ホームページのアクセス解析入門 — GA4とSearch Consoleで毎月見る数字と外注費用【中小企業向け】
ホームページのアクセス解析は、無料のGA4とSearch Consoleを入れ、毎月5〜7個の数字を30分で見れば足りる。両者の違い、毎月見る数字の表、最初の設定、月1回の手順、外注費用の目安(初期設定は数万〜10万円、月次レポートは月1万〜5万円)と内製・外注の判断基準、チェックリストまで解説する。
ホームページのアクセス解析は、無料の「GA4(Googleアナリティクス4)」と「Search Console」の2つを入れ、毎月5〜7個の数字を30分で確認するだけで、中小企業でも十分に回せる。GA4は「サイトに来た人が何をしたか」、Search Consoleは「来る前に検索でどう見つかったか」を示す道具で、役割が違う。外注する場合の費用は、初期設定が数万円〜10万円程度、月次レポートが月1万〜5万円程度、改善提案込みの運用代行が月5万〜20万円程度が一つの目安になる。本記事では、見る数字、最初の設定、月1回の手順、外注と内製の判断基準を整理する。
ホームページを作った後の費用の全体像はホームページ保守費用で、検索からの集客施策の費用はSEO対策費用で取り上げている。アクセス解析は、これらの費用が効いているかを確かめるための「物差し」にあたる。
なぜホームページの数字を測るのか
ホームページは公開しただけでは、成果が出ているのか、出ていないのかが分からない。「なんとなく問い合わせが少ない気がする」という感覚だけで判断すると、直すべき場所を取り違えやすい。たとえば、そもそも見られていないのか、見られているのに問い合わせにつながっていないのかで、打ち手はまったく異なる。
数字を測る目的は、大きく3つある。1つ目は、現状の把握である。訪問数、どこから来ているか、どのページが読まれているかが分かれば、サイトの状態を人に説明できる。2つ目は、改善の優先順位づけである。数字に表れた弱い部分から手を付ければ、限られた予算や時間を無駄にしにくい。3つ目は、費用対効果の確認である。制作会社や広告、SEO業者に支払っている費用が、数字として何に表れているかを確かめられる。
なお、最初から細かい分析をする必要はない。見る数字を絞り、同じ数字を毎月同じ手順で見続けることのほうが、実務ではずっと効果が高い。
GA4とSearch Consoleの違い
どちらもGoogleが提供する無料のツールだが、見ている場所が違う。GA4は、サイトに訪れた後の行動を記録する。Search Consoleは、サイトに訪れる前、つまりGoogle検索の結果画面でどう表示され、どれだけクリックされたかを記録する。両方を併用することで、「検索で見つかる→訪問する→問い合わせる」という一連の流れが追える。
| 観点 | GA4 | Search Console |
|---|---|---|
| 主な役割 | サイトに来た人の行動を知る | 検索結果での見られ方を知る |
| 分かること | 訪問数、流入元、閲覧ページ、問い合わせなどの成果 | 検索キーワード、表示回数、クリック数、掲載順位、インデックス状況 |
| データの起点 | サイトに入った後 | サイトに入る前(検索結果画面) |
| 設定の方法 | 計測用のタグをサイトに設置する | サイトの所有権を確認する |
| 過去データ | 設定した日から記録が始まる | 登録後、数日で直近データが見られる(保持は約16か月) |
| 費用 | 無料 | 無料 |
GA4だけでは、どんな検索語で見つけられたかの詳細が分からない。逆にSearch Consoleだけでは、訪問後に問い合わせまで進んだかが分からない。そのため、中小企業でも2つとも入れておくことが基本になる。
毎月見る数字は5〜7個で足りる
GA4の画面には膨大な指標が並ぶが、すべてを追う必要はない。月次で確認する数字は、次の7つ程度に絞ると運用が続きやすい。目安の数値は業種やサイトの規模で大きく変わるため、あくまで参考とし、「自社の先月・前年同月との比較」を優先してほしい。
