社内チャットの費用と選び方|Slack・Teams・Chatwork・LINE WORKS比較
社内連絡がメールと電話と個人LINEに散らばっている中小企業向けに、Slack・Teams・Chatwork・LINE WORKSの費用目安と選び方を解説。無料プランの制限、導入時のルール作り、退職時のアカウント停止手順、ありがちな失敗パターンまで、現場で役立つ視点でまとめています。導入判断チェックリスト付き。
4つの社内チャットツールの違いは「無料プランでどこまで足りるか」「既に使っているグループウェアとの相性」「現場のスマホ利用率」の3点でほぼ決まります。費用感としては、無料プランのまま運用できる会社もあれば、有料プランで1人あたり月500〜1,500円程度、初期の設計・教育コストを含めると数万円〜数十万円かかるケースまで幅があります。以下、2026年8月時点の目安として整理します。
そもそも社内チャットは必要か
メールと電話と担当者個人のLINEアカウントが混在している状態には、いくつかの共通した問題があります。まず、誰が何を知っていて誰が知らないかが見えなくなり、同じ質問が何度も飛び交います。次に、担当者が退職・異動すると、その人の個人LINEに残っていたやり取りごと連絡手段が失われます。さらに、メールは形式的すぎて即応が必要な現場連絡に向かず、電話は記録が残らず「言った言わない」のトラブルの元になります。社員が10人を超え、複数の現場やプロジェクトが並行して動くようになった段階で、社内チャットの導入を検討する価値は十分にあります。逆に、社員数名で全員が同じ部屋で働いているような会社であれば、無理に導入する必要はありません。
4ツール比較(2026年8月時点の目安)
料金は各社とも改定が多く、ここでの数値はあくまで目安です。契約前には必ず公式サイトで最新のプランと価格を確認してください。
| ツール | 無料プランの制限 | 有料プラン月額目安(1ユーザー) | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| Slack | メッセージ閲覧に90日の制限がかかる場合がある、外部連携の制限あり | おおよそ900〜1,800円程度 | エンジニアが多い、ツール連携(カレンダー・タスク管理等)を重視する会社 | 通知が多くなりやすく、チャンネル設計をしないと乱立しやすい |
| Microsoft Teams | Microsoft 365未契約でも単体プランで利用可、機能制限あり | Microsoft 365契約に含まれる場合が多く、単体では月900円前後 | 既にMicrosoft 365(Word・Excel・Outlook)を使っている会社 | Web会議・ファイル共有と一体化しているぶん初期設定がやや複雑 |
| Chatwork | ユーザー数やファイル容量に制限あり、無料でも社外とのやり取り可 | おおよそ500〜800円程度 | 非IT職が中心、取引先とのやり取りが多い建設・製造・士業など | 高機能なタスク管理や外部連携は他ツールより弱め |
| LINE WORKS | トーク履歴の保存期間や参加人数に制限あり | おおよそ450〜1,000円程度 | 現場スタッフがスマホ中心、個人LINEからの移行を急ぎたい会社 | 普段使いのLINEアプリと画面が似ているため、私用LINEとの混同に注意 |
選び方の判断軸
第一の軸は「既に契約しているグループウェアに寄せるかどうか」です。Microsoft 365を契約済みならTeams、Google WorkspaceならChatworkやSlackを組み合わせる、というように既存契約との重複を避けるのが最もコストを抑えやすい選び方です。第二の軸は「社外とのやり取りが多いか」です。Chatworkは社外ゲスト招待の機能が使いやすく設計されており、取引先との連絡が多い会社に向いています。第三の軸は「現場がスマホ中心かパソコン中心か」です。工事現場や店舗、配送など、スタッフの多くがスマホしか使わない環境ではLINE WORKSのような直感的な操作性が効きます。第四の軸は「管理コストをどれだけかけられるか」です。ひとり情シスの会社では、複雑な権限設定や外部連携が必要なツールより、シンプルに使えるツールを優先したほうが運用が続きます。この判断はひとり情シスの業務整理術とも共通する考え方です。
導入時に決めておく実務
