LFM3 必要スペック早見表 — 1.7Bは4bitで約1GB、スマホ・CPUで動く【全6モデル・2026年版】
Liquid AIが2026年10月に公開したLFM3の必要スペックを解説。LFM3-1.7B(実1.73B)は4bit約1GB、BF16約3.5GBで動く。全6モデルの量子化別メモリ目安、256K文脈、日本語対応、商用条件のライセンス、transformersやGGUFでの使い方まで整理した。早見表つき。
LFM3-1.7B(実パラメータ1.73B)は、4bit量子化で約1GB、BF16でも約3.5GBのメモリで動く。 2026年10月27日にLiquid AIが公開したLFM3ファミリー全6モデルは、いずれも約2B級で、重みだけなら約1〜4.4GBに収まる。つまり8GBのノートPCやMac、最近のスマートフォンが実行環境の現実的な候補になる。LFM3-1.7Bはテキスト、LFM3-VL-2Bは画像・動画、LFM3-Audio-2Bは音声、LFM3-Omni-2Bは全モダリティ、d1-2Bとd1-omni-2Bは「決定」特化モデルだ。本稿では公式モデルカードの値と、パラメータ数から算出した目安値を区別して整理する。
LFM3 必要スペック早見表
| モデル | 公式パラメータ数 | BF16/FP16(重み) | 8bit(重み) | 4bit(重み) | 最低限の動作機器の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| LFM3-1.7B(テキスト) | 1.73B | 約3.5GB | 約1.8GB | 約0.9〜1GB(公式は「約1GB」) | 8GB RAMのPC・Mac、スマホ、CPUのみでも可 |
| LFM3-VL-2B(画像・動画) | 1.92B | 約3.8GB | 約1.9GB | 約1.0〜1.2GB | 8GB RAMのPC・Mac、最新スマホ |
| LFM3-Audio-2B(音声) | 「2B」(詳細な数値は公式に記載なし) | 約4GB | 約2GB | 約1.0〜1.3GB | 8GB RAMのPC・Mac |
| LFM3-Omni-2B(全モダリティ) | 2.17B | 約4.3GB | 約2.2GB | 約1.2〜1.5GB | 16GB RAMのPC・Mac推奨(動画入力時) |
| d1-2B | 1.92B | 約3.8GB | 約1.9GB | 約1.0〜1.2GB | 8GB RAMのPC・Mac |
| d1-omni-2B | 公式に記載なし(「2B」) | 約4.3GB前後 | 約2.2GB前後 | 約1.2〜1.5GB前後 | 16GB RAMのPC・Mac推奨 |
この表のメモリ値は、公式のパラメータ数に「パラメータ数×ビット数÷8」を掛けた重みのみの目安(推定値)で、公式が示した数値は「LFM3-1.7Bは4bitで約1GB」だけである。実行時にはKVキャッシュ、計算用バッファ、ランタイム本体、画像・音声エンコーダの作業領域が加わるため、余裕を見て重みの1.2〜1.5倍、長いコンテキストや動画入力ではさらに多く見積もるとよい。
手元のGPU・Macで動くかをすぐ確かめたい場合は、モデル・量子化・コンテキスト長を選ぶだけで必要VRAMを試算できるVRAM計算ツール(無料・登録不要)も用意している。LFM3-1.7Bもモデル一覧から選択できる。なお、このツールが対象とするのはテキストモデルで、音声・オムニ・d1系の画像や音声処理分の試算には対応していない。
LFM3とは — 何が公開されたのか
LFM3は、Liquid AIが2026年10月27日に公開した新世代のオープンウェイトモデル群である。Hugging Faceのブログ記事「Build specialized multimodal models with LFM3」と、同社の発表「Introducing LFM3: Every Modality for Specialized Intelligence」で紹介された。共通するのは、約2B級という小ささで、テキスト・画像・動画・音声までを一つのファミリーで揃えた点だ。テキスト専用のLFM3-1.7Bには事前学習のみのBase版(LFM3-1.7B-Base)もあり、公式によれば22兆トークンで事前学習され、ポストトレーニングやファインチューニングの出発点として使える。
アーキテクチャは「トライハイブリッド」と呼ばれる構成で、24層のうち13層がゲート付き短畳み込み、5層がスライディングウィンドウ注意、6層がグローバル注意である。LFM2.5では3だった畳み込みカーネルサイズを7に拡張し、ヘッド単位のゲート付き注意、グローバル層での部分RoPE、サンドイッチ正規化なども加わった。全層を通常のアテンションで組むモデルと比べ、長い文脈でもメモリの伸びが緩やかになる設計だが、KVキャッシュの具体的なサイズは公式に記載がない。
モデル別の詳細
