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株式会社オブライト
Business DX2026-07-10

初めてのシステム開発発注 完全ガイド — 相場・会社選び・失敗回避の全知識

初めてシステム開発を発注する中小企業向けに、課題整理から手段選択・発注先選び・相見積・契約・検収・保守まで、発注プロセス全8段階を俯瞰する完全ガイド。


システム開発発注とは

システム開発発注とは、自社の業務課題や事業成長のニーズを解決するために、社外の開発会社やフリーランスエンジニアにシステム・アプリケーションの設計・開発を依頼する一連のプロセスを指す。初めて発注する中小企業の経営者や情報システム担当者にとっては、「何から手をつければよいのか分からない」「相場感がつかめない」「どの会社を選べば失敗しないのか」といった悩みが尽きない領域だ。本記事では、課題整理から契約・開発・検収・保守運用まで、発注の一連の流れを8つの段階に分けて俯瞰し、各段階でつまずきやすいポイントと参考になる関連情報を整理する。

なぜ発注は難しいと感じられるのか

中小企業では情報システムを専任で担当する人材が少なく、経営者や総務・営業部門の担当者が本業と兼務でシステム開発の窓口を担うケースが多い。加えて、開発会社側が使う「人月」「要件定義」「保守SLA」といった専門用語は業界特有で分かりにくく、見積書を見ても金額の妥当性を判断しづらい。SNSやニュースでは「システム開発で大金を払ったのに使い物にならなかった」といった失敗談も見聞きするため、発注そのものに漠然とした不安を抱く担当者は少なくない。こうした不安の多くは、発注プロセス全体の流れと、各段階で何を確認すべきかを事前に把握しておくことで軽減できる。

発注プロセスの全体像 — 8つの段階

- ①課題整理:解決したい業務課題を言語化する
- ②手段の選択:ノーコード・パッケージ・スクラッチ開発などから適切な手段を選ぶ
- ③発注先の選択:内製・フリーランス・開発会社の中から依頼先を決める
- ④相見積・RFP:複数社から公平に見積を取り比較する
- ⑤契約:業務範囲・金額・納期・知的財産権などを取り決める
- ⑥開発中の関わり方:進捗確認や仕様のすり合わせを継続する
- ⑦検収:完成したシステムが要件を満たしているか判断する
- ⑧保守・運用:リリース後の不具合対応や機能追加に備える

この8段階は独立した工程ではなく、前の段階での判断が後の段階の結果を左右する連続したプロセスである。たとえば①の課題整理が曖昧なまま②の手段選択に進むと、必要以上に高機能なシステムを発注してしまったり、逆に業務要件を満たせない安価な手段を選んでしまったりする。以下、各段階を順に見ていく。

① 課題整理と② 手段の選択

①課題整理では、「誰の」「どの業務の」「何を」解決したいのかを具体的な言葉にすることが出発点になる。Excelやスプレッドシートでの手作業運用に限界を感じている場合は、Excelから業務システムへの移行を考えるポイントや、中小企業のDXの進め方を整理した中小企業DXの始め方が参考になる。②手段の選択では、必ずしもスクラッチ開発が唯一の答えとは限らない。kintoneなどの業務改善プラットフォームで対応できる範囲にはkintoneカスタマイズの限界があり、ノーコードツールにもノーコード開発の限界がある。自社の要件がこれらの限界を超える場合に初めてスクラッチ開発とパッケージ導入の違いを比較検討する。開発規模の目安をつかむには、開発会社が見積の基礎とする人月という考え方を理解しておくと会話がスムーズになる。

③ 発注先の選択と④ 相見積・RFP

③発注先の選択では、まず内製(自社開発)と外注(外部発注)の比較を行い、外注する場合はフリーランスと開発会社どちらに発注すべきかを検討する。フリーランスは費用を抑えやすい一方で体制やサポート範囲に制約があり、開発会社は費用が上がりやすい代わりに組織的な保守体制を持つ傾向がある。④相見積・RFPの段階では、1社だけの提案を鵜呑みにせず、複数社から見積を取って比較することが重要だ。比較の精度を上げるには、要件を整理した依頼書であるRFP(提案依頼書)の基本を作成し、各社から返ってきた見積書の読み方を押さえておくとよい。発注に踏み切る前の最終確認として発注前チェックリストも活用したい。

