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株式会社オブライト
Software Development2026-09-13約16分で読めます

Raycastとは — AIエージェント化したランチャーの機能・クレジット制料金・Windows/iOS版を整理【202

6年9月】

RaycastはmacOS/Windows/iOS対応の拡張可能なランチャーで、個人利用は無料だ。2026年9月時点のv2.3でAI Chatがエージェント化し、料金は使用量ベースのAIクレジット制に移行した。内蔵機能・拡張ストア・Windows/iOS版の現状、新料金表、Alfredとの違いを整理する。


Raycastは、macOS・Windows・iOS(iPadOS)に対応した拡張可能なランチャーアプリだ。公式のキャッチコピーは「Your shortcut to everything」で、個人利用は無料(Free)で始められる。

この記事は2026年9月13日時点の情報を整理したものだ。ちょうどこのタイミングでRaycastは大きな転換点を迎えている。macOS向けのバージョン2.3でAI Chatがエージェント型に作り替えられ、同時に料金体系がレート制限方式から使用量ベースの「AIクレジット」制へと移行したばかりだ。

本稿では、無料で使える内蔵機能から、Swift・C#・React・Node・Rustを組み合わせたクロスプラットフォーム版「Raycast 2.0」の技術構成、v2.3のエージェント機能、新料金表、Windows版・iOS版の現状、そしてAlfredやSpotlightとの違いまでを一気に整理する。

Raycastとは — 無料で使える拡張可能なランチャー

RaycastはmacOSの標準ランチャーであるSpotlightや、Windowsの標準検索を置き換える形で使うツールだ。ホットキー一つでアプリ起動やコマンド検索を呼び出し、キーボードだけで操作が完結する。Free(無料)プランでも、以下のような機能がひと通り使える。

機能できることFree/Pro
アプリ起動・コマンド検索ホットキーで即座に呼び出す基本機能Free
ファイル検索ローカルファイルを高速に検索Free
クリップボード履歴コピーした内容を遡って再利用Free(3か月分)/Pro(無制限)
スニペット・クイックリンク定型文やURLをワンアクションで呼び出すFree
自然言語計算機時差・単位・日付・通貨換算などを自然言語で計算Free
絵文字ピッカー・ウィンドウ管理絵文字入力や画面分割の操作Free
Raycast Notes簡易メモ機能Free(5ノートまで)/Pro(無制限)
カレンダー・Focus・スクリプトコマンド予定確認、集中モード、自作スクリプトの実行Free

これらに加えて拡張機能ストアがあり、公式によれば数千本の拡張が公開されている。拡張はReact・TypeScript・Nodeで書かれており、ネイティブコードを使わないものはmacOSとWindowsの両方でそのまま動く。Linear、Notion、Slack、1Password、Spotify、Google Translate、Obsidian、Todoist、Google Chrome、VS Code、Jira、Zoomなど、業務でよく使うツールの拡張がそろっている。Teamsプランでは、社内限定の拡張をPrivate Storeで配布することもできる。コミュニティ規模はSlackが37,000人、Xのフォロワーが90,000人で、公式はクラッシュ率0.2%未満(99.8% crash-free rate)をうたっている。

Raycast 2.0 — 作り直されたクロスプラットフォーム版の中身

2026年5月14日、Raycastはゼロから作り直したクロスプラットフォーム版「Raycast 2.0」(社内では“The New Raycast”と呼ばれる)のパブリックベータをmacOS向けに公開した。技術構成は公式の技術解説(A technical deep dive into the new Raycast)で説明されており、macOSのホストアプリはSwift+AppKit、Windowsのホストアプリは C#+.NET 8+WPFで書かれている。その上に、React+TypeScriptで書かれた共通のWebフロントエンドが乗り、業務ロジックは単一の常駐Nodeプロセスが担う。性能や移植性が必要な部分にはRustが使われている。つまりmacOS版とWindows版はホストアプリの言語こそ違うものの、UIとロジックの大部分を共有する構造だ。拡張機能も同じReact/TypeScript/Nodeのスタックで動くため、拡張を書く側から見ても両OSの違いを意識しにくい。

Raycast 2.0 の構成 — macOS/Windows のホストアプリと共通の Web フロントエンド・Node バックエンド・Rust、同じスタックで動く拡張機能
技術役割
ホストアプリ(macOS)Swift + AppKitOS統合、ウィンドウ制御、ネイティブAPI呼び出し
ホストアプリ(Windows)C# + .NET 8 + WPFOS統合、ウィンドウ制御、ネイティブAPI呼び出し
UIフロントエンドReact + TypeScript共通のインターフェース描画(拡張機能もこの上で動く)
バックエンド単一の常駐Nodeプロセス拡張の実行、業務ロジック
高性能処理Rust性能・移植性が求められる部分

