Ivanti Connect Secure CVE-2026-111357ほか2件
10月31日の脆弱性まとめ(悪用確認4件)
Ivanti Connect Secure(SSL VPN)の CVE-2026-111357 と 118527 が10月30日に CISA KEV へ追加。10月13日分と連鎖して悪用中のため、利用企業は本日更新と侵害確認を。Drupal Commerce と Chrome 156 の更新も整理。
2026年10月30日(米国時間)、CISAは Ivanti Connect Secure(SSL VPN 装置)の CVE-2026-111357 と CVE-2026-118527 を悪用確認済み脆弱性(KEV)に追加した。10月13日に追加済みの CVE-2026-104935 と連鎖して使われており、Connect Secure を使っている会社は、最新版への更新と侵害の確認を本日中に始める。 米連邦機関の対応期限は CVE-2026-111357 が11月2日、CVE-2026-118527 が11月13日である。あわせて、通販サイトに使われる Drupal Commerce Core の悪用確認済みの欠陥(CVE-2026-118539)と、10月29日公開の Chrome 156 の更新も整理した。
10月31日19時(JST)時点の CISA KEV、NVD、CISA・カナダ Cyber Centre・Volexity の公開情報、Drupal.org のセキュリティ勧告、Chrome Releases ブログで確認した内容に基づく。CVSS は付与元を併記し、公式に明記のない点は「記載なし」とする。なお Ivanti の公式アドバイザリ本文は、確認時に表示できなかったため、CISA とカナダ Cyber Centre が引用する範囲で記載している。
今日の脆弱性一覧
| 製品 | CVE | 深刻度(CVSS) | 悪用状況 | 対処(修正版) |
|---|---|---|---|---|
| Ivanti Connect Secure | CVE-2026-104935 | 8.6 High(NVD 掲載の二次評価) | KEV 追加(10/13)。CISA が悪用を確認 | 25.1.1.3 / 25.1.3.1 / 22.8R2.6 未満が影響(Cyber Centre) |
| Ivanti Connect Secure | CVE-2026-111357 | 7.0 High(NVD 掲載の二次評価) | KEV 追加(10/30、期限11/2)。NVD に「2026年10月に悪用」の記載 | 同上 |
| Ivanti Connect Secure | CVE-2026-118527 | NVD 未登録(10/31時点)。評価値は記載なし | KEV 追加(10/30、期限11/13) | 同上 |
| Drupal Commerce Core | CVE-2026-118539 | NVD 6.5 Medium(二次評価)。Drupal は独自指標で 21/25「Highly critical」 | Drupal が「悪用されている」と明記 | 3.x は 3.3.13、旧系統は 8.x-2.41 |
| Google Chrome(デスクトップ) | CVE-2026-76024 ほか計21件 | Chromium の重大度は Critical。NVD の二次評価は 6.5 Medium | Google の記載なし。CISA の評価も悪用なし(10/30時点) | 156.0.8078.79 / .80(Win・Mac)、.79(Linux) |
1. Ivanti Connect Secure(CVE-2026-104935 / 111357 / 118527)— SSL VPN 装置が3つの欠陥の連鎖で乗っ取られる
Connect Secure は、テレワークや拠点接続のために社外から社内へ入る SSL VPN の装置(またはソフトウェア)である。CISA の更新版アラートによると、攻撃者はこの3件を組み合わせ、認証なしで任意のコマンドを実行し、認証情報の窃取やデータの持ち出しを行っている。Volexity の調査では、少なくとも10月3日から、更新を済ませた装置も含めて攻撃が行われていた。
- CVE-2026-104935: 認証バイパス(なりすましによる)で、遠隔の認証なしの攻撃者が任意のコマンドを実行できる(NVD)。CVSS 8.6(High)は NVD に掲載の二次評価。10月13日に KEV へ追加済み
