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株式会社オブライト
Business DX2026-09-16約9分で読めます

安否確認システムの導入費用相場と選び方【中小企業向け】

安否確認システムとは、地震等の災害発生時に従業員へ自動で安否確認を送り回答を集計する仕組みで、費用はクラウド型SaaSなら1人あたり月額100〜500円程度、パッケージ型なら初期30万〜200万円、簡易カスタマイズなら数万〜50万円、フルスクラッチなら300万円以上が目安。震度連動配信や選定のコツを解説する。


安否確認システムとは、地震や台風などの災害が発生した際に、従業員のスマートフォンやメールへ自動で安否確認メッセージを送信し、回答を自動で集計・可視化する仕組みのことで、導入費用はクラウド型SaaSなら従業員1人あたり月額100円〜500円程度+初期費用0〜数万円、パッケージ型(自社サーバー導入)なら初期30万〜200万円程度、LINEやGoogleフォームをベースにした簡易カスタマイズなら数万円〜50万円程度、独自の集計ロジックや他システム連携まで組み込むフルスクラッチ開発なら300万円以上が目安となる(いずれも2026年時点の一般的な市場レンジで、個別見積もりではない)。地震のたびに担当者が電話やメールで一人ずつ安否を確認している企業では、深夜・休日の対応負荷が大きい、連絡がつかない従業員の把握に時間がかかる、集計結果を経営層へ報告するまでに数時間かかるといった課題が起きやすい。本記事では安否確認システムの費用相場と、自社の規模やリスクに合った選び方を、非IT担当者にもわかるように整理する。BCP対策全体の考え方はITのBCP対策、リスク管理の全体像は中小企業のITリスク対策ガイドもあわせて参照してほしい。

安否確認システムとは何か

安否確認システムは、単に「無事です」と回答してもらうだけのツールではない。気象庁が発表する震度情報と連動し、一定震度以上の地震発生時に対象エリアの従業員へ自動でメッセージを配信する自動発信機能、従業員からの回答(安否・出社可否・被害状況など)を自動集計しダッシュボードで可視化する回答集計機能、従業員本人だけでなく家族の安否状況もあわせて登録・確認できる家族安否確認機能、災害時の対応方針や避難場所、業務継続の指示を全社へ一斉掲示するBCP掲示板・安否確認以外の緊急連絡機能、そしてメール・専用アプリ・LINE・SMSなど複数の経路を組み合わせて確実に届けるマルチチャネル配信機能といった機能を組み合わせて、初動対応のスピードと確実性を高めるものを指す。すべてを最初から揃える必要はなく、まず自動発信と回答集計だけでも、担当者の負荷は大きく下がる。

導入費用の目安

実現方法概要初期費用の目安月額費用の目安
1. クラウド型SaaS(人数課金)安否確認に特化したSaaSをそのまま契約し標準機能で運用0〜5万円程度従業員1人あたり100〜500円程度(最低利用料あり)
2. パッケージ型(買い切り・オンプレ)安否確認パッケージを自社サーバーに導入30万〜200万円程度保守費用として年間5〜15万円程度
3. LINE・Googleフォーム等の簡易カスタマイズ既存の無料・低コストツールを組み合わせて手動〜半自動で運用数万円〜50万円程度(構築代行を依頼する場合)ツール利用料は無料〜数千円程度、運用は人手
4. フルスクラッチ開発震度連動配信・他システム連携・独自集計ロジックまで一体で開発300万〜1000万円程度、規模により超える場合も保守費用として初期費用の10〜15%程度/年
安否確認システムの導入方法4種類(クラウド型SaaS・パッケージ型・LINE等の簡易カスタマイズ・フルスクラッチ開発)を初期費用と月額費用の対数横棒グラフで比較し、費用を左右する3要因(従業員数・拠点数、震度連動の自動配信有無、家族安否確認の要否)を示した図

