LongCat-2.0 必要スペック早見表 — VRAM 970GB〜/1.6T MoE をどう動かすか【2026年版】
LongCat-2.0はMeituan公開の1.6TパラメータMIT MoEモデル。ローカル実行はBF16で約3,800GB、INT4でも約970GB級のメモリが必要で個人PCでは動かない。必要スペック早見表とAPI料金(入力$0.75/出力$2.95・100万トークンあたり)を2026年7月時点でまとめた。
LongCat-2.0 とは
LongCat-2.0をローカルで動かすには、量子化なしのBF16で約3,800GB級、最も軽いINT4量子化でも約970GB級のメモリが必要になる。いずれの構成でも一般的な8GPUノード1台には収まらず、複数ノードにまたがる構成が前提になる。LongCat-2.0はMeituanが2026年6月30日に発表し、2026年7月5日にHugging Face(meituan-longcat/LongCat-2.0)で重み一式(safetensors、BF16/F32)を公開したMoE(Mixture-of-Experts)モデルである。総パラメータ1.6T、ネイティブ1Mトークンのコンテキスト長、最大出力128Kトークンに対応し、重み・推論コードともMITライセンスで公開されている点が最大の特徴である。「オープンウェイト」と「個人PCで動く」がイコールではない代表例といえる。
必要スペック早見表
| 精度 | 概算メモリ(重み+活性化+KVキャッシュ込み) | 必要GPU構成の目安 |
|---|---|---|
| BF16(フル精度) | 約3,800GB級 | H100/H200 80〜141GB級 ×24以上(3ノード以上) |
| FP8 | 約2,000GB級(概算) | H100 80GB級 ×24〜32程度(3〜4ノード) |
| INT4 | 約970GB級 | H100 80GB級 ×12〜16程度(2ノード) |
上表は第三者による概算であり、公式のハードウェア要件として発表された数値ではない。実運用ではバッチサイズや同時接続数によってKVキャッシュ分のメモリがさらに積み増しになるため、あくまで下限の目安として扱う必要がある。
なぜ個人PCでは動かないのか
LongCat-2.0はMoE構成で、1トークンあたりの活性パラメータは約48B(33B〜56Bの範囲で動的に変動)にとどまる。なお総パラメータ1.6Tのうち135BはN-gram Embeddingが占める。しかしローカル推論では、実際にどのエキスパートが呼び出されるかは入力トークンごとに変わるため、総パラメータ1.6T分の重みをすべてメモリ上に置いておく必要がある。活性パラメータだけを見れば「48Bクラスなら軽そうだ」と誤解しやすいが、必要メモリを決めるのは総パラメータ側であるという点は、DeepSeek V4やKimi K3など他の大型MoEモデルとも共通する構造である。
アーキテクチャの特徴
- LongCat Sparse Attention(LSA): Streaming-aware・Cross-Layer・Hierarchical Indexingの3要素で構成される疎注意機構。1Mトークンのネイティブコンテキストを効率的に処理する狙いがある
- zero-computation experts: 句読点など単純なトークンを、演算を行わない専用エキスパートにルーティングする仕組み。無駄な計算を減らし、活性パラメータの実効レンジ(33B〜56B)を抑える
- N-gram Embedding(135B): 総パラメータ1.6Tのうち135BをN-gramベースの埋め込みに割り当てており、これも通常のエキスパート重みと同様にメモリ上に保持する必要がある
ベンチマーク
| ベンチマーク | スコア |
|---|---|
| SWE-bench Pro | 59.5 |
| Terminal-Bench 2.1 | 70.8 |
| SWE-bench Multilingual | 77.3 |
API 料金
| 項目 | 現行料金(100万トークンあたり) | ローンチ時料金 |
|---|---|---|
| 入力 | $0.75 | $0.30 |
| 出力 | $2.95 | $1.20 |
| キャッシュ済みコンテキスト読み出し | 無料 | 無料 |
