DeepSeek V4 必要スペック早見表
Flash 約160GB / Pro 約920GB(4-bit)と API 料金・旧モデル廃止(7/24)まとめ【2026年正式版】
DeepSeek V4 をローカルで動かす必要メモリは、V4-Flash(284B)が4-bitで約160GB、V4-Pro(1.6T)が4-bitで約920GB。量子化別のVRAM・RAM早見表、API料金(Flash 出力 $0.28/1M・Pro $0.87/1M)、1Mコンテキスト時のKVキャッシュ、そして2026年7月24日の deepseek-chat / deepseek-reasoner 廃止への移行手順までまとめた。Updated July 2026。
DeepSeek V4 の必要メモリは Flash が4-bitで約160GB、Pro が約920GB
DeepSeek V4 をローカルで動かす場合、実用的な4-bit量子化での推論メモリ(VRAM+RAM合計)は、V4-Flash(総パラメータ284B)で約160GB、V4-Pro(総パラメータ1.6T)で約920GBが目安になる。個人PCで現実的に狙えるのは Flash を強めに量子化した構成までで、Pro はH100 80GB×10枚相当のサーバー級環境が前提となる。ローカル実行にこだわらないのであれば、公式APIの出力料金は Flash が100万トークンあたり $0.28、Pro が $0.87 と、性能に対しては極めて低廉な水準にある。
本記事は2026年7月の正式版リリース時点の情報にもとづく必要スペック早見表である。2026年4月のプレビュー公開時の位置づけについてはDeepSeek V4 Preview リリース解説を参照されたい。
モデル構成 — V4-Pro と V4-Flash
| 項目 | DeepSeek-V4-Pro | DeepSeek-V4-Flash |
|---|---|---|
| 総パラメータ | 1.6T | 284B |
| アクティブパラメータ | 49B | 13B |
| コンテキスト長 | 1Mトークン | 1Mトークン |
| 最大出力 | 384Kトークン | 384Kトークン |
| モデルID | deepseek-v4-pro | deepseek-v4-flash |
| 推論モード | Thinking / Non-Thinking | Thinking / Non-Thinking |
| ライセンス | MIT(重み公開) | MIT(重み公開) |
| 同時実行上限(API) | 500 | 2,500 |
両モデルとも MoE(Mixture-of-Experts)構成で、トークンごとに使われるアクティブパラメータは総パラメータのごく一部にとどまる。ただしローカル実行では全エキスパートの重みをメモリ上に置く必要があるため、必要メモリを決めるのはアクティブパラメータではなく総パラメータである点に注意したい。アクティブパラメータが効くのは生成速度であって、メモリ要件ではない。
必要メモリ早見表(量子化別・推定)
以下は「総パラメータ×ビット数÷8」で算出した重み容量に、KVキャッシュ・アクティベーション等の推論オーバーヘッドを約15%上乗せした概算である(コンテキスト8K前提)。
| 量子化 | V4-Flash(284B)重み / 実運用目安 | V4-Pro(1.6T)重み / 実運用目安 | 精度の目安 |
|---|---|---|---|
| 2-bit(Q2系) | 約71GB / 約82GB | 約400GB / 約460GB | 明確に低下。用途限定 |
| 3-bit(Q3系) | 約107GB / 約122GB | 約600GB / 約690GB | 実用範囲の下限 |
| 4-bit(Q4_K_M) | 約142GB / 約160GB | 約800GB / 約920GB | 実用推奨 |
| 8-bit(Q8) | 約284GB / 約327GB | 約1.6TB / 約1.84TB | ほぼ無劣化 |
| BF16(フル精度) | 約568GB / 約650GB | 約3.2TB / 約3.7TB | 原精度 |
コミュニティで配布されている実際の量子化ファイルのサイズも概ねこの範囲に収まっている。V4-Pro では Q2_K-XL が約498GiB(実行には520GiB以上の空きが必要)、Q4_K_M-XL が約828GiB(同870GiB以上)と報告されており、上表の推定と整合する。
1Mコンテキストを使うときの追加メモリ
上表は8Kコンテキスト前提の値である。V4 の売りである1Mトークンのコンテキストを実際に使う場合、KVキャッシュが50GB以上追加で必要になると報告されている。つまり V4-Flash を4-bitで長文脈運用するなら、160GBではなく210GB以上を見込む必要がある。
KVキャッシュは入力トークン数に比例して増えるため、実運用では「常時1Mを使う」のではなく、必要なときだけ長文脈に切り替える設計が現実的である。長文脈が主目的なら、ローカル実行よりAPI利用のほうがコスト・運用の両面で有利になりやすい。
量子化とは — メモリが減る仕組みとトレードオフ
量子化は、モデルの重みを表現するビット数を減らしてメモリ使用量を圧縮する技術である。BF16(16ビット)を4-bitに落とせば重み容量は約4分の1になる。代償として計算精度は下がるが、4-bit程度なら多くの実用タスクで劣化はわずかにとどまる。2-bit以下になると出力品質の低下がはっきり体感できるようになるため、品質を求める用途では3-bit以上を選びたい。
