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株式会社オブライト
Software Development2026-08-17約8分で読めます

Zed「Delta」とは何か エージェントと協働するマルチプレイヤー・コーディング環境を解説

Zed Delta(2026年8月更新)は、AIエージェントが書いたコードをチームでリアルタイムにレビューできるマルチプレイヤー環境。DeltaDBの仕組み、Claude Code連携、gitとの関係、既存ツールとの違いを整理する。


TL;DR

- Zedが2026年8月12日に発表した「Delta」は、AIエージェントと協働してコードを書き、その成果をレビューするためのマルチプレイヤー環境
- CRDTベースの「DeltaDB」が、コミットとコミットの間に発生する編集操作と会話をすべて記録し、スレッド参加者全員にリアルタイム複製する
- gitを置き換えるものではない。従来どおりcommit/pushでき、Deltaを使わない同僚から見れば普通のgitリポジトリのまま
- 第一弾の連携エージェントハーネスはClaude Code。Agent Client Protocol(ACP)経由で接続し、ターミナルでの作業を続けたままDeltaスレッドにライブ同期される
- 現在はprivate beta(招待制)で、招待は順次配布中。価格は未公表

Deltaとは何か

Deltaは、コードエディタZedを開発するZed Industriesが2026年8月12日に発表した新機能・新環境で、公式発表では "a multiplayer environment for coding with agents and reviewing what they build" (エージェントと協働してコードを書き、その成果をレビューするためのマルチプレイヤー環境)と説明されている。ポイントは「エージェントが書いたコードのレビューを、作業が実際に行われた場所と同じ場所で行える」という点にある。AIエージェントにコーディングを任せる開発スタイルが一般化する中で、「エージェントが何をどう変更したか」をチームで追跡・議論する仕組みが後回しになりがちだった、という課題に対する回答と位置づけられる。詳細は公式発表(zed.dev/blog/introducing-delta)を参照してほしい。

何ができるか

中核となるのは「DeltaDB」と呼ばれるCRDT(Conflict-free Replicated Data Type)ベースのバージョン管理層で、コミット間のすべての編集操作と会話を捕捉する。これにより、最終的なdiffだけでなく「どういう経緯でその変更に至ったか」という過程そのものがチーム全体に共有される状態になる。

リアルタイム・マルチプレイヤーである点も特徴だ。チームメイトはcommitやpushを待たずにスレッドへ参加でき、コメントを付けたり、エージェントへのプロンプトを共同で編集したり、途中の作業を別のメンバーが引き継いだりできる。従来のPRベースのレビューが「完成後にまとめて見る」ものだったのに対し、Deltaは「進行中の作業をその場で見て介入する」設計になっている。

エージェント連携については、サードパーティのエージェントハーネスと接続する仕組みが用意されており、第一弾としてClaude Codeがサポートされている。接続はオープンなAgent Client Protocol(ACP)経由で行われ、ターミナルでClaude Codeを使った作業を続けながら、そのセッションがDeltaスレッドにライブ同期される。ACPの活用状況についてはClaude Codeの導入・活用ガイドも参考になる。

ブラウザ版も用意されている。Rustで書かれたZed本体のアプリをWebAssemblyにコンパイルし、WebGLで描画することで、インストールなしでデスクトップ版と同じ体験をブラウザ上で提供する。なお、Zed本体はmacOS・Windows・Linuxに対応している。

DeltaDBの仕組み

DeltaDBはCRDT(Conflict-free Replicated Data Type)を基盤にしたバージョン管理層である。CRDTは、複数の参加者が同時に同じデータを編集しても矛盾なくマージできるデータ構造で、Googleドキュメントのような共同編集ツールの基盤技術としても知られる。Deltaはこの仕組みを使って、コミットとコミットの間に発生する細かな編集操作(キーストローク単位の変更やファイルの出し入れ)と、それに付随する会話(エージェントへの指示やチームメンバーのコメント)を丸ごと保存する。従来のgitではコミット単位でしか履歴が残らず、「そのコミットに至るまでの試行錯誤」は失われていたが、DeltaDBはその失われていた情報を捕捉し、スレッドの参加者全員にリアルタイムで複製する。

gitとの関係

重要なのは、Deltaがgitを置き換えるものではないという点だ。Deltaを使っていても、開発者は従来どおりcommitやpushを行うことができ、Deltaを使っていない同僚から見れば、リポジトリは普通のgitリポジトリのままに見える。つまりDeltaは、gitの外側に追加される「コミット間の情報を保存するレイヤー」であり、既存のgitワークフローやCI/CDパイプライン、GitHub上のPRレビューといった仕組みと共存する設計になっている。この位置づけは、コミット単位の差分表示に特化したターミナルdiffビューアHunkや、スタックPRを扱うGraphiteとも異なる、Delta独自のアプローチと言える。