従業員数が数十人規模で、震度連動の自動配信と回答集計があれば十分な企業は、クラウド型SaaSで運用できることが多い。家族安否確認や他拠点・グループ会社との連携、独自の集計フォーマットが必要になるほど、カスタマイズや自社開発の必要性が高まっていく。導入方式そのものの違いは中小企業のITリスク対策ガイドでも整理しているので、判断に迷う場合は参照してほしい。

費用が変わる主な要因

- 従業員数と拠点数: 対象人数が多いほど、また複数拠点・グループ会社を横断して配信するほどライセンス数と設計工数が増える
- 配信チャネルの数: メールのみか、専用アプリ・LINE・SMSまで組み合わせるマルチチャネルにするかで開発・運用コストが変わる
- 震度連動の自動配信有無: 気象庁の震度情報と連動して自動配信するか、手動でトリガーするかで運用負荷とシステム側の連携開発量が変わる
- 家族安否確認の要否: 従業員本人だけでなく家族の安否登録まで対応するかどうかで、登録データ量と個人情報管理の設計が増える
- BCP掲示板・多言語対応の有無: 災害時の一斉掲示や外国人従業員向けの多言語配信まで求めるかどうかで機能追加の範囲が変わる
- 既存システムとの連携: 勤怠管理や人事データベースと連携し対象者リストを自動更新するほど、連携先の数に応じて工数が増える

無料・低コストの代替手段とその限界

専用システムを導入する前に、LINEグループへの一斉送信やGoogleフォームでの回答収集といった無料ツールの組み合わせで運用している企業も多い。従業員数十名程度で、担当者が災害発生時に確実に動ける規模であれば、当面はこうした運用でも機能する。ただし無料ツールの組み合わせには構造的な限界がある。まず、気象庁の震度情報と連動した自動配信ができないため、担当者自身が被災し動けない状況では配信自体が遅れる、あるいは行われないリスクがある。次に、未回答者への自動再送や督促ができず、手動でのフォローアップに頼ることになる。さらに、回答データがLINEのトーク履歴やスプレッドシートに分散し、経営層への報告用に手作業で集計し直す手間が発生する。個人情報保護の観点でも、家族の安否情報など機微なデータを汎用ツールで扱うことにはリスクが伴う。従業員数が増える、拠点が複数になる、経営層への即時報告が必要になるといった段階で、専用システムへの移行を検討したい。

選定前に確認すべきチェックリスト

- 対象となる従業員数・拠点数・グループ会社の範囲はどれくらいか
- 気象庁の震度情報と連動した自動配信が必要か、手動トリガーで足りるか
- 家族の安否確認まで対応する必要があるか
- メール・専用アプリ・LINE・SMSのうち、どの配信チャネルを組み合わせる必要があるか(従業員が普段使うツールに合わせる)
- 未回答者への自動再送・督促機能があるか
- BCP掲示板など安否確認以外の緊急連絡機能が必要か
- 勤怠管理や人事データベースとの連携で対象者リストを自動更新できるか
- 外国人従業員向けの多言語配信が必要か
- 訓練配信(テスト送信)の頻度制限や追加費用の有無

よくある失敗パターン

安否確認システム導入でつまずくケースにはいくつかの共通点がある。第一に、導入時の従業員リストのまま連絡先を更新せず、入社・退職があっても反映されないまま数年運用し、実際の災害時に「退職者に配信された」「新入社員に届かない」といった事態が起きるケースだ。第二に、導入して満足してしまい訓練配信を一度も行わないまま数年経過し、実際の災害時に配信自体が設定ミスで届かない、あるいは従業員がアプリの通知をオフにしていて気づかないといった不具合が発生するケースである。第三に、震度連動の自動配信機能があるにもかかわらず設定を手動トリガーのままにしており、深夜・休日の地震で誰も配信操作をできず初動が遅れるケースも見られる。第四に、ITのBCP対策全体を検討せず安否確認システム単体で導入した結果、安否は確認できても業務継続の代替手段や緊急連絡網が整っておらず、初動対応が中途半端になるケースも少なくない。