MoEモデルではもう一段の工夫が使える。ルーティングされるエキスパートの重みだけをCPU側メモリにオフロードする方式(llama.cpp の -cmoe 相当)を使うと、GPUのVRAMに収まらない大きな量子化でも動かせる。生成速度は落ちるが、「動かない」を「遅いが動く」に変えられる選択肢として有効である。
推論エンジンの対応状況 — llama.cpp は本家未対応
2026年7月時点で注意が必要なのは、DeepSeek V4 のアーキテクチャ対応が llama.cpp 本家(ggml-org/llama.cpp)にまだ入っていない点である。配布されているGGUF量子化はV4対応のフォーク版でのみロードでき、本家バイナリでは読み込みに失敗する。導入前に、使用するGGUFのモデルカードが指定するフォーク/ブランチを必ず確認したい。
サーバー用途では vLLM / SGLang 系の高スループット推論エンジンが基本線となる。バックエンドは Apple Silicon(Metal)、NVIDIA CUDA(Ada / Blackwell 世代)、CPU が想定されている。
Apple Silicon / Mac での動作
Apple Silicon は Unified Memory をそのまま推論メモリとして使えるため、大容量メモリのMac Studioであれば V4-Flash が射程に入る。4-bitの約160GBは512GB構成のMac Studioなら余裕があり、1Mコンテキストを使ってもKVキャッシュを含めて収まる。一方 V4-Pro は4-bitでも約920GBが必要で、単体のMacでは量子化を強めても現実的ではない。
128GB級のMacでは、3-bit(約122GB)が理論上のぎりぎりの線となる。OSと他アプリの使用分を差し引くと安定動作は厳しく、実際には2-bit相当まで落とすか、エキスパートのCPUオフロードを併用することになる。
NVIDIA GPU 構成の目安
| 構成 | 合計VRAM | 動かせる範囲 |
|---|---|---|
| RTX 5090 32GB ×1 | 32GB | いずれも不可(要CPUオフロード) |
| RTX 6000 Ada 48GB ×2 | 96GB | Flash 2-bit(約82GB)まで |
| H100 80GB ×2 | 160GB | Flash 4-bit(約160GB)がぎりぎり |
| H100 80GB ×4 | 320GB | Flash 4-bit+1M長文脈が安定 |
| H200 141GB ×8 | 約1.1TB | Pro 4-bit(約920GB)が視野 |
| H100 80GB ×10以上 | 800GB以上 | Pro 4-bit の実用ライン |
24〜32GBクラスのコンシューマーGPU単体では、最も軽い量子化でも V4 をVRAMに載せることはできない。この帯のGPUで手元のLLMを動かしたい場合は、Gemma 4のような小型モデルを選ぶか、V4 は公式APIで使う切り分けが現実的である。手持ちのGPUで何が動くかはVRAM計算ツールでも確認できる。
API 料金(2026年7月時点)
| モデル | キャッシュヒット入力 | キャッシュミス入力 | 出力 |
|---|---|---|---|
| deepseek-v4-flash | $0.0028 / 1M | $0.14 / 1M | $0.28 / 1M |
| deepseek-v4-pro | $0.003625 / 1M | $0.435 / 1M | $0.87 / 1M |
特徴的なのはキャッシュヒット時の入力単価で、ミス時の50分の1から120分の1という水準にある。同じシステムプロンプトや同じ長文ドキュメントを繰り返し投げる用途(社内ドキュメントQA、コードベース解析など)では、プロンプトの前方一致を意識した設計がそのままコスト削減に直結する。
APIは OpenAI ChatCompletions 互換に加えて Anthropic 形式のAPIにも対応しており、既存クライアントからの接続先切り替えで試せる。
時間帯別料金(ピークタイム課金)について
正式版の発表に合わせて、1日のうち 9:00〜12:00 と 14:00〜18:00 をピーク時間帯とし、この時間帯はオフピークの2倍の単価とする時間帯別課金の導入が報じられている。大手AI APIとしては珍しい仕組みで、バッチ処理をオフピークに寄せる運用が有効になる。
ただし本記事の執筆時点(2026年7月21日)で、公式のPricingドキュメントには時間帯別料金の記載がなく、上表のフラットな単価のみが掲載されている。時間帯の基準タイムゾーン(中国標準時であれば日本時間は+1時間)も含め、バッチ処理の設計に組み込む前に公式ドキュメントで最新の適用状況を確認してほしい。
【要対応】旧モデル deepseek-chat / deepseek-reasoner は2026年7月24日に廃止
既存の DeepSeek API 利用者にとって最も重要なのがこの点である。従来のモデルID deepseek-chat と deepseek-reasoner は 2026年7月24日 15:59(UTC)をもって完全に廃止され、以降アクセスできなくなる。日本時間では7月25日(金)0時59分にあたる。切り替えを忘れると、その時刻を境に本番のAPI呼び出しが失敗する。
| 旧モデルID | 推奨移行先 | 理由 |
|---|---|---|