Node.jsはRaycast本体に同梱されているため、拡張機能を初めてインストールするときに別途ランタイムをダウンロードする必要はない。書き直しの理由として公式が挙げているのは、クロスプラットフォーム対応、AppKitの制約とコンパイル時間の増大、macOSネイティブに深い人材の確保が難しくなっていたことの3点だ。ファイル検索もSpotlightに頼らない自前のインデクサに置き換えられ、ディスク全体を数秒でスキャンできるという。デザイン面ではLiquid Glassに対応した。一方で正直に触れておくべき点もある。公式はメモリ使用量について、v1の200〜300MBに対しv2は350〜450MBに増えたと明記している。内訳はWebView(約120〜200MB)、Node(約150〜200MB)、ネイティブシェル(約40MB)などで、クロスプラットフォーム化とWebベースUIの採用がトレードオフとして表れた形だ。

v2.3でAI Chatがエージェントになった — 計画・実行・確認を自走

2026年9月11日付のmacOS向けchangelog(Raycast changelog)によれば、v2.3では「Raycast AIの中核を作り直した」という。AI Chatにタスクを渡すと、まず計画を立て、必要な拡張機能を使い、コードを書いて実行し、結果を確認するところまでを自走する。途中で失敗すれば別のアプローチを試し、ユーザーの判断が必要な場面では処理を止めて質問し、回答を受け取ってから続きを再開する。

Raycast AI(v2.3)のエージェントループ — 計画・実行・確認・再試行・必要時は質問して再開

Bring Your Own Subscriptions — 既にClaudeやChatGPTを有料プランで契約している場合、そのアカウントをRaycastに接続し、AI Chat・Quick AI・AI Commandsでそのモデルを使えるようになった。他のプロバイダへの対応も今後予定されている。設定はSettings → AI → Models & Providersから行う。

Projects — 同じテーマの会話をひとつにまとめ、専用のメモリを持たせる機能。作業ディレクトリを指定でき、Obsidianのvaultや請求書フォルダなどをそのままプロジェクトの対象にできる。

Automations — スケジュールを指定してプロンプトを実行し、バックグラウンドで処理した結果をチャットに追加する機能。Raycast社内での活用例として、毎朝の受信箱トリアージ、毎時のPR監視、毎晩の会議メモからのメモリ更新が挙げられている。

AI ChatはClaude Code MCP連携ガイドで扱うようなMCPサーバーへの接続にも対応しており、外部ツールを@メンションで呼び出すAI Extensionsの仕組みと合わせて、社内システムや開発ツールとの連携を広げられる。このほかv2.3ではMermaid図の描画、Auto modeのレビュールール、削除したチャットを60日間復元できる機能、Ollama接続の修正なども加わった。

料金改定 — レート制限から AI クレジット制へ

2026年9月10日、CEOのThomas Paul Mann名義の公式ブログ(Why We're Changing How Raycast AI Is Priced)で、AI機能の課金方式の変更が発表された。従来のレート制限方式(一定期間あたりの利用回数上限)から、使用量ベースの「AIクレジット」制に切り替わり、新たにMaxプランが追加された。サブスクリプション自体の価格は据え置きで、消費するクレジット量はモデルの種類と作業量によって決まる。安いモデルを選べば同じクレジットでより長く使えるという設計だ。クレジットが不足した場合は、有効期限のないトップアップを購入するか、上位プランへのアップグレードで対応する。

同社によれば、これまでは「1問1答」のやり取りを前提にレート制限を設計していたが、v2.3で導入されたようなエージェント型のタスクは1回の依頼で何度もモデルを呼び出すため、従来の方式が実態に合わなくなっていたという。「大手モデルラボのようにAIを補助金で支えることはできない」というのが、使用量ベースへの移行理由として説明されている。既存のProユーザーはそのままProプランに残り、旧Advanced AI契約者は次回請求からPro+へ自動移行する。移行にあたっては、既存契約者全員に1か月分のボーナスクレジットが付与される。