運用のコツ(訓練・連絡先メンテナンス)

- 訓練配信は年2回以上: 最低でも年2回、できれば四半期に1回、実際の配信フローに沿ったテスト送信を行い、回答率と配信経路の不具合を洗い出す
- 連絡先データは入社・退職のタイミングで更新: 人事異動のフローに安否確認システムの連絡先更新を組み込み、担当者任せの手作業更新にしない
- 回答率が低い部署は個別フォロー: 訓練配信の回答率を部署別に可視化し、著しく低い部署には通知設定やアプリの導入状況を個別に確認する
- BCP全体の中で位置づけを明確にする: 安否確認はBCP対策の入り口にすぎないため、中小企業のITリスク対策ガイドを参考に、データバックアップや業務継続手段まで含めた計画と合わせて運用する
- 社内周知は複数チャネルで: システム導入時の周知をビジネスチャットツール比較で使っているチャットツールとメール両方で行い、周知漏れを防ぐ

実現方法別の比較まとめ

観点クラウド型SaaS・LINE簡易運用が向くケースパッケージ・自社開発が向くケース
従業員数・拠点数数十人〜数百人規模、拠点が少ない数百人〜数千人規模、複数拠点・グループ会社を横断
配信要件震度連動+メール・アプリ配信で足りる家族安否確認・多言語・独自集計まで必要
他システム連携連携不要、または手動でのリスト更新で足りる人事データベース・勤怠管理と自動連携したい
初期投資の考え方初期費用を抑えたい、まず小さく始めたいBCP対策として一定規模の投資判断ができる

安否確認システムの費用は誰が負担するのが一般的ですか?

多くの企業では会社が全額負担し、福利厚生およびBCP(事業継続計画)対策の一環として費用を計上している。従業員への費用請求は一般的ではない。

無料の安否確認手段だけで運用しても問題ありませんか?

従業員数十名程度の小規模組織であれば、LINEグループやGoogleフォームの手動運用でも当面は機能する。ただし震度連動の自動配信や未回答者の自動再送ができないため、担当者が被災している状況では機能しないリスクがある。従業員数が増えるほど専用システムへの移行を検討したい。

クラウド型SaaSとLINE等の簡易カスタマイズはどちらが安く済みますか?

初期費用だけ見ればLINEベースの簡易カスタマイズの方が安いことが多いが、気象庁震度連動の自動配信・家族安否確認・BCP掲示板機能まで求めるとクラウド型SaaSの標準機能で賄う方がトータルで安くなるケースが多い。必要な機能を先に洗い出してから比較するとよい。

導入後、年に何回くらい訓練すればよいですか?

最低でも年2回、できれば四半期に1回程度の訓練配信を行い、回答率と連絡先の最新状況を確認するのが望ましい。入社・退職のタイミングで連絡先データを更新する運用ルールも合わせて整えておく必要がある。

BCP対策として他に何を合わせて整備すべきですか?

安否確認システムは初動対応の一部にすぎない。データバックアップ体制や緊急連絡網、業務継続の代替手段まで含めた総合的なBCP対策を整えることが重要になる。

まとめ

安否確認システムの費用は、クラウド型SaaSなら従業員1人あたり月額100〜500円程度、パッケージ型なら初期30万〜200万円程度、LINE等の簡易カスタマイズなら数万〜50万円程度、フルスクラッチなら300万円以上が目安となる。重要なのは価格の安さだけで選ぶのではなく、震度連動の自動配信・家族安否確認・多言語対応など、自社の従業員規模とリスクに本当に必要な機能を先に洗い出すことだ。導入して終わりにせず、年2回以上の訓練配信と連絡先データの継続的なメンテナンスを運用ルールに組み込むことで、実際の災害時に機能するシステムとして定着させたい。

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