- CVE-2026-111357: 重要機能の認証欠落。CISA KEV の説明では、ローカルの認証済み攻撃者が権限を昇格でき、NVD は root 権限への昇格と記載している。CVSS 7.0(High)は NVD 掲載の二次評価。NVD は「2026年10月に悪用」と記載し、CISA は10月30日に KEV へ追加
- CVE-2026-118527: 予測可能な識別子の生成。認証済みの遠隔の攻撃者が、攻撃者の内容のファイルをディスク上の既知の場所へ置ける(CISA KEV の説明)。NVD には10月31日時点で未登録。10月30日に KEV へ追加
- 影響版(CISA): 25.1.1.2 以前、25.1.2.2 以前、22.8R2.5 以前。カナダ Cyber Centre は「25.1.1.3 未満、25.1.3.1 未満、22.8R2.6 未満」と記載しており、表記は異なるが、各系統の最新版へ更新すればどちらの基準も満たす
- 修正版: 各系統の最新版へ更新する。22.8 系は2027年1月31日にサポート終了(CISA)
CISA は、侵害の有無を調べるにはネットワークとメモリの調査が必要だと述べている。攻撃のコマンドがメモリ上で動くため、Ivanti の整合性チェックツールでは検出できない場合がある。侵害が疑われる場合の復旧手順として、設定のバックアップ、工場出荷状態への初期化と最新版への更新(仮想環境は作り直し)、設定の復元、ドメイン・管理者・ローカルを含む全アカウントのパスワード変更、証明書の再発行、API キーなどの再設定を挙げている。
Volexity は、検出の手がかりとして、welcome.cgi への大量のリクエストと、URL のパスと X-DSCGI-PATH ヘッダーの食い違いを挙げている。また、侵入後に Active Directory から認証情報(LAPS のパスワードや BitLocker の回復キーを含む)を盗む動きが見られたという。VPN 装置を更新するだけでなく、社内側のパスワードの見直しも必要になる。
確認方法: 管理画面またはコンソールでバージョンを確認し、上記の影響版かを調べる。運用を外部に任せている場合は「Connect Secure の版は何か」「10月13日以降の更新履歴」「ログの保管期間」を聞く。公式: CISA アラート、CISA KEV 追加(10/30)、カナダ Cyber Centre AV26-1035、Volexity の分析、Ivanti アドバイザリ
2. Drupal Commerce Core CVE-2026-118539 — 通販サイトの注文データが不正に操作される恐れ
Drupal Commerce は、Drupal で通販サイトを作るためのモジュールである。Drupal.org のセキュリティ勧告 SA-CONTRIB-2026-254(10月28日公開)によると、Commerce Core が一部のルートとエンティティのフィールドを十分に保護しておらず、アクセス制限を回避されて、販売者が金銭的な損害を受ける恐れがある。勧告は「この脆弱性は実際に悪用されている」と明記し、注文に不整合がないか監査するよう求めている。
- 深刻度: Drupal の評価は 21/25「Highly critical」(独自指標)。NVD には CVSS 3.1 の 6.5(Medium)が二次評価として掲載されており、見方が分かれる
- 影響: Commerce Core の 2.41 未満(8.x-2.x 系)と、3.0.0 以上 3.3.13 未満
- 修正版: 3.x は 3.3.13、旧系統は 8.x-2.41
- 回避策: 勧告に記載なし
- 悪用: Drupal の勧告が明記。CISA KEV には10月31日時点で未掲載
Drupal 本体ではなく Commerce Core モジュールの問題である。通販機能を使っていない Drupal サイトは対象外になる。対象のサイトは、更新に加えて、10月以降の注文データ(金額・数量・ステータス)に不審な変更がないかを確認する。同日には Commerce 関連の勧告が他にも複数出ているが、悪用の記載があるのは SA-CONTRIB-2026-254 の1件のみである。公式: SA-CONTRIB-2026-254
3. Google Chrome 156 — 重大度 Critical を含む21件の修正
Chrome Releases ブログによると、10月29日(米国時間)に Stable と Extended Stable が 156.0.8078.79 / .80(Windows・Mac)、156.0.8078.79(Linux)へ更新された。21件のセキュリティ修正のうち、重大度が Critical なのは CVE-2026-76024(MediaStream のメモリ破壊)の1件で、High が19件、Medium が1件である。
