくある質問

OpenLogiはLogi Options+を完全に置き換えられますか。

機能面ではマウス・キーボード・Webカメラの主要な設定をカバーしていますが、README自身が『まだ安定版ではない』と明言しており、純正が持つ新製品への即時対応や公式サポートはありません。まずは私用機や検証環境での試用を推奨します。

アカウント登録は必要ですか。

不要です。クラウド同期もテレメトリもなく、設定は手元のTOMLファイルだけで完結します。

WindowsとLinuxでも同じように使えますか。

macOS・Windows・Linuxいずれにも配布パッケージがありますが、アプリ別プロファイルの自動切り替えはmacOS・Windowsと、LinuxではX11・XWaylandのみが対象で、Waylandには未対応です。

対応しているデバイスは何ですか。

HID++プロトコルに対応するロジクール製マウス・キーボードと、UVC対応のWebカメラが対象です。動作確認例としてMX Master 4、MX Master 3S、MX Master 3、MX Anywhere 3、Signature M650、ERGO M575が挙げられています。

OpenLogiという名前でフォークを公開してもよいですか。

コード自体はApache-2.0とMITのデュアルライセンスで自由に利用できますが、ロゴ・アイコンなどのブランド資産はAprilNEAが著作権を保持し全権利留保としており、OpenLogiの名称・ブランドを使うには許諾が必要です。

まとめ

OpenLogiは、ロジクール製デバイスの管理からクラウドアカウントとテレメトリを取り除いた、Rust製のローカルファーストな代替ツールです。設定が単一のTOMLファイルに収まる構造は、履歴管理やマシン間の持ち運びといった実務上の扱いやすさにつながります。一方で、開発は活発ながらまだ安定版ではなく、ブランド資産のライセンス、Wayland未対応、ジェスチャーの制約など、業務端末に入れる前に確認しておくべき点も明確です。純正の安定性・サポート体制と、ローカルファーストであることの利点を天秤にかけたうえで判断するのが現実的です。

この記事に関連する無料ツール(登録不要・その場で結果)

お気軽にご相談ください

お問い合わせ