プラン月払い年払い(月換算)月次クレジット主な内容
Free$0なし(AIなし)内蔵機能・拡張・カスタム拡張・Notes5件・クリップボード履歴3か月
Pro$10$8($96/年)500Raycast AI一式、高速・高性能モデル(Claude Sonnet 5、GPT-5.6 Terra等)、BYOK、クラウド同期、ディクテーション、翻訳、Notes/クリップボード無制限
Pro+(旧Advanced AI)$20$16($192/年)3,000Pro+最上位モデル(Claude Fable 5.1、GPT-6 Astra等)
Max(新設)$50$40($480/年)7,500Pro+と同じ機能で上限が大きい
Teams Pro$15/人$12/人($144/年)500/人(Plus3,000・Max7,500/人)Pro+共有コマンド/スニペット/クイックリンク、Private Store
Enterprise要問い合わせ(年契約のみ)カスタムSOC2 Type II、年次ペネトレーションテスト、AI Control Center、SAML/SCIM、ドメインキャプチャ、MDMサインイン強制、2FA強制、拡張機能許可リスト、IP許可リスト

料金表の詳細は公式のpricingページで随時更新される。補足として、学生はPro料金が50%割引になる。ProプランをAIなしで契約することはできないが、設定画面からAI機能自体を完全にオフにすることは可能だ。無料トライアルはProで使えるモデル(クレジット500分)が対象で、Pro+・Maxの上位モデルはトライアル対象外となる。AIモデルの提供元はAnthropic(Claude Opus 5など)、OpenAI、Google(Gemini 3.1 Pro)、Perplexityなどで、Ollamaを使ったローカルモデルの接続やBYOK(OpenAI・Anthropic・GoogleのAPIキーを自分で用意する方式)にも対応する。

- AIをまったく使わない・内蔵機能とスニペット中心で十分 → Free
- 日常的にAI Chat/Quick AIを使う → Pro(月次500クレジット)
- 最上位モデルやエージェント型タスクを多用する → Pro+(3,000クレジット)、さらに大量に使う場合はMax(7,500クレジット)
- すでにClaudeやChatGPTを有料契約している → Pro+Bring Your Own Subscriptionsで、Raycast側のクレジット消費を抑えつつ既存契約のモデルを使う選択肢もある

Windows版・iOS版の現在地

Windows版は2025年11月20日にパブリックベータとして公開された。当初はQuick AIのみベータ期間中無料で使え、AI ChatやNotesは未対応だったが、2026年9月時点の公式Windowsページではバージョン2.3.1.0が一般提供として案内されている。対応OSはWindows 10(21H2以降)とWindows 11で、Microsoft Storeまたはwingetからインストールできる。

```sh
winget install raycast
```

Windows版にはmacOS版にない独自機能として、Steam・Epic・Battle.net・GeForce Nowをまとめて呼び出せるゲームランチャーがある。iOS版は2025年4月30日に公開され、iOS 18以上が対象だ。AI Chat/Commands、Notes、スニペット、クイックリンク、50言語超の音声入力、カスタムキーボード、共有シート、ウィジェット、ロック画面・コントロールセンター・アクションボタンへの対応など、モバイル前提の機能がそろっている(詳細は公式iOSページ)。ただしMac/Windowsとのクラウド同期(AIチャット、Notes、スニペット、クイックリンク)はProプランが必要で、Android版は公式FAQによれば提供されていない。

プラットフォーム状態要件主な差分
macOS2026-05のRaycast 2.0ベータを経て、v2.3(2026-09-11)が最新独自の高速ファイルインデクサ、Liquid Glass対応デザイン
Windows2025-11-20にベータ開始、2026-09時点でv2.3.1.0を一般提供Windows 10(21H2以降)/ Windows 11ゲームランチャー(Steam/Epic/Battle.net/GeForce Now)、Microsoft Storeまたはwinget配布
iOS(iPadOS)2025-04-30公開iOS 18以上音声入力・ウィジェット・アクションボタン対応、クラウド同期はPro必須
Android提供なし公式FAQで非対応と明記

Alfred・Spotlight・PowerToys Runとの違い

macOSのランチャー市場では、標準搭載のSpotlightと、古くからのサードパーティ製ツールであるAlfredがRaycastの比較対象になりやすい。Windowsでは標準検索やMicrosoftのPowerToys Runが同じ役割を担う。