⑤ 契約と⑥ 開発中の関わり方

⑤契約の段階では、業務範囲・金額・納期・支払条件に加えて、著作権や知的財産権の帰属、契約不適合責任の範囲などを書面で明確にしておく必要がある。基本的な取り決め事項は開発契約の基礎知識にまとめている。⑥開発中の関わり方では、契約後に発注者側が一切関与しない、いわゆる「丸投げ」の状態は避けたい。丸投げがもたらすリスクはシステム開発を丸投げすることのリスクで解説している。また、開発途中で要件が変わると追加費用が発生しやすく、事前の取り決めが不十分だとトラブルに発展することもある。追加費用トラブルを防ぐための考え方も併せて確認しておきたい。

⑦ 検収と⑧ 保守・運用

⑦検収では、完成したシステムが契約時に定めた要件を満たしているかを確認し、合否を判断する。検収の具体的な進め方や確認項目は検収の進め方ガイドを参照してほしい。⑧保守・運用は、リリースして終わりではなく、実質的には発注プロセスの一部として位置づけるべき段階である。保守費用の考え方はシステム保守費用の相場で解説している。開発会社との関係が長期にわたる中で、対応の遅さやコミュニケーションの問題から乗り換えを検討する企業もあり、その場合は開発会社を乗り換える際の注意点が参考になる。発注全体でよく見られる失敗のパターンはシステム開発でよくある失敗あるあるにまとめているので、事前に目を通しておくと同じ轍を踏みにくくなる。

発注方式の中立比較

発注先タイプ費用感向いている企業・場面主なリスク
内製(自社開発)人件費として発生(案件単位の変動費にはなりにくい)継続的に開発需要があり、エンジニア採用・育成に投資できる企業採用難易度が高く、属人化しやすい
フリーランス一般に比較的抑えやすい傾向があるが、案件により変動する要件が明確で、規模が小さめの開発体制が個人に依存し、離脱時の引き継ぎリスクがある
中小規模の開発会社案件により変動する中小企業の業務システムなど、柔軟な対応を求める場合会社によって得意分野・体制の差が大きい
大手SIer一般に高めになる傾向があるが、案件により変動する大規模・基幹系システムや高い信頼性・体制が求められる場合意思決定や変更対応に時間がかかることがある

※費用感はあくまで一般的な傾向であり、案件の規模や要件によって大きく変動する。必ず複数社から見積を取り、内容を比較したうえで判断してほしい。

発注前チェックリスト

- 解決したい業務課題を1〜2行で説明できるか
- 現状の運用(Excel・紙・他システムなど)の課題を整理できているか
- 予算の上限とおおよその希望納期を決めているか
- ノーコード・kintone等の既存ツールで代替できないか検討したか
- 発注先候補を最低2〜3社ピックアップしたか
- 各社に同じ条件でRFP・要件を提示できているか
- 見積書の内訳(人月単価・工数・保守費用の有無など)を比較できているか
- 契約書に著作権・契約不適合責任・支払条件が明記されているか
- 開発中の定例確認や進捗共有の頻度を取り決めたか
- 検収基準(何をもって完成とするか)を事前に合意しているか

よくある質問

システム開発の発注は何から始めればよいですか?

まずは「誰の」「どの業務の」「何を」解決したいのかという課題整理から始めるのが基本である。課題が曖昧なまま発注先探しや見積依頼に進むと、必要以上に高機能な提案を受けたり、逆に要件を満たさない安価な提案を選んでしまったりしやすい。

1社だけに見積を依頼するのはよくないのでしょうか?

相場観や提案内容を比較する材料がなくなるため、一般的には複数社(目安として2〜3社程度)から見積を取ることが推奨される。同じ条件・要件で依頼しないと比較の精度が下がるため、RFPなどで要件をそろえて依頼するとよい。

発注先は開発会社とフリーランスのどちらがよいですか?

どちらが優れているというより、案件の規模・予算・必要なサポート体制によって向き不向きが分かれる。小規模で要件が明確な開発はフリーランスでも対応しやすい一方、長期的な保守や組織的な体制が必要な場合は開発会社が向いていることが多い。

まとめ

システム開発の発注は、課題整理から保守運用まで8つの段階が連続するプロセスであり、どこか一段階でもつまずくと、コストやスケジュール、成果物の品質に影響が及びやすい。それぞれの段階で確認すべきポイントを事前に把握し、必要に応じてシステム開発の費用相場などの関連情報も参照しながら、焦らず一つずつ進めていくことが、失敗を避ける近道になる。

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