| 指標 | どこで見るか | 目安 | 悪いときの打ち手 |
|---|---|---|---|
| ユーザー数(訪問者数) | GA4「レポート」の概要 | 先月・前年同月との増減で判断 | 流入元を確認し、検索・広告・SNSのどこが減ったかを特定する |
| 流入チャネル別の内訳 | GA4「集客」のトラフィック獲得 | 検索(Organic Search)が柱になっているか | 検索が弱ければ記事・ページの追加、SNS頼みなら検索対策を検討する |
| 閲覧されたページ上位 | GA4「エンゲージメント」のページとスクリーン | 上位に「サービス紹介」「料金」「会社情報」が入るか | 重要ページが読まれていなければ、導線やメニューを見直す |
| エンゲージメント率 | GA4「集客」またはエンゲージメント | 一般に50〜70%程度が一つの目安 | 低い場合は、表示速度、冒頭の分かりやすさ、スマホ表示を確認する |
| キーイベント数・率(問い合わせなど) | GA4「エンゲージメント」のイベント | 訪問者の1〜3%程度が一つの目安(業種で大きく異なる) | 入力フォームの項目数削減、電話ボタンの追加、各ページへの導線強化 |
| 検索の表示回数・クリック数・CTR | Search Console「検索パフォーマンス」 | CTRは順位により変動。1ページ目の下位で数%程度 | 表示は多いのにクリックが少ないページは、タイトルと説明文を書き直す |
| 平均掲載順位と検索クエリ | Search Console「検索パフォーマンス」 | 主要キーワードが10位以内か | 順位が11〜20位のページは、内容の追記で1ページ目に届くことがある |
「キーイベント」は、以前は「コンバージョン」と呼ばれていた設定項目である。問い合わせ送信、電話ボタンのタップ、資料請求など、事業にとって意味のある行動を指す。この数字が見られていないと、アクセス数が増えても成果が分からない。
最初にやっておく設定チェック
アクセス解析は、設定を誤ると後から取り戻せないデータが生まれる。GA4は設定した日からしか記録しないため、公開前または公開直後に済ませておくことが重要になる。次の項目を一通り確認したい。
- GA4のプロパティ作成とタグ設置: 計測ID(G-から始まる文字列)をサイトに設置する。WordPressならプラグインやテーマの設定欄から入れられることが多い。
- データが届いているかの確認: GA4のリアルタイム表示で、自分がサイトを開いた直後に1件として表示されるかを見る。
- キーイベントの設定: 問い合わせ完了ページの表示や、フォーム送信、電話ボタンのタップをキーイベントに指定する。完了ページ(サンクスページ)がないフォームは、制作会社に相談する。
- 社内アクセスの除外: 社員や制作会社の閲覧が混ざると数字がゆがむ。社内のIPアドレスの除外設定(内部トラフィックの定義とフィルタ)を行う。在宅勤務などで固定できない場合は、完全には除けないと割り切る。
- Search Consoleの所有権確認: サイト全体(ドメイン単位)で登録する。DNSでの確認が推奨だが、難しければHTMLタグ方式でもよい。
- GA4とSearch Consoleの連携: GA4の管理画面から連携を設定すると、GA4内で検索キーワードの情報も見られる。
- サイトマップの送信: Search Consoleにサイトマップを登録し、ページが検索に認識されているかを確認する。
- 権限の整理: 管理者権限を制作会社の担当者個人だけが持っている状態は避け、自社のGoogleアカウントにも管理者権限を持たせる。
特に最後の権限の整理は、見落とされやすい。制作会社が自社名義のアカウントで設定したまま契約が終わると、過去のデータに自社が触れなくなることがある。ホームページのリニューアル費用を検討する場面でも、過去の数字が残っているかが判断材料になるため、必ず自社でも閲覧できる状態にしておきたい。
月1回30分のレポート手順
毎月決まった日に、同じ順番で数字を見るのが続けるコツである。最初の数回は慣れずに時間がかかるが、慣れれば30分程度に収まる。以下は一つの進め方の例である。