LFM3-1.7B(テキスト)。 モデルカードでの実パラメータ数は1.73Bで、Safetensorsのメタデータ上は「2B」と表示される。コンテキスト長は入出力合わせて256Kトークン、語彙数は128,000。エージェント、ツール呼び出し、構造化出力、ドメイン特化のファインチューニングを主な用途に掲げる。公式のベンチマーク値(ベンダー公表値)として、BFCL V4が71.39、ToolSandboxが80.36、IFEvalが96.66、GPQA Diamondが63.37、LiveCodeBench v6が73.46、WebArena-Verifiedが38.42、RULER 128Kが65.56と示されている。ブログでは、WebArena-VerifiedでLFM2.5-2.6Bの3.02から大きく伸び、長いブラウザ作業や業務アプリのタスクでQwen3.5-9Bを上回ると述べられている。いずれもLiquid AI自身の評価であり、第三者による再現ではない。
LFM3-VL-2B(画像・動画)。 合計1.92Bで、内訳は言語モデル1.73B、ビジョンエンコーダ164M、プロジェクタ25Mである。コンテキスト長は128K。LFM系で初めて動画入力に対応し、62のビジョン系ベンチマークの平均が71.4(思考オフでは62.1)と公表されている。個別ではDocVQA 96.7、ChartQA 92.7、MMBench 86.1、MathVista 84.2、Video-MME(字幕なし)62.8などだ。公式はGemma 4 12Bと同等と主張するが、これもベンダー公表値である。
LFM3-Audio-2B(音声)。 音声認識、音声合成、音声対話、翻訳を一つで扱う。コンテキストは32K、音声入力は16kHz、音声出力は24kHz。モデルカードの音声ロケールに日本語が含まれる。公表値は英語ASRのWERが6.23、多言語ASRが6.03、TTSの音質指標UTMOSv2が3.83、VoiceBenchが73.13。ストリーミング時の最初のトークンまでの時間は最短50msとされる。パラメータ数はカード上「2B」とだけ書かれ、詳細な内訳は公式に記載がない。なお、ブログ記事とモデルカードのタグでは対応言語数が「18」、カード本文の一覧は19ロケールと、記載に食い違いがある。
LFM3-Omni-2B(全モダリティ)。 テキスト・画像・動画・音声を入力でき、テキストと音声を出力できる。合計2.17Bで、コンテキストは32K。画像は原寸で処理し、1枚あたり最大2,048トークンを使う。動画はllama.cppでは常に2fps(4〜384フレーム)で処理される。公表値はDaily-Omniが70.09、DocVQAが92.47、英語ASRのWERが6.36など。OmniBench総合ではQwen2.5-Omni 7Bの49.65を下回る46.32で、全項目で勝つわけではないことも公式カードに載っている。思考モード(enable_thinking)は非対応である。
d1-2B / d1-omni-2B(決定特化)。 自由文を生成する代わりに、状況と複数の質問を与えると、1回の順伝播ですべての質問に対し較正された確率つきの答えを返す「決定モデル」である。はい・いいえ、択一・複数選択、スコアリング、数値範囲の推定などに使う。d1-2BはLFM3-VL-2Bをベースに1.92B、テキスト・画像・動画を扱い、コンテキストは128K(ただし約64Kを超えると回答の信頼性が下がると公式が注記)。d1-omni-2BはLFM3-Omni-2Bをベースに音声を加えたもので、パラメータ数などの詳細は公式に記載なしである。
LFM2.5からの進化点
| 項目 | LFM2.5-2.6B | LFM3-1.7B |
|---|---|---|
| パラメータ数 | 約2.69B | 1.73B(約35%減) |
| 層構成 | 30層(畳み込み22+GQA8) | 24層(畳み込み13+SWA5+グローバル注意6) |
| コンテキスト長 | 128K(131,072) | 256K |
| 対応言語 | 16言語(日本語を含む) | 16言語(日本語を含む) |
| 4bitメモリ | 公式は「2.5GB未満」(量子化込み配布) | 公式は「約1GB」 |
| WebArena-Verified | 3.02(LFM3ブログ記載) | 38.42 |
| ライセンス | LFM1.0 | LFM Open License v1.0 |
LFM2.5側の詳細はLFM2.5-2.6Bの必要スペック解説に、日本語特化の派生モデルはLiquid AI 日本語特化2モデルの解説にまとめている。LFM3で日本語専用の派生モデルが出ているかは、現時点で公式に記載がない。
動かす環境別のポイント
Apple Silicon(Mac)。 LFM3-1.7BにはMLXの4bit版(LiquidAI/LFM3-1.7B-MLX-4bit)が用意されている。VL・Audioも4bit MLX版があり、MLX-VLMで動かす。統合メモリが8GBでも1.7Bの4bitなら余裕があり、ブログによればLFM3-1.7BはM5 Maxで同クラスの比較モデルよりprefillが2.5倍以上、decodeが1.8倍以上速いとされる(Q4_0 GGUF、32Kコンテキスト、ベンダー公表値)。