deepseek-chat | deepseek-v4-flash | 汎用チャット用途。単価が最も低く同時実行上限も高い |
deepseek-reasoner | deepseek-v4-pro(Thinkingモード) | 推論重視用途。V4では推論モードがモデル選択ではなくモードで切り替わる |
移行時の実務的なチェックポイントは次のとおりである。第一に、コード内にモデルIDをハードコードしている箇所の洗い出し(環境変数化しておくと次回以降が楽になる)。第二に、推論モードの指定方法が「モデルを分ける」方式から「Thinking / Non-Thinking を切り替える」方式に変わったことへの対応。第三に、出力トークン単価と最大出力(384K)が変わるため、コスト試算とタイムアウト設定の見直しである。
ローカル実行とAPI利用の判断
V4 クラスのモデルでは、ローカル実行の動機は「性能」ではなくデータを外部に出さないことにほぼ集約される。API単価が出力100万トークンあたり $0.28〜$0.87 という水準である以上、コストだけを理由にH100を並べる合理性はまず成立しない。
したがって判断軸はシンプルである。機密データを社外に出せない制約があるなら V4-Flash のローカル運用(4-bit・160GB級)を検討し、それ以外はAPIを使う。中小企業でオンプレLLMを検討する場合は、V4-Pro のようなフロンティア級ではなく、Flash クラス以下で要件が満たせるかを先に確認したほうがよい。
トラブルシューティング — メモリ不足時の対処
- ロードに失敗する / OOMで落ちる: まず量子化を1段階下げる(4-bit→3-bit)。それでも足りなければエキスパートのCPUオフロードを併用する
- GGUFが読み込めない: 本家 llama.cpp ではV4アーキテクチャ非対応。モデルカード指定のフォークを使う
- 長文を入れた途端に落ちる: KVキャッシュ不足。コンテキスト長の上限設定を下げる(1M→128K等)
- 極端に遅い: CPUオフロード量が多すぎる。より小さい量子化でGPUに収める方が速い場合が多い
- 出力品質が低い: 2-bit以下まで落としている可能性。3-bit以上に戻して比較する
他のオープンウェイトモデルとの比較
2026年7月時点のオープンウェイト最前線は、Kimi K3(2.8T)、GLM-5.2(753B)、Inkling(975B)、そして DeepSeek V4(1.6T / 284B)が並ぶ構図である。この中で DeepSeek V4 の特徴は、フロンティア級のPro と、ローカル実行が現実的なFlash という2サイズをMITライセンスで揃えた点にある。
284Bの Flash は、上記の他モデルがいずれも数百GB〜1TB級を要するのに対し、4-bitで約160GBと相対的に手が届きやすい。「オープンウェイトを自社環境で動かす」という要件がある場合、現実的な第一候補になりやすい。
FAQ
DeepSeek V4 は個人のPCで動きますか?
V4-Flash(284B)であれば、512GB級のメモリを積んだMac StudioやマルチGPU構成なら4-bit量子化(約160GB)で動作する。ただし24〜32GBのコンシューマーGPU単体では最軽量の量子化でも動かない。V4-Pro(1.6T)は4-bitでも約920GB必要で、個人環境では非現実的である。
必要メモリはアクティブパラメータで決まりますか?
決まらない。MoEモデルは推論時に全エキスパートの重みをメモリ上に保持する必要があるため、必要メモリを決めるのは総パラメータである。アクティブパラメータ(Pro 49B / Flash 13B)が効くのは生成速度であり、メモリ要件ではない。
deepseek-chat を使っています。いつまでに何をすべきですか?
2026年7月24日15:59 UTC(日本時間7月25日0時59分)までに deepseek-v4-flash へモデルIDを切り替える必要がある。この時刻以降、旧IDは完全にアクセス不能になり、切り替えていなければAPI呼び出しが失敗する。deepseek-reasoner を使っている場合は deepseek-v4-pro のThinkingモードが移行先となる。
ピークタイム課金は本当に始まりますか?
正式版に合わせて9:00〜12:00・14:00〜18:00をオフピークの2倍単価とする時間帯別課金の導入が報じられているが、2026年7月21日時点の公式Pricingドキュメントにはフラットな単価のみが掲載されている。バッチ処理の設計に織り込む前に公式ドキュメントで最新状況を確認したい。
1Mコンテキストを使うと必要メモリはどれだけ増えますか?
KVキャッシュとして50GB以上の追加が報告されている。V4-Flashを4-bitで長文脈運用する場合、8K前提の約160GBではなく210GB以上を見込む必要がある。
llama.cpp で動きますか?
本家のllama.cpp(ggml-org/llama.cpp)はV4アーキテクチャに未対応で、配布されているGGUFはV4対応のフォークでのみロードできる。導入前にモデルカードが指定するフォーク/ブランチを確認する必要がある。
ライセンスは商用利用できますか?
V4-Pro・V4-Flash とも重みはMITライセンスで公開されており、商用利用が可能である。
参考文献
この記事に関連する無料ツール(登録不要・その場で結果)
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