Google公式「AI Optimization Guide」徹底読解 — AI Overviews / AI Mode 時代の正解と、巷のGEO/AEO論で否定された施策【2026年5月版】
Google が2026年5月15日に Search Central で公開した公式ガイド「Google's Guide to Optimizing for Generative AI Features on Google Search」を、原文ベースで徹底読解。AI Overviews / AI Mode の仕組み、公式が推奨する施策と明示的に否定した施策(llms.txt 不要・AI専用構造化データ不要・チャンク化不要・AI向け書き分け不要)、構造化データ・robots.txt・Google-Extended の扱い、Search Console の計測現状、GEO/AEO/LLMO 用語の位置づけ、そして第三者調査(Ahrefs 58% / Semrush 34.5% CTR 下落)まで整理しました。
このコラムの位置づけ
Google は2026年5月15日、Search Central ドキュメントに 「Google's Guide to Optimizing for Generative AI Features on Google Search」(公式ガイド本体)を公開しました。同日付の告知ブログ A new resource for optimizing for generative AI in Google Search も合わせて出ています。
本コラムは、この公式ガイド原文と関連 Search Central ドキュメント・公式ブログを一次ソースとして、**「Google が今、AI Overviews / AI Mode 時代に何をしろと言っていて、何を *やるな* と言っているか」** を整理するものです。巷の GEO / AEO / LLMO 論で語られる「AI向け最適化」の多くは、この公式ガイドで明示的に否定されました。
ガイドが対象とする2つの機能 — AI Overviews と AI Mode
AI Overviews(AIによる概要)
従来 SERP の上部に挟まる 概要パネル です。複雑なトピックの「探索の出発点」として動作し、通常の検索結果に加えて価値が出ると判断されたクエリで表示されます。Retrieval-Augmented Generation(RAG / grounding) をベースに、Google 検索のコアランキングシステムが選定した関連ページから引用を組み立てます。
John Mueller 氏は2025年5月の前身ブログ以降、「AI Overviews 経由のクリックは滞在時間が長い『higher quality』だ」という発信を一貫して続けています。
AI Mode(会話型検索モード)
Google I/O 2025 で発表され、その後米国を皮切りに段階展開された 検索体験全体がチャット型 UI に置き換わる独立モード です。1つの質問を「定義/比較/反例/専門家の見解」等のサブクエリに分解して 並列で多数の検索を発行(Query fan-out)し、結果を Gemini で統合します。さらに拡張モードの Deep Search は数百回の検索を発行し、引用付きの専門家レベルレポートを生成します。
公式が明示的に推奨している施策
ガイドが列挙する「やるべきこと」は、驚くほど従来 SEO の延長線上にあります。
1. コモディティでない、独自の価値あるコンテンツを作る — 公式は「これが他のどの推奨事項よりも生成AI検索での露出に影響する可能性が高い」と明記 2. 明確な技術構造 — インデックス可能・クロール可能、セマンティック HTML、JavaScript SEO ベストプラクティス 3. ページエクスペリエンス — 全デバイスで快適、低レイテンシ、メインコンテンツと付随要素の区別 4. 高品質な画像・動画 を本文を補足する形で適切に追加 5. 重複コンテンツの削減 6. ローカル / Eコマース情報の整備 — Google Business Profile / Merchant Center を活用(AI Overviews はプロダクト・ローカル情報も提示するため) 7. 「Helpful, reliable, people-first content」原則の遵守(既存ガイドラインの再徹底) 8. クロール最適化
公式が明示的に否定している施策(重要)
ここが新ガイドの最大の見どころです。Google は以下の「AI向け施策」を 不要・効果なし として明示的に否定しました。
| 否定された施策 | 公式コメント |
|---|---|
| llms.txt / AIテキストファイル | "You don't need to create new machine readable files, AI text files..." |
| AI 専用マークアップ / Markdown 版ページ | "...markup, or Markdown" 不要 |
| コンテンツのチャンク化 | "There's no requirement to break your content into tiny pieces for AI" |
| AI向けに特別な書き方をする | "You don't need to write in a specific way just for generative AI search" |
| AI 専用の構造化データ / 特別な schema.org マークアップ | "Structured data isn't required for generative AI search, and there's no special schema.org markup" |
| インオーセンティックな「メンション稼ぎ」 | 効果薄 |
| クエリのバリエーションごとに別ページを量産する | Google の "scaled content abuse" ポリシー違反 |
