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株式会社オブライト
Business DX2026-07-21約5分で読めます

データ移行の費用と進め方 — システム入れ替えで最ももめる工程

システムの入れ替えで最ももめやすい「データ移行」について、規模・複雑さ別の費用目安を表で示し、5つの実施工程、文字コード不一致や重複データなど陥りやすい落とし穴、見積もり時に確認すべきポイントまでを中立的な視点から順を追って詳しく解説する。


データ移行とは何をする作業か

基幹システムや業務システムを入れ替える際、旧システムに蓄積されたデータを新システムへ移す作業を指す。単なるファイルのコピーではなく、旧システムと新システムでは項目の並び方やコード体系、入力ルールが異なることがほとんどのため、データの意味を保ったまま形式を変換する「マッピング」と呼ばれる工程が中心になる。Excelからの移行を検討する場合も、システム間の入れ替えの場合も、移行するデータの範囲を先に確定させないと、後工程の見積もりが成立しない。得意先マスタや在庫データのように現在も使う情報だけでなく、過去の取引履歴や添付ファイルをどこまで持っていくかによって、作業量は大きく変わる。

データ移行が軽く見積もられやすい理由

システム選定の見積もりでは、画面数や機能数をもとにした開発費用が主役になりやすく、データ移行は「その他一式」としてまとめて扱われがちである。しかし実際には、老朽化したシステムほど過去の運用で例外的な入力やイレギュラーなデータが積み重なっており、移行作業の負荷は年数とともに増える傾向がある。見積もり段階では移行対象のデータ量や種類が確定していないことが多く、契約後に想定外のクレンジング作業が発覚して追加費用や遅延につながるケースは珍しくない。移行を「システム構築の一部」ではなく「独立した工程」として扱い、早期に規模を把握することが、費用と工期のブレを抑える出発点になる。

データ移行の5つの工程

- 現状調査: 旧システムのデータ構造、件数、保存形式を洗い出す
- マッピング設計: 旧項目と新項目の対応関係を定義し、変換ルールを決める
- クレンジング: 重複・欠損・表記ゆれなどを整理し、移行に耐える品質に整える
- 試験移行: 一部または全件を新システムに移し、件数や整合性を検証する
- 本番移行: 最終データを移し、旧システムとの並行稼働や切り替えを行う

費用の目安

移行データの規模・複雑さ費用の目安主な特徴
小規模・単純(数千件程度、テーブル数が少ない)数十万円程度手作業でのクレンジングや汎用ツールで対応可能
中規模(数万件、複数テーブル、変換ルールが多い)100万〜500万円程度マッピング設計とクレンジングに専門知識が必要
大規模・複雑(数十万件以上、複数システムに分散)500万〜1,500万円程度移行専用ツールの開発や複数回の試験移行が必要
大規模かつレガシー環境(旧システムの仕様が不明・資料不足)1,500万円〜、数千万円規模に及ぶことも仕様の再調査から始める必要があり工期・費用とも読みにくい

※費用は一般的な目安であり、要件により大きく変動する。必ず複数社から見積もりを取り比較すること。

よくある落とし穴

- 文字コードの不一致: 旧システムがShift-JIS、新システムがUTF-8など、文字コードの違いで文字化けが起きる
- 全角・半角のゆれ: 電話番号や住所、カナ氏名などの表記ゆれが検索・突合の妨げになる
- 重複データ: 同一得意先が異なるコードで複数登録されているなど、名寄せが必要になる
- 添付ファイルの扱い: 見積書や図面などの添付ファイルはデータベースの外に保存されていることが多く、移行対象から漏れやすい
- 権限・マスタ情報の再構築: ユーザー権限や組織階層は自動移行できず、新システムの仕様に合わせて作り直しが必要になることが多い
- 旧システムの参照期間: 過去データを全件移行せず旧システムを一定期間残す場合、参照用の環境維持にも費用がかかる

見積もり時に確認すべきこと

- 移行対象データの範囲(項目・期間・件数)を誰がどのように確定するか
- クレンジング作業は発注側・受注側のどちらがどこまで担当するか
- 試験移行は何回実施し、どの基準で「合格」と判断するか
- 旧システムとの並行稼働期間はどれくらい見込むか、その間の費用は誰が負担するか
- 移行後にデータの不整合が見つかった場合の切り戻し・修正の手順と責任範囲
- 添付ファイルや紙帳票など、データベース外の情報の移行方針

移行しないという選択

すべての過去データを新システムに移す必要はない。参照頻度の低い古い取引履歴などは、無理に移行せず旧システムを「参照専用」として一定期間残す判断も現実的である。属人化したシステムの引き継ぎと同様に、旧システムを残す場合は誰が保守し、いつ廃止するかをあらかじめ決めておかないと、「動いているから」という理由だけで何年も残り続け、二重の維持費用がかかる状態になりかねない。移行範囲を絞り込むことは、費用を抑えるだけでなく、クレンジングの負荷や試験移行の回数を減らし、全体の工期短縮にもつながる。

データ移行の費用は誰が負担するのが一般的ですか?

開発会社が提示する見積もりに含まれる場合と、別途工程として切り出される場合の両方がある。契約前に、データ移行が開発費用に含まれているのか、含まれる場合はどこまでの作業か(クレンジングを含むか、試験移行は何回かなど)を明確にしておく必要がある。

移行にかかる期間はどれくらいですか?

データ量や複雑さによって幅があるが、小規模であれば数週間、複数システムにまたがる大規模な移行では数ヶ月かかることもある。試験移行で問題が見つかると、その分だけ工期が延びやすいため、余裕を持ったスケジュールを組むことが望ましい。

自社でできる準備はありますか?

現行データの棚卸し(どのマスタ・履歴が実際に使われているか)や、明らかな重複・誤入力の洗い出しは発注前でも着手できる。この作業を先に済ませておくと、見積もり精度が上がり、開発会社側のクレンジング工数も抑えられる。

移行に失敗した場合、旧システムに戻せますか?

契約段階で切り戻し手順を確認しておくべき点である。旧システムをすぐに停止せず、一定期間並行稼働させる、あるいは移行前データのバックアップを保持しておくといった対応により、問題発覚時に業務を止めずに切り戻せる可能性が高まる。

移行データの件数が多いほど費用も比例して増えますか?

件数だけでなく、テーブル数や変換ルールの複雑さ、クレンジングが必要な割合の影響が大きい。件数が少なくても表記ゆれや重複が多いデータは、件数が多く整った状態のデータより工数がかかることがある。

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