NVIDIA GPU。 BF16版をtransformers、vLLM、SGLangで使う。FP8版(LFM3-1.7B-FP8)とNVFP4版(LFM3-1.7B-NVFP4)も公式に配布されている。重みだけなら4GBのGPUでも入るが、実用上は6〜8GB以上のVRAMが扱いやすい。動画やオムニ入力を使うなら12GB以上が安心だ。
CPUのみ。 GGUF版をllama.cppで動かせば、GPUなしでも動作する。公式はAMD Ryzen AI Max+ 395上での速度比較も公表している。ただし通常のノートPCでの具体的なトークン毎秒は公式に記載がなく、速度は機種依存になる。
スマートフォン。 公式のエッジ比較には、iPhone 17 ProやSamsung Galaxy S26 Ultraが使われている。LFM3-VL-2Bは3つのエッジ機器で比較モデルの中で最小のピークメモリと説明されるが、具体的な数値はグラフ画像内にとどまり、本文には記載がない。ExecuTorchについてはLFM3-1.7Bのカードに記載がなく、ONNX版が提供されている。
最短の使い方
以下は、公式モデルカードに示された手順である。transformers版のバージョン要件はモデルごとに異なり、VLは5.21.0以上、Audio・Omniは5.20.2以上、d1-2Bは5.19以上とされる。
# テキスト(LFM3-1.7B): transformers
pip install -U transformers accelerate
from transformers import pipeline
generator = pipeline("text-generation", model="LiquidAI/LFM3-1.7B", trust_remote_code=True)
# vLLMで配信
vllm serve "LiquidAI/LFM3-1.7B"
# Docker Model Runner
docker model run hf.co/LiquidAI/LFM3-1.7Bllama.cppやOllamaで使う場合、公式はGGUF版(LiquidAI/LFM3-1.7B-GGUF)がllama.cpp、Ollama、LM Studioに対応するとしている。起動コマンドは一般的な形式で、今回は実機で未検証である。
# GGUF版(コマンド形式は一般的なもの。未検証)
llama-cli -hf LiquidAI/LFM3-1.7B-GGUF
ollama run hf.co/LiquidAI/LFM3-1.7B-GGUF推奨の生成パラメータは、一般用途(チャット・ツール呼び出し・エージェント・コーディング)がtemperature 0.1、top_k 50、repetition_penalty 1.1。数学・STEMはtemperature 1.0、top_p 0.95、top_k 20とされる。transformersでの読み込みにはtrust_remote_code=Trueが必要な点に注意したい。
日本語での利用
LFM3-1.7B、LFM3-VL-2B、LFM3-Omni-2B(テキスト)、d1-2Bの対応言語は、英語・アラビア語・中国語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語・タイ語・インドネシア語・ヒンディー語・ロシア語・ポーランド語の16言語で、日本語を含む。音声系(Audio・Omniの音声出力)のロケールにも日本語がある。ただし日本語に限った公式ベンチマークは確認できなかったため、日本語の精度は自社データでの検証を前提にしたい。
ライセンスの注意点
すべてのモデルカードで、ライセンスは「LFM Open License v1.0」(タグはlfm1.0)である。無償・世界的・非独占の著作権・特許ライセンスが付与されるが、商用利用は利用者(または所属法人)の年間売上が1,000万米ドル未満の場合に限られる。年間売上が1,000万米ドル以上の組織による商用利用は、この契約ではライセンスされない。適格な非営利団体は、非営利目的・研究目的に限りこの閾値が免除される。再配布ではライセンス本文の同梱、変更箇所の明示、著作権・特許・商標・帰属表示の維持が求められる。Apache 2.0やMITとは異なる条件なので、事業での採用前に原文の確認を勧める。
類似の小型モデルとの比較
同サイズ帯ではGemma 4のE2B・E4B、Qwenの小型モデルが比較対象になる。LFM3-Omni-2Bのモデルカードは、Gemma 4 E2B・E4BやPhi-4 multimodalとの比較表を載せているが、本稿では第三者の数値を確認できていないため、モデル間の優劣は断定しない。傾向としては、LFM3は256Kコンテキストと軽い畳み込み主体の構成でメモリと速度の面を強みとし、ツール呼び出しやエージェント用途に最適化されている。Gemma 4側のハードウェア要件はGemma 4 の必要スペック解説で整理している。商用条件の面では、売上1,000万米ドル以上の企業はLFM3を商用で使えない点が、Apache 2.0系モデルとの大きな違いだ。
メモリ不足のときの対処
- コンテキスト長を短くする。256Kの上限まで使う必要はなく、必要な長さに絞るとKVキャッシュが減る
- 量子化を下げる。BF16からQ8_0、Q4_K_M、MLX 4bitへ切り替えると