Codex 26.715 解説 — ChatGPT Voiceとマルチフォルダ対応
2026年7月23日公開のCodexアプリ更新(26.715)を解説。GPT-Live駆動のChatGPT VoiceがChat / Work / Codexをまたいで音声操作できるようになり、ローカルプロジェクトが複数フォルダに対応。使い方・対応プラン・AGENTS.mdの扱いを整理します。
OpenAI が 2026年7月23日に公開した Codex アプリ更新「26.715」の中身は、大きく2つである。ひとつは ChatGPT Voice(音声モデル GPT-Live 駆動)の ChatGPT デスクトップアプリ対応で、Chat / Work / Codex をまたいで「別スレッドの作業を音声で開始・確認・軌道修正」できるようになった。もうひとつは ローカルプロジェクトの複数フォルダ対応で、1つのプロジェクトに関連する複数のフォルダを含められるようになった。対応プランは Plus / Pro / Business / Edu / Enterprise である。
ChatGPT Voice — 何が変わったのか
従来の音声入力は「音声で質問し、返答を聞く」チャット体験にとどまっていた。26.715 の ChatGPT Voice は、デスクトップアプリの Chat(通常の対話)・Work(業務タスク)・Codex(コーディング)という3つの領域を横断して、進行中の作業に指示を出す用途に踏み込んでいる。
- 別スレッドの作業を操作できる: 音声で新しいチャットやタスクを開始したあと、他スレッドで走っている作業の開始・状況確認・方向修正を依頼できる
- GPT-Live のフルデュプレックス構成: 話す・聞く・待つを同時に扱えるアーキテクチャで、従来の「発話終了を待ってから応答」型より会話のターン交代が自然になる
- 画面コンテキスト(macOS): Screen context を有効にすると、最前面のウィンドウのスナップショット(appshot)を共有し、画面を見ている前提で指示できる
実務上の位置づけは「キーボードを離れている時間帯のインターフェース」である。ビルドやテストの待ち時間、レビュー中、移動中に、進行中タスクの状況を聞いたり次の指示を出したりする使い方が想定される。なお、スマートフォン側は iOS の Remote 経由で Codex にアクセスする形で、デスクトップ版のように端末上で操作を実行する設計にはなっていない点は押さえておきたい。
マルチフォルダ・プロジェクト — AGENTS.md の探索先が変わる
もう一方の変更点である複数フォルダ対応は、地味に見えて日常の作業に効く。これまでローカルプロジェクトは1フォルダ単位だったため、フロントエンドとバックエンドのリポジトリが分かれている構成や、共有ライブラリを別リポジトリに切り出している構成では、プロジェクトを切り替える必要があった。
| 項目 | プライマリフォルダ | セカンダリフォルダ |
|---|---|---|
| 新規チャットの起点 | ○ | − |
| Git 操作の対象 | ○ | − |
| AGENTS.md / skills / config.toml の探索 | ○ | − |
| ファイル検索 | ○ | ○ |
| ファイルの読み取り・編集 | ○ | ○ |
つまり、プロジェクトに複数フォルダを追加しても、エージェントの設定(AGENTS.md・skills・config.toml)と Git 操作はプライマリに指定したフォルダ1つが基準になる。セカンダリフォルダは検索・読み取り・編集の対象として参照できる、という役割分担である。設定を効かせたいリポジトリをプライマリにする、というのが実務上の基本方針になる。
AGENTS.md の書き方そのものはOpenAI Codex AGENTS.md完全ガイドで整理している。マルチフォルダ構成では、この1枚がプロジェクト全体の指示書として効く範囲が広がったと捉えるとよい。
設定方法
- フォルダ追加: ChatGPT デスクトップアプリで対象プロジェクトのメニューから「Edit project」を開き、関連フォルダを追加したうえで、どれをプライマリにするかを選択する
- 音声の開始: デスクトップアプリで音声モードに入り、そのまま新規チャット/タスクを開始する。進行中の別スレッドについては「あのタスクの状況は」「そこは方針を変えて」といった形で指示する
- 画面共有(macOS): Screen context をオンにすると最前面ウィンドウのスナップショットが共有される。画面に機密情報が映っている状態では、必要なウィンドウだけを前面にしてからオンにする運用が安全である