ツールを選んだら、使い始める前に最低限のルールを決めておく必要があります。アカウントの配布は、入社・異動のタイミングで誰が発行するかを決め、担当者を固定します。チャンネル(トークルーム)設計は、部署別・プロジェクト別など最初に方針を決めておかないと、後から整理するのが非常に手間になります。目的別に「全社連絡」「部署」「案件ごと」のような階層をあらかじめ用意しておくのが無難です。退職・異動時のアカウント停止は特に重要で、放置すると元社員が社内の会話にアクセスできる状態が続いてしまいます。この点は退職・異動時のITオフボーディングの手順に沿って、チャット系アカウントの停止も忘れずに含めてください。あわせて「業務連絡は会社のチャットツールで行い、私物LINEでの業務連絡は禁止する」というルールを就業規則やガイドラインに明記し、周知することも重要です。
よくある失敗パターン
社内チャット導入でよく見られる失敗には共通のパターンがあります。ひとつは、チャンネルを誰でも自由に作れるようにした結果、似た名前のチャンネルが乱立し、どこで何を話しているか分からなくなるケースです。もうひとつは、常時オンラインであることを前提にした運用になり、「既読がついたのに返信がない」「就業時間外でも返信を求められる」といった心理的な圧力が生まれるケースです。ルールとして、返信の目安時間や、時間外連絡を避ける方針をあらかじめ決めておくことが有効です。さらに、無料プランのメッセージ履歴の保存期間制限を知らずに使い続け、必要な過去のやり取りが見えなくなって困るケースも少なくありません。重要な取り決めはチャットだけに残さず、別途記録に残す運用も検討してください。最後に、部署ごとに別々のツールを導入してしまい、複数のチャットツールが並行稼働する「二重ツール併存」も典型的な失敗です。全社で使うツールを1つに絞り込むことが、コストと管理負担の両方を下げます。
費用の全体像
費用は大きく「ツールの月額利用料」と「導入時の設計・教育コスト」の2つに分けて考えると見積もりやすくなります。ツールの月額利用料は、社員数×1人あたり単価で計算でき、10人規模であれば無料プランで足りることも多く、有料プランでも月数千円〜1万円台に収まることが一般的です。一方、導入時の設計・教育コストは見落とされがちですが、チャンネル設計や運用ルールの策定、社員向けの操作説明会などを外部に依頼する場合、数万円〜20万円程度の幅で発生することがあります。自社で完結できるのであれば、この部分のコストはほぼゼロにできます。既に複数のSaaSを契約している会社は、SaaS・サブスクの費用棚卸しの考え方で、既存ツールとの重複がないかもあわせて確認しておくと無駄な出費を防げます。
- 社員数と、社外とのやり取り頻度を整理できているか
- 既に契約しているグループウェア(Microsoft 365・Google Workspaceなど)を確認したか
- 現場スタッフの端末がスマホ中心かパソコン中心かを把握しているか
- チャンネル(トークルーム)の設計方針を事前に決めたか
- アカウント発行・停止の担当者と手順を決めたか
- 私物LINEでの業務連絡を禁止するルールを周知する準備ができているか
- 返信の目安時間や時間外連絡の方針を決めたか
- 無料プランのメッセージ履歴保存期間の制限を確認したか
無料プランだけで運用できますか。
社員数十名以下で、外部連携やメッセージ履歴の長期保存が不要であれば、無料プランのまま運用している中小企業は少なくありません。まずは無料プランで試し、履歴の保存期間や機能制限が業務上の支障になった段階で有料プランへの切り替えを検討するのが現実的です。
複数のツールを併用してもよいですか。
基本的にはおすすめしません。部署ごとに別のツールを使うと、全社への連絡が漏れたり、退職者のアカウント管理が煩雑になったりします。どうしても複数使う理由がある場合(取引先の指定など)は、社内の主連絡手段を1つに固定した上で、例外的に使う位置づけを明確にしてください。
LINE WORKSと個人のLINEは何が違いますか。
画面の見た目は似ていますが、LINE WORKSは会社が組織としてアカウントを管理でき、退職時にアカウントを停止したり、メッセージ履歴を会社側で確認したりできる点が大きく異なります。個人LINEでの業務連絡は、退職時に連絡手段ごと失われるリスクや、私的な会話と業務連絡が混ざるリスクがあります。
導入までにどのくらいの期間がかかりますか。
アカウント発行と基本的なチャンネル設計だけであれば、数日〜1週間程度で最低限の運用を始められます。ただし、運用ルールの周知や社員への説明、既存の連絡手段からの移行期間を含めると、全社に定着するまでに1〜2ヶ月程度を見込んでおくと無理がありません。
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