入手方法と現状

2026年8月17日時点で、Deltaはprivate beta(招待制)の段階にあり、招待は順次配布されている。価格体系は公式発表時点で公表されておらず、現時点では「いつ・いくらで」一般提供されるかは不明である。導入を検討する場合は、公式発表ページで招待の受付状況を確認するのが最も確実な方法になる。

使い方の流れ

- 招待を受け取る(private betaのため招待制。順次配布中)
- Delta上でスレッドを作成し、チームメンバーを招く
- エージェントハーネス(第一弾はClaude Code)をAgent Client Protocol経由で接続する
- ターミナルでClaude Codeを使って作業を進めると、そのセッションがDeltaスレッドにライブ同期される
- チームメンバーはcommit/push前でもスレッドに参加し、コメントやプロンプトの共同編集、作業の引き継ぎを行える

※具体的なコマンドや詳細な操作手順は、2026年8月17日時点の公式発表には記載されていない。

既存ツールとの違い

Deltaと近い領域で語られることが多いツールとして、素のGit+GitHub PR、スタックPRを扱うGraphite、ターミナル上のdiffビューアであるHunk、複数のエージェントセッションを並行管理するHerdrがある。ここでの位置づけを整理すると、Deltaはgitの置き換えではなく、gitのコミット間に落ちていた情報(編集操作やエージェントとの会話)を保存する層だと言える。

ツール主な役割gitとの関係
Deltaエージェントと協働するマルチプレイヤー環境。DeltaDBがコミット間の編集操作と会話を保存置き換えない。従来どおりcommit/push可能で、非利用者からは通常のgitリポジトリに見える
素のGit+GitHub PRコミット単位の履歴管理とPRベースのレビューベースそのもの
GraphiteスタックPR(依存関係のある複数PRの管理)でレビューを効率化git/GitHubの上に構築
Hunkターミナル上でのdiff閲覧・レビュー体験の向上gitの差分表示を補完
Herdr複数のエージェントセッションを並行して多重化・管理エージェント運用の効率化ツール。gitワークフロー自体は変えない

誰に向くか/現時点の注意点

複数のエージェント(特にClaude Code)を使ってコードを書かせる機会が増え、その成果をチームでレビューする体制を整えたいチームにとって、Deltaは有力な選択肢になり得る。特に「エージェントがなぜその変更をしたのか」という経緯をチームで共有したい場合や、commit前の段階からチームメンバーが介入できる体制を作りたい場合に合致する。一方で、2026年8月17日時点ではprivate beta(招待制)であり、一般提供の時期も価格も未公表であるため、今すぐ本番運用に組み込める段階ではない。招待の取得状況や今後の発表を注視しつつ、既存のgit+PRレビューのワークフローと並行して情報収集するのが現実的だろう。並行してエージェントを使い分ける環境については並列Claude Codeセッション管理ツールMosaicや、Claude Code・Codex・Cursor・Copilotの比較も参考になる。

FAQ

Zed Deltaはいつ発表されましたか。

2026年8月12日に発表されました。詳細は公式発表(zed.dev/blog/introducing-delta)に記載されています。

Deltaはgitを置き換えますか。

置き換えません。Deltaを使っていても従来どおりcommitやpushができ、Deltaを使っていない同僚から見れば普通のgitリポジトリのままです。

DeltaDBとは何ですか。

CRDTベースのバージョン管理層で、コミットとコミットの間に発生するすべての編集操作と会話を捕捉し、スレッド参加者全員にリアルタイム複製します。

どのエージェントと連携できますか。

公式発表の時点で、第一弾の連携エージェントハーネスとしてClaude Codeが挙げられています。接続はオープンなAgent Client Protocol(ACP)経由で行われます。

料金はいくらですか。

2026年8月17日時点で価格は公表されていません。現在はprivate beta(招待制)の段階です。

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