現行料金はローンチ時から入力・出力とも約2.5倍に値上げされている。キャッシュ済みコンテキストの読み出しは引き続き無料で、同じ長文プロンプトを繰り返し送る用途ではコスト効率が保たれる。APIはOpenAI互換・Anthropic互換の両エンドポイントに対応しており、既存クライアントの接続先を切り替えるだけで試せる。
セルフホストする場合の構成
LongCat-2.0はSGLangとvLLMの両方でOpenAI互換サーバーとして起動できる。SGLangの場合は python3 -m sglang.launch_server --model-path "meituan-longcat/LongCat-2.0"、vLLMの場合は vllm serve "meituan-longcat/LongCat-2.0" が起動コマンドの基本形で、いずれもDockerイメージが提供されている。ただし前述のとおり総メモリ要件がBF16で約3,800GB、INT4でも約970GBに達するため、実行にはマルチノード構成でのテンソル並列・パイプライン並列の設定が前提になる。学習自体は約5万基の中国製AIアクセラレータ(Huawei Atlas 950系、HCCL経由)で35Tトークン超を用いて行われており、推論側でも相応のクラスタ規模が必要になる点は変わらない。
他の大型オープンモデルとの比較
| モデル | 総パラメータ | アクティブパラメータ | コンテキスト長 | ライセンス |
|---|---|---|---|---|
| LongCat-2.0 | 1.6T | 約48B(33B〜56B) | 1Mトークン | MIT |
| DeepSeek V4-Pro | 1.6T | 49B | 1Mトークン | MIT |
| Kimi K3 | 2.8T | 非公開(推定400億〜1000億) | 100万トークン | 未公表(K2系はModified MIT) |
| Inkling | 975B | 約41B | 約104万トークン | Apache 2.0 |
どう使い分けるか
LongCat-2.0はDeepSeek V4-Proとほぼ同じ総パラメータ規模(1.6T)でありながら、ライセンスは両者ともMITで、重みを自社インフラに置いて自由に改変・商用利用できる点は共通する。ただし個人PC・単一サーバーで動かせるモデルではない以上、実運用の選択肢は「マルチノードのGPUクラスタを自前で用意してセルフホストする」か「APIを使う」のどちらかに絞られる。中小企業がオンプレでのLLM運用を検討する場合、LongCat-2.0クラスのフロンティアMoEをローカル実行する合理性は乏しく、機密データを外部に出せない特別な事情がない限りはAPI利用が現実的な選択になる。
FAQ
LongCat-2.0は本当に自宅のPCでは動かせないのか
動かせない。最も軽いINT4量子化でも約970GB級のメモリが必要で、一般的なコンシューマーPCやワークステーション1台に搭載できる容量を大きく超える。BF16フル精度では約3,800GB級に達し、8GPUノード1台にも収まらない。
量子化版は公開されているか
本記事の情報時点でMeituanが公式に配布しているのはsafetensors形式のBF16/F32の重みである。コミュニティによるINT4等の量子化チェックポイントが今後配布される可能性はあるが、公式配布は公表されていない。
MITライセンスで商用利用できるか
できる。重み・推論コードともMITライセンスで公開されており、改変・再配布・商用利用に法的な制限はない。ただしローカル実行に必要なハードウェアコストは別問題であり、ライセンスが自由でも実際に動かせるかは別途検討が必要である。
1Mトークンのコンテキストは実用的か
LSA(LongCat Sparse Attention)により1Mトークンのネイティブコンテキストに対応しているが、長いコンテキストを使うほどKVキャッシュ分のメモリ要件が積み増しになる。上表の概算メモリは長文脈を常用しない前提の目安であり、1Mトークンを常時使う運用ではさらに大きなメモリが必要になる。
APIの料金は今後も変わるか
ローンチ時の入力$0.30・出力$1.20から、現行では入力$0.75・出力$2.95(いずれも100万トークンあたり)に値上げされている。今後も改定される可能性があるため、運用に組み込む際は公式のPricingページで最新の単価を確認することが望ましい。
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