ランサムウェア感染が疑われたら — 最初の30分の初動手順と連絡先
ファイルが開けない、身代金要求画面が出た——そんなときにまずやるべき3つの手順と、絶対にやってはいけないこと、連絡先の使い分けを解説する。
「ファイルが開けない」「見慣れない拡張子に変わっている」「身代金を要求する画面が出た」——ランサムウェア感染が疑われたら、まずネットワークから切り離す(電源は切らない)、触らない、専門窓口へ連絡するの3つを直ちに行ってください。以下、それぞれの具体的な手順と、感染直後に絶対にやってはいけないことをまとめます。
最初の30分でやるべき3つの手順
- 1. ネットワークから切り離す:LANケーブルを抜く、Wi-Fiをオフにする。ただし電源は切らない
- 2. 触らない:ファイルを開かない、再起動しない、身代金要求画面の指示に従わない
- 3. 専門窓口へ連絡する:社内のIT担当や保守会社に第一報を入れ、必要に応じてIPAや警察の相談窓口へ
感染が疑われるサイン
- ファイルの拡張子が見慣れないものに変わっている
- デスクトップの壁紙や画面が身代金要求文に変わっている
- ファイルが開けない、または大量のファイルが同時に更新・暗号化されている
- 見慣れないポップアップや脅迫めいた表示が出る
- パソコンの動作が急に重くなる、ネットワークの通信量が異常に増える
- 共有フォルダやファイルサーバー上のファイルも同時に開けなくなっている
絶対にやってはいけないこと
- 電源を切る(強制シャットダウン):メモリ上の情報が消え、感染範囲の調査や復旧の手がかりを失う可能性がある
- 身代金要求先に連絡・支払いをする:支払っても復号される保証はなく、支払いによって再び標的にされるリスクも報告されている
- 自己判断で無料復号ツールを実行する:ランサムウェアの種類を誤って判断すると、ファイルが完全に破壊され復旧不能になる場合がある
- ログやファイルを削除・上書きする:被害範囲の特定や、必要になった場合の相談・捜査に使う証拠が失われる
ネットワークから切り離す具体的な手順
- 有線LANの場合:パソコン本体からLANケーブルを物理的に抜く
- Wi-Fi接続の場合:OSの設定からWi-Fiをオフにする(不安であれば機内モードも併用する)
- 共有フォルダ・NASを使っている場合:他の端末からの該当フォルダへのアクセスも止め、可能であればNAS自体もネットワークから切り離す
- クラウド同期(OneDrive、Google Drive等)を使っている場合:暗号化されたファイルが他の端末やクラウドに同期されるのを防ぐため、同期を一時停止する
- 同一ネットワーク上に他の端末がある場合:感染端末以外もいったんネットワークから切り離し、被害の拡大を防ぐ
連絡先の使い分け
| 相談先 | こんなときに | 連絡先の探し方 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 保守会社・社内IT担当 | まず状況を共有し、初動対応の判断を仰ぐ | 契約書・請求書に記載の連絡先 | 一次対応の司令塔となる |
| IPA(情報処理推進機構)情報セキュリティ安心相談窓口 | 技術的な相談や被害の実態把握をしたいとき | IPA公式サイトで案内されている窓口 | 専門的な助言が無料で受けられる |
| 警察(サイバー犯罪相談窓口) | 被害届の相談、捜査が必要と考えられる場合 | 都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口 | 証拠保全についての助言も受けられる |
| サイバー保険会社 | サイバー保険に加入している場合 | 保険証券記載の緊急連絡先 | 保険の適用範囲内で指定業者が初動対応を行う場合がある |
バックアップからの復旧を判断する前に
バックアップがあるからといって、すぐに復元してよいとは限りません。感染経路や被害範囲が特定されていない状態で復元すると、同じ脆弱性から再び感染するおそれがあります。まずは保守会社や専門機関に相談し、①感染源の特定・駆除、②バックアップ自体が汚染されていないかの確認、③復元後の監視体制、を整えてから実施することが望ましいです。バックアップを複数世代保存している場合は、感染前の世代を選べるかどうかも確認しましょう。
感染後にやるべきこと
初動対応が落ち着いたら、被害の全体像を把握し、再発防止に取り組む必要があります。個人情報や取引先情報の漏えいが疑われる場合の対応手順はデータ漏えい・情報漏洩が発覚したときの対応手順で、ランサムウェアの基礎知識や日頃の備えについては中小企業のためのランサムウェア基礎知識で詳しく解説しています。
よくある質問
身代金を払えばファイルは元に戻りますか?
支払っても復号される保証はなく、支払いを行ったことで再び攻撃対象にされたケースも報告されています。IPAや警察のサイバー犯罪相談窓口など専門機関に相談したうえで判断してください。
バックアップがない場合はどうすればいいですか?
まずは保守会社やセキュリティ専門業者に相談し、感染範囲の特定・駆除を優先してください。ファイル復旧の可否は専門家の診断が必要で、自己判断での復号ツール実行は避けるべきです。
社内の誰に連絡すればいいかわからない場合は?
IT担当者や情報システム部門がいない場合は、契約している保守会社やITベンダーへまず連絡してください。契約先がない場合は、IPAの相談窓口が技術的な初動の助言をしてくれます。
どのくらいの時間で対応すればいいですか?
感染が疑われる時点で被害が進行している可能性があるため、気づいた時点で直ちにネットワーク切り離しを行うことが最優先です。その後の詳細な対応は、専門家の判断を仰ぎながら数時間から数日かけて進めることになります。
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