項目RaycastAlfredSpotlight / PowerToys Run
対応OSmacOS・Windows・iOSmacOSのみmacOS標準 / Windows用PowerToysの一部
料金モデル無料枠が広く、AI機能は月額サブスク(Free/Pro/Pro+/Max)無料版は基本機能のみ、Powerpackは買い切りでクリップボード履歴・スニペット・ワークフローを解放OS標準搭載で無料
拡張性React/TypeScript/Nodeで書く拡張ストア(公式表記で数千本)独自のワークフロー機構(詳細は公式サイト参照)拡張性は限定的
AI機能AI Chat/Quick AI/AI Commands/MCP接続などをクレジット制で提供公式サイト参照標準では非搭載
計算機時差・単位・日付・通貨に対応した自然言語計算機単純計算が中心基本的な計算のみ

料金モデルの違いをまとめると、Alfredは基本機能を無料で提供しつつ高度な機能をPowerpackという買い切りライセンスで解放するのに対し、Raycastは無料枠の中に比較的高度な機能を含め、AI機能だけをサブスクリプションとして分離している。どちらが有利かは使い方次第であり、Alfredの最新機能や価格については公式サイトを直接確認するのが確実だ。

中小企業・小さなチームでの使いどころ

- Teams Freeプランでも共有スニペット30件・共有クイックリンク30件・共有コマンド5件までは無料で使え、期限もないため、小さなチームの定型文やURL集約から試しやすい
- Private Storeを使えば、社内向けに作った拡張機能を外部のストアに公開せず、チーム内限定で配布できる
- 情報統制が必要な組織では、EnterpriseプランのAI Control Centerで組織全体のAIオン/オフ、BYOK、プロバイダ許可リスト、カスタムプロバイダの設定を一括管理できる
- Automationsを使えば、毎朝の情報整理や定例チェックのようなルーチン作業をスケジュール実行に任せられる。ローカルLLMを併用したい場合はOllama vs LM Studioで紹介しているようなツールとの組み合わせも選択肢になる。常駐型のデスクトップエージェントという文脈ではHermes Desktop完全解説と比較検討する余地もあるだろう

よくある質問

Raycastは無料で使えるか。

内蔵のランチャー機能・拡張機能・カスタム拡張・Notes5件・クリップボード履歴3か月分はFreeプランで無料で使える。AI Chatなどの生成AI機能を使うには月額のProプラン($10、年払いなら$8/月)以上の契約が必要だ。

Windows版はmacOS版と同じ機能を使えるか。

Raycast 2.0以降はmacOS版とWindows版でUI・拡張機能のスタック(React/TypeScript/Node)を共有しているため大枠の機能は近い。ただしWindows版にはゲームランチャーという独自機能があり、一方でmacOS版が先行して対応してきた機能差が残る場合もある。

AIクレジットとは何か。

2026年9月10日の料金改定で導入された、AI機能の使用量に応じて消費されるポイントのことだ。消費量はモデルの種類と作業量で決まり、安いモデルほど同じクレジットで長く使える。不足時は有効期限なしのトップアップ購入かプランのアップグレードで補える。

ClaudeやChatGPTを契約していれば追加費用なしで使えるか。

v2.3で追加されたBring Your Own Subscriptions機能を使えば、既存のClaudeやChatGPTの有料アカウントをRaycastに接続してAI Chat等で利用できる。ただしRaycast自体のProプラン以上の契約は別途必要で、接続はRaycast側のクレジット消費を抑える手段という位置づけだ。

Alfredから乗り換える価値はあるか。

無料枠の広さやWindows/iOS対応、AIエージェント機能を重視するならRaycastに分がある。一方でAlfredの買い切りライセンスや長年蓄積されたワークフロー資産に慣れている場合は乗り換えの手間が発生する。どちらが適するかは用途次第であり、Alfredの最新機能は公式サイトで確認したうえで判断するのが妥当だ。

まとめ

Raycastは、無料で高度な機能を使えるランチャーとしての土台の上に、2026年5月のクロスプラットフォーム化、そして2026年9月のAIエージェント化と料金改定という2つの大きな変化を重ねてきた。macOS・Windows・iOSを横断する共通スタックと、使用量ベースのAIクレジット制は、いずれもエージェント型のAI利用が前提になった結果だと言える。

Free/Pro/Pro+/Maxという選択肢が増えたぶん、自分やチームの使い方に合わせてプランを選ぶ必要性も増した。AIをほとんど使わないならFreeのまま、日常的に使うならPro、エージェント型タスクを多用するならPro+やMax、既にClaudeやChatGPTを契約しているならBring Your Own Subscriptionsの併用、というのが現時点での基本的な判断軸になる。

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