| 手順 | 時間の目安 | やること |
|---|---|---|
| 1. 期間を決める | 2分 | 先月1か月と、その前月または前年同月を比較する設定にする |
| 2. GA4で全体を見る | 8分 | ユーザー数、流入チャネル別の内訳、エンゲージメント率を確認する |
| 3. キーイベントを見る | 5分 | 問い合わせ数、電話タップ数を確認し、実際の受信件数と突き合わせる |
| 4. Search Consoleを見る | 8分 | 表示回数、クリック数、CTR、上位クエリ、伸びたページと落ちたページを確認する |
| 5. 気づきを3行で書く | 5分 | 「増えた点」「減った点」「次月にやること」を各1行ずつメモする |
| 6. 共有する | 2分 | 社内や制作会社にメモを共有する |
ポイントは、数字を見るだけで終わらせず、「次月にやること」を必ず1つ決めることである。たとえば、「料金ページの閲覧が少ないのでメニューに追加する」「表示は多いがクリックが少ないページのタイトルを直す」といった小さな改善でよい。翌月に、その施策の前後で数字が変わったかを確かめる流れが、改善の習慣になる。
実際の問い合わせ件数と、GA4のキーイベント数が大きくずれていないかも、毎月の突き合わせで確認したい。ずれが大きい場合は、タグの設定漏れや、迷惑メール、電話の計測漏れが原因のことがある。
よくある勘違い
アクセス解析の数字は、見方を誤ると誤った判断につながる。中小企業の現場で起こりやすい勘違いを整理する。
- PV(ページビュー)だけを見てしまう: 閲覧数が増えても、問い合わせが増えていなければ成果とはいえない。GA4ではPVより「ユーザー数」「キーイベント」を主役にする。
- アクセスが多ければ良いと考える: 事業に無関係な検索から来た訪問が増えても、売上にはつながらない。誰が来ているかの質が重要になる。
- 1か月の増減に一喜一憂する: 季節や曜日、休業日で数字は大きく動く。前年同月との比較や、3か月の流れで見る。
- 自社や制作会社のアクセスが混ざっている: 除外設定がないと、特に小規模なサイトでは数字が大きくゆがむ。
- 直帰率の考え方を引きずる: 旧バージョンの指標を前提にした古い記事が多い。GA4では「エンゲージメント率」を使い、短い滞在でも目的を達成して離れる場合がある点を踏まえて判断する。
- 順位を毎日確認する: 検索順位は日々細かく変動する。月単位の傾向を見れば十分である。
- Googleビジネスプロフィール経由の来店は別に見る: 店舗型ビジネスでは、地図検索からの電話や来店はGA4に出ない。MEO(Googleビジネスプロフィール)の費用で触れているとおり、専用の管理画面で別途確認する。
外注する場合の費用目安
アクセス解析の外注は、依頼する範囲によって費用が大きく変わる。以下は一般的な目安であり、サイトの規模、依頼先の種類(フリーランスか制作会社か)、報告の詳細さによって変動する。契約前に必ず複数社から見積もりを取って比較してほしい。
| 内容 | 費用の目安 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 初期設定(GA4・Search Console) | 3万〜10万円程度(一回) | タグ設置、キーイベント設定、除外設定、連携、権限整理 |
| ダッシュボード作成 | 3万〜15万円程度(一回) | Looker Studioなどで主要指標を1画面にまとめる |
| 月次レポートのみ | 月1万〜5万円程度 | 数字の集計と所見のコメント。改善の実作業は含まない |
| 月次レポート+改善提案 | 月5万〜10万円程度 | 数字の分析、改善施策の提案、打ち合わせ |
| 運用代行(改善作業を含む) | 月10万〜20万円以上 | 提案に加えて、記事追加やページ修正などの実作業まで対応 |
費用の幅が大きいのは、「数字を見せるだけ」と「数字を見て改善まで行う」では、必要な人手と専門性がまったく違うためである。レポートのみの契約は安価だが、レポートが届くだけで施策が進まない状態になりやすい。反対に、運用代行は高額になるぶん、どこまでが作業範囲に含まれるかを契約書で確認する必要がある。