特に llms.txt については、Mueller 氏が2025年6月に Bluesky で「No AI system currently uses llms.txt」と明言し、2026年に入っても見解は変わらず、Google 内部ドキュメントに誤って配置されていた llms.txt も撤去されています(Search Engine Roundtable)。
つまり、「AI 検索のために何か新しい技術ファイルや構造化データを足す」という方向性自体が公式に否定されたと理解してください。
構造化データの扱い — 「不要」だが「やめろ」ではない
ガイドの言い回しは正確には次のとおりです。
- 生成 AI 検索のために構造化データは 不要 - AI 向けの特別な schema.org マークアップは 存在しない - ただし 通常の SEO 戦略の一環として継続使用は推奨(リッチリザルト適格性のため) - Local Business / Product / Merchant Listing 系の正確な情報は AI 回答でのローカル・商品表示に有利
「AI 検索向けに新規で追加する必要はないが、既存の通常 SEO 用の構造化データは引き続き入れておく」のが正解です。
robots.txt / Google-Extended など AI クロール制御
新ガイドはこの話題をほぼ扱っていません。挙動の正本は既存ドキュメント AI features and your website です。
- `nosnippet` / `data-nosnippet` / `max-snippet` — AI 機能で表示される情報を制限 - `noindex` — インデックス自体を遮断 - `Google-Extended` — Gemini アプリ等、Google 検索以外の AI 用途を制限するユーザーエージェント
重要な落とし穴:`Google-Extended` で除外しても、AI Overviews / AI Mode は通常の検索ランキングシステムを利用するため 除外できません。AI Overviews 等から外したい場合は `nosnippet` 系の制御が必要です。反映確認は URL Inspection ツールで実施し、再クロールには日〜月単位の時間がかかります。
Search Console での計測 — 「分離レポートは出ていない」
2026年5月時点の現状:
- AI Overviews と AI Mode のクリック・表示は Search Console の Performance レポート(Web 検索タイプ)に 統合カウント されており、従来オーガニック・Featured Snippets・AI Overviews・AI Mode が 1つの数字に合算 されます - 同一 URL が AI Overviews と Blue Links の両方に出現しても 1インプレッション としてカウント - 2026年2月18日:Search Console に AI-powered configuration(自然文でレポート条件を指定できる機能)が正式ロールアウト - 2026年4月3日:Google は Changelog で、2025年5月13日〜2026年4月の約11ヶ月間、インプレッションが過大計上されていたバグ を開示。クリックは影響なし。CTR が見かけ上低く出ていた期間がある点に注意
AI Overviews がトラフィックに与えた実測影響(第三者調査)
公式は「クリックは higher quality」とコメントしていますが、量 の話は別です。第三者検証データを並べます(Google 公式数値ではない点に注意)。
| 出所 | 規模 | 主要発見 |
|---|---|---|
| Ahrefs(2026年2月更新) | 大規模クエリセット | AI Overviews 表示クエリで 1位 CTR が約58%減 |
| Semrush(1,000万キーワード分析) | 1,000万キーワード | 1位 CTR が約34.5%減。ただしゼロクリック率は 33.75%→31.53% へわずかに低下 |
サンプル設計が異なるため両者を単純比較はできませんが、情報系クエリの「1位の取り分」が確実に削られている という結論は両者で一致しています。
GEO / AEO / LLMO という言葉について
新ガイドは AEO(Answer Engine Optimization) と GEO(Generative Engine Optimization) の2語を明示的に取り上げ、次の立場を示しました。
> 「Google 検索の観点では、生成 AI 検索の最適化は検索体験の最適化であり、それは依然として SEO である」
つまり AEO / GEO を独立カテゴリとして扱うこと自体を事実上否定。LLMO という語は公式ドキュメントには登場しません(業界用語に留まる)。
実務担当者へのアクションリスト
本ガイドを受けて、サイト運営者が やるべきこと/やらなくていいこと を再整理します。
やる: - 既存 SEO の徹底(E-E-A-T、独自一次情報、サイト技術品質、Core Web Vitals) - 構造化データは「通常の SEO のため」継続使用 - Google Business Profile / Merchant Center 情報の正確性維持 - Search Console の AI-powered configuration を活用した分析 - インプレッション過大計上バグ期間(2025年5月〜2026年4月)の CTR データは割引いて解釈 - AI Overviews 露出はランキングから生まれる ため、まず通常検索順位の改善に投資
やらない(公式否定): - llms.txt の設置 - AI 専用 Markdown 版ページの量産 - AI 検索向けの「チャンク化」最適化 - 「AI 向けの書き方」への文体変更 - AI 専用構造化データ/schema.org 拡張の追加 - 言い換えクエリごとに別ページを量産 - インオーセンティックなメンション工作
オブライトでの SEO 方針