- 深刻度: CVE-2026-76024 は Chromium の重大度で Critical。NVD の二次評価は CVSS 6.5(Medium)で、表示が分かれる
- 影響: 156.0.8078.79 より前の Chrome
- 修正版: 156.0.8078.79 / .80(Windows・Mac)、156.0.8078.79(Linux)。展開は数日〜数週間かけて行われる
- 悪用: Google の記載なし。CISA の評価も悪用なし(10/30時点)。詳細は多くの利用者が更新するまで制限される可能性がある
確認方法: Chrome のメニューから「ヘルプ」「Google Chrome について」を開くと、更新の確認と再起動が行われる。社内の PC が多い場合は、更新後に再起動されているかを管理ツールで確認する。Chromium ベースの Edge など他のブラウザは、それぞれの更新情報を確認する。公式: Chrome Releases 10月29日
非IT担当者向け: 今日やることチェックリスト
- Ivanti Connect Secure(旧 Pulse Secure)を使っているか、情報システム担当か委託先に確認する
- 使っている場合は、バージョンを確認し、各系統の最新版(カナダ Cyber Centre が示す 25.1.1.3・25.1.3.1・22.8R2.6 以降)に更新する
- 10月3日以降に侵害された恐れがあるため、VPN のログと、VPN 経由のアクセス記録を委託先に保全してもらう
- 侵害の疑いがある場合は、装置の初期化と最新版への更新、全アカウントのパスワード変更を行う
- 自社の通販サイトが Drupal Commerce かどうかを制作会社に確認し、該当する場合は 3.3.13 以降に更新して注文データを確認する
- 全員の Chrome を再起動して最新版にする
- 対応した日付と担当者を記録する
出典
- Ivanti: Security Advisory Ivanti Connect Secure (CVE-2026-104935)
- CISA: Urges Patching Newly Exploited Vulnerabilities in Ivanti Connect Secure(10/30更新)
- CISA: Adds Two Known Exploited Vulnerabilities to Catalog(10/30)
- CISA: Known Exploited Vulnerabilities Catalog
- Canadian Centre for Cyber Security: AV26-1035
- Volexity: Ivanti Connect Secure ゼロデイの連鎖
- NVD: CVE-2026-104935
- NVD: CVE-2026-111357
- Drupal.org: SA-CONTRIB-2026-254
- NVD: CVE-2026-118539
- Chrome Releases: Stable Channel Update for Desktop(10/29)
- NVD: CVE-2026-76024
よくある質問
Ivanti Connect Secure を使っているか分かりません。どう確認しますか。
VPN の接続画面に Ivanti や Pulse Secure の表示があるか、情報システム担当か保守の委託先に確認します。クラウドの VPN サービスや別メーカーの装置は、この3件の対象ではありません。
更新しただけで安全になりますか。
いいえ。CISA は、攻撃がメモリ上で動くため整合性チェックツールで検出できない場合があると述べています。10月3日以降に外部へ公開されていた装置は、更新に加えて、侵害の確認と、パスワードの変更が必要になる場合があります。
Drupal を使っていますが、通販機能がありません。対象ですか。
今回の欠陥は Commerce Core モジュールのものです。通販機能(Commerce)を入れていない Drupal サイトは、この件の対象ではありません。ただし、他の Drupal の更新は通常どおり必要です。
Chrome の更新が自動で終わっているか、どう分かりますか。
メニューの「ヘルプ」から「Google Chrome について」を開くと、現在の版が表示され、更新があれば取得されます。表示後は再起動が必要です。
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