対応プラン・プラットフォーム
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| バージョン | Codex アプリ 26.715(2026年7月23日) |
| 音声の対応プラン | Plus / Pro / Business / Edu / Enterprise |
| 音声の提供先 | ChatGPT デスクトップアプリ、および iOS の Remote 経由 |
| 音声モデル | GPT-Live(フルデュプレックス) |
| 画面コンテキスト | macOS で対応(最前面ウィンドウのスナップショット) |
| マルチフォルダ | ローカルプロジェクトで対応。プライマリ1+セカンダリ複数 |
他のエージェント運用手段との位置づけ
複数のコーディングエージェントを並列に走らせる需要に対しては、これまでターミナル側のツール(tmux 的なマルチプレクサや並列実行デスクトップ)で対応するのが主流だった。26.715 の Voice は、それらを置き換えるものではなく、「すでに走らせている作業に対する低摩擦な操作系」を1つ足すものだと見るのが妥当である。エージェントそのものの比較検討はCodex vs Claude Code vs Cursor vs Copilot、Codex 自体の基本操作はOpenAI Codex入門ガイドを参照してほしい。
導入時の注意点
- 音声の誤認識と破壊的操作: 音声はタイプミスの代わりに聞き間違いが起きる。ブランチ削除やマージなど取り返しのつかない操作は、音声で始めても実行前に画面で確認する運用にしておきたい
- 画面共有の範囲: appshot は最前面ウィンドウが対象。顧客データや認証情報が映る画面を前面にしたまま有効化しない
- プライマリフォルダの選定: 設定と Git がプライマリ基準になるため、モノレポでない構成では「どのリポジトリを主にするか」を先に決めておく
- 法人利用の情報取り扱い: 音声・画面スナップショットも入力データである。社内の生成AI利用ルールの対象に含まれているかを確認しておく
よくある質問
ChatGPT Voice は無料プランでも使えますか?
今回のアップデート時点では、Plus / Pro / Business / Edu / Enterprise の各プランで提供とされています。デスクトップアプリのほか、iOS では Remote 経由で Codex にアクセスする形になります。
音声で実際にどこまでの作業を任せられますか?
新しいチャットやタスクの開始に加え、別スレッドで進行中の作業の開始・状況確認・方向修正を音声から依頼できます。実行そのものは従来どおりエージェント側が行うため、音声は「作業の指示と監督のインターフェース」と捉えるのが実態に近いです。
マルチフォルダ対応でモノレポは不要になりますか?
いいえ。プロジェクトに複数フォルダを含められるようになっただけで、Git 操作と AGENTS.md / skills / config.toml の探索はプライマリフォルダ基準のままです。リポジトリ横断のコミットが1操作でできるわけではないため、リポジトリ構成の判断は従来どおり別問題として考える必要があります。
セカンダリフォルダのファイルは編集できますか?
できます。セカンダリフォルダはファイル検索・読み取り・編集の対象になります。対象外になるのは、新規チャットの起点・Git 操作・設定ファイル(AGENTS.md / skills / config.toml)の自動探索です。
macOS の Screen context はどんなときに役立ちますか?
エラー画面やデザインカンプなど、テキストで説明しづらい画面を前提に指示したい場面で有効です。最前面ウィンドウのスナップショットが共有されるため、共有したくない情報が映るウィンドウは前面から外してから有効化してください。
まとめ
26.715 は新モデルの投入ではなく、既存のエージェント作業をどう操作するかという「操作系」のアップデートである。ChatGPT Voice は待ち時間や移動中に進行中タスクへ指示を出す手段を増やし、マルチフォルダ対応はリポジトリが分かれた構成での切り替え作業を減らす。どちらも派手さはないが、日々の摩擦を削る種類の変更で、特にプライマリフォルダの選び方は設定の効き方に直結するため最初に決めておきたい。
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