弊社の SEO コラム群 では、コアアップデート対応や E-E-A-T、構造化データの実装などを継続的に解説してきました。新ガイド公開を受け、弊社の支援方針は次の2点に集約しています。
1. 「AI 向け追加施策」を売らない — 公式が否定した施策をパッケージにする SEO ベンダーが増えていますが、弊社は受託しません 2. AI Overviews 露出は『独自一次情報 × 既存 SEO の徹底』でしか取れない という公式見解に沿い、コンテンツ制作・サイト技術改善・計測の3点で支援
AI 検索時代の SEO の現実的な詰め方については AI コンサルティング でも個別案件として承っています。
FAQ
Q1. llms.txt は本当に置く必要がないの? A. Google は明示的に不要と否定しています。Mueller 氏も「No AI system currently uses llms.txt」と発言しており、置いても害はないですが効果も期待できません。 Q2. AI Overviews に取り上げられるための schema を追加すべき? A. 公式は「AI 向け特別な構造化データは存在しない」と明言。既存の通常 SEO 用の構造化データはそのまま維持してください。 Q3. Google-Extended をブロックすれば AI Overviews から外れる? A. 外れません。AI Overviews / AI Mode は通常の検索ランキングシステムを利用するため、`nosnippet` 系で制御する必要があります。 Q4. Search Console で AI Overviews 経由のクリックを分けて見られる? A. 2026年5月時点では 統合カウント のみで、AI Overviews / AI Mode 専用の分離指標は提供されていません。 Q5. 「AI 検索向けに文章を短く・箇条書きで」と聞くが本当? A. 公式は「AI 向けに特別な書き方は不要」と否定。読者にとって読みやすい構成であれば、それで十分です。 Q6. AI Overviews が CTR を58%下げたという話は信じていい? A. Ahrefs / Semrush の第三者調査結果で、公式数値ではありません。Google は別途「クリック品質は上がっている」と主張しており、量と質の両面で評価する のが正しい姿勢です。 Q7. GEO / AEO 専門ベンダーに発注すべき? A. 公式が「GEO/AEO は独立カテゴリではない、それは SEO だ」と明言したため、既存の優良 SEO 会社の延長で十分 です。AI 専用施策を売るベンダーには注意してください。
まとめ
Google が2026年5月15日に公開した AI Optimization Guide のメッセージは、ある意味で拍子抜けするほどシンプルです。「AI 検索のために新しい何かを足す必要はない。独自の価値あるコンテンツを、通常の SEO ベストプラクティスに沿って作り続けろ」 — これに尽きます。
GEO / AEO / llms.txt / AI 向けマークアップ — 業界で流行した「AI 専用最適化」の多くが、この公式ガイドで否定されました。逆に言えば、E-E-A-T と独自一次情報、サイト技術品質という 古典的に強いサイトが AI 検索時代でも勝つ という構造が、公式に追認された格好です。
ただし、AI Overviews が情報系クエリの上位 CTR を確実に削っているのも事実。コンテンツ戦略を「クリック獲得」から「指名検索・ブランド想起・ロイヤリティ」へリバランスする という上流のシフトが、2026年後半の本当の論点になります。
References
公式(一次ソース): - Google Search Central — Google's Guide to Optimizing for Generative AI Features on Google Search - Google Search Central Blog — A new resource for optimizing for generative AI in Google Search (2026/05/15) - Google Search Central — AI features and your website - Google Search Central Blog — Top ways to ensure your content performs well in Google's AI experiences on Search (Mueller, 2025/05) - Google Search Central Blog — AI-powered configuration in Search Console (2025/12) - blog.google — AI Mode in Search 第三者調査・解説: - Search Engine Land — Google publishes guide on optimizing for generative AI features - Search Engine Journal — Google's Official Advice on Optimizing for AI Overviews / AI Mode - Search Engine Land — Query fan-out - Ahrefs — AI Overviews reduce clicks (2026/02 update) - Semrush — AI Overviews study (10M keywords) - Search Engine Roundtable — Google does not endorse llms.txt - Stan Ventures — Google dismisses llms.txt - emarketed — GSC impression bug 2026 注記:Ahrefs 58% / Semrush 34.5% の CTR 下落値は第三者調査結果であり、Google 公式数値ではありません。サンプル設計が異なるため両者の単純比較は避けてください。
お気軽にご相談ください
お問い合わせ