SEO対策の費用と重複する範囲もあるため、すでにSEO業者と契約している場合は、レポートが含まれていないかを先に確認したい。
内製と外注の判断基準
どちらが優れているということはなく、社内の体制と目的で選ぶことになる。次の基準が参考になる。
| 観点 | 内製が向く場合 | 外注が向く場合 |
|---|---|---|
| 担当者 | 月30分を確保できる担当者がいる | 担当者が不在、または兼務で余裕がない |
| 目的 | 現状の把握と、簡単な改善が中心 | 広告や記事の改善まで成果を出したい |
| サイトの規模 | 数ページ〜数十ページ程度 | 数百ページ以上、または複数サイトがある |
| 数字の読み解き | 基本の指標が分かれば十分 | 原因の仮説づくりや優先順位づけを任せたい |
| 費用 | 外部への支払いは不要 | 月1万〜20万円程度の支出が妥当と判断できる |
現実的には、「初期設定とダッシュボード作成だけを外注し、毎月の確認は社内で行う」という組み合わせが、費用を抑えやすい。月次の確認を社内で行う場合も、年に数回だけ専門家に見てもらう形にすれば、見落としを減らせる。
外注する場合は、次の点を確認しておくと失敗しにくい。レポートの具体的な見本をもらえるか、改善提案が文書で残るか、アカウントの管理者権限が自社名義になっているか、解約時にデータを引き継げるか、の4点である。
毎月のチェックリスト
- GA4のユーザー数を、先月と前年同月で比較した
- 流入チャネル別の内訳(検索、広告、SNS、直接)を確認した
- 閲覧上位ページに、重要なページが入っているか確認した
- 問い合わせ数と、GA4のキーイベント数を突き合わせた
- Search Consoleで表示回数、クリック数、CTRを確認した
- クリックが少ないページを1つ選び、タイトルの改善案を出した
- 順位が11〜20位のページを確認し、追記の候補にした
- 「増えた点」「減った点」「次月にやること」を3行でメモした
- 管理者権限を持つアカウントが自社にもあることを確認した
- 社内アクセスの除外設定が有効なことを確認した
よくある質問
GA4とSearch Console、どちらか一つだけなら何を入れるべきですか。
どちらも無料なので両方入れるのが基本です。一つだけなら、問い合わせなどの成果まで追えるGA4を優先する考え方が一般的です。ただし、検索からの集客を伸ばしたい場合は、検索キーワードや順位が分かるSearch Consoleも早めに登録してください。
GA4は設定したのにデータが少ない、または0件になります。
タグの設置漏れ、設置したページの限定、広告ブロックやCookieの同意設定による計測漏れなどが原因として考えられます。リアルタイム表示で自分のアクセスが見えるかをまず確認し、見えない場合は設置状況を制作会社に確認してください。なお、GA4は設定前の過去データは取り込めません。
月次レポートの外注は、月いくらくらいが妥当ですか。
数字の集計とコメントだけなら月1万〜5万円程度、改善提案まで含めると月5万〜10万円程度が一つの目安です。サイトの規模や報告の細かさで変わるため、レポートの見本と作業範囲を見て、複数社で比較することをおすすめします。
アクセス数が少なくても、解析を入れる意味はありますか。
あります。アクセスが少ない段階でも、どこから来ているか、問い合わせが何件あったかを記録しておけば、後で施策の効果を比べられます。数字が少ないうちは月ごとの変動が大きいので、3か月程度の流れで見るのがおすすめです。
社内で見る担当者が決まりません。どうすればよいですか。
まずは設定とダッシュボードの作成だけを外注し、月1回の確認は経営者または総務の担当者が7つの数字だけ見る形から始める方法があります。慣れてから担当者を決めても遅くありません。
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