株式会社オブライト
Software Development2026-02-27

OpenClawは危険?導入前に押さえるべきセキュリティ対策ガイド

OpenClawはシェルコマンドの実行、ファイルの読み書き、Web閲覧など強力な機能を持つAIエージェントです。その力を安全に活用するために、アクセス制御・データ保護・監査ログ・企業向け設定など、導入前に押さえるべきセキュリティ対策を網羅的に解説します。


OpenClawのセキュリティリスクとは

OpenClawは従来のチャットボットとは根本的に異なります。シェルコマンドの実行、ファイルシステムへの読み書き、Webブラウジングなど、まるで「手」を持ったAIのように振る舞います。この強力な能力こそがOpenClawの価値ですが、同時に適切な設定なしに運用すれば深刻なセキュリティリスクを招く可能性があります。本記事では、OpenClawを安全に導入・運用するために押さえるべきセキュリティ対策を網羅的に解説します。重要なのは「OpenClawが危険かどうか」ではなく、「どう設定すれば安全に使えるか」という視点です。

リスク1:ファイルアクセスの制御

OpenClawはファイルの読み取り・書き込みが可能なため、アクセスできるディレクトリを厳密に制限することが最も重要な対策の一つです。設定ファイルで許可リスト(allowlist)方式を採用し、OpenClawがアクセスできるディレクトリを明示的に指定しましょう。特に ~/.ssh、~/.aws、~/.config などの認証情報が含まれるディレクトリや、/etc のようなシステム設定ディレクトリへのアクセスは絶対に許可してはいけません。プロジェクト専用のワークスペースディレクトリを作成し、そこだけにアクセスを限定するのがベストプラクティスです。また、シンボリックリンクを経由した間接的なアクセスにも注意が必要です。

リスク2:コマンド実行の制限

シェルコマンドの実行はOpenClawの最も強力かつ危険な機能です。rm -rf /、sudo、chmod 777 などの破壊的・権限昇格系コマンドはブロックリストに追加しましょう。理想的には、サンドボックス化された実行環境(Dockerコンテナなど)内でOpenClawを動作させることで、万が一危険なコマンドが実行されてもホストシステムへの影響を最小限に抑えられます。また、コマンドの実行タイムアウトを設定し、無限ループやリソース枯渇を防ぐことも重要です。ネットワーク関連のコマンド(curl、wget など)についても、信頼できるドメインのみにアクセスを制限する設定を検討してください。

リスク3:API通信とデータ漏洩

OpenClawの会話内容はすべてLLMのAPIを経由して処理されます。つまり、OpenClawに入力した情報は外部サーバーに送信されるということです。機密情報(顧客の個人情報、社内パスワード、財務データなど)をOpenClawに直接入力しないよう、運用ルールを明確にしましょう。暗号化されていない状態で機密データを扱う場合は、ローカルLLMの使用やVPN経由の通信を検討してください。また、APIキーの管理も重要です。環境変数で管理し、ソースコードにハードコードしないことは基本中の基本です。APIキーのローテーションスケジュールも定めておきましょう。

リスク4:メッセージングアプリのなりすまし

OpenClawがLINEやSlackなどのメッセージングアプリと連携している場合、ボットアカウントのなりすましリスクに注意が必要です。二要素認証(2FA)を必ず有効にし、ボットにコマンドを送信できるユーザーを厳密に制限しましょう。Webhook URLが漏洩すると、第三者がOpenClawに不正なコマンドを送信できてしまいます。Webhook URLの定期的な変更、IPアドレスによるアクセス制限、リクエスト署名の検証など、多層的な防御策を講じることが重要です。また、ボットが実行できるアクションの権限レベルを、メッセージの送信元ユーザーに応じて変えることも有効な対策です。

企業導入時のセキュリティチェックリスト

企業でOpenClawを導入する際は、以下のチェックリストを確認しましょう。ネットワーク分離:OpenClawを社内ネットワークの独立したセグメントに配置する。アクセス制御:利用者の認証・認可を実装し、操作権限を最小限に設定する。ログ記録:すべての操作ログを保存し、定期的にレビューする。バックアップ:OpenClawが操作するデータの定期バックアップを確保する。インシデント対応計画:セキュリティ事故発生時の対応手順を事前に策定する。定期監査:月次または四半期ごとにセキュリティ設定を見直す。これらを一つずつクリアしていくことで、企業レベルの安全性を確保できます。

ログ・監査の仕組み

セキュリティ対策の中でも、監査ログの整備は特に重要です。OpenClawが実行したすべてのコマンド、アクセスしたファイル、送受信したメッセージを時系列で記録しましょう。ログには、実行日時・実行者・操作内容・操作対象・結果(成功/失敗)を含めます。これにより、不正な操作の検知、インシデント発生時の原因究明、運用改善のためのデータ分析が可能になります。ログは改ざん防止のため、OpenClawがアクセスできない別のストレージに保存することを強く推奨します。また、異常な操作パターン(通常とは異なる時間帯の操作、大量のファイルアクセスなど)を自動検知するアラート機能の実装も検討しましょう。

セキュリティを強化する設定テクニック

より高度なセキュリティを実現するための具体的なテクニックを紹介します。まず、OpenClawをDockerコンテナ内で実行することで、ホストシステムとの分離を確保します。コンテナにはリソース制限(CPU、メモリ、ディスク)を設定し、暴走を防ぎます。ネットワーク面では、VPN経由でのAPI通信を必須化し、OpenClawが所属するネットワークセグメントを他の業務システムから分離します。定期的な脆弱性スキャンをスケジュールし、使用しているライブラリやツールの更新を怠らないようにしましょう。さらに、OpenClawの設定ファイル自体をバージョン管理し、変更履歴を追跡できるようにすることも重要です。

ユーザー教育と運用ルール

技術的な対策だけでなく、OpenClawを利用するユーザーへの教育も不可欠です。機密情報をOpenClawに入力しないこと、不審な動作を発見した場合の報告手順、許可されている操作の範囲など、明確な運用ルールを策定し、全利用者に周知しましょう。特に、OpenClawが生成した出力を盲目的に信頼しないこと、重要な操作の前には必ず人間がレビューすることなどは、基本的ですが極めて重要な原則です。定期的な研修やルールの見直しを通じて、セキュリティ意識を組織全体で維持することが、安全な運用の土台となります。

障害発生時の対応フロー

どれほど対策を講じても、セキュリティインシデントのリスクをゼロにすることはできません。重要なのは、発生時に迅速かつ適切に対応できる体制を事前に整えておくことです。インシデント検知後は、まずOpenClawの動作を即座に停止します。次に、監査ログを確認して影響範囲を特定します。データ漏洩の可能性がある場合は、関連するAPIキーやアクセストークンをすべて無効化し、再発行します。原因の特定と対策の実施が完了するまでOpenClawの運用を再開しないでください。インシデントの内容と対応を記録し、再発防止策を全チームに共有することで、組織のセキュリティレベルを継続的に向上させましょう。

他のAIエージェントとのセキュリティ比較

OpenClawのセキュリティリスクは、実はAIエージェント全般に共通する課題です。ChatGPTのCode InterpreterやGitHub Copilot Workspaceなど、コードを実行できるAIツールはすべて同様のリスクを抱えています。OpenClawの優位点は、オープンソースであるため設定の透明性が高く、セキュリティポリシーを自組織のニーズに合わせて細かくカスタマイズできることです。クラウドサービス型のAIツールと比較して、データの送信先やアクセス範囲を自分で完全にコントロールできるのは大きなメリットです。ただし、その分だけ設定の責任も自組織にあるため、専門知識を持った担当者によるセットアップが推奨されます。

まとめ:OpenClawは正しく設定すれば安全に使える

OpenClawは、適切なセキュリティ設定を施せば、企業環境でも安心して利用できる強力なAIエージェントです。ファイルアクセスの制限、コマンド実行の制御、API通信の保護、ログの監査、ユーザー教育――これらを一つずつ着実に実施することで、セキュリティリスクを最小限に抑えながらOpenClawの恩恵を最大限に享受できます。「設定が難しそう」「自社だけで対応できるか不安」とお感じの方は、Oflightのセットアップサービスをご利用ください。セキュリティの専門知識を持ったスタッフが、お客様の環境に最適なセキュリティ設定を含めたOpenClawの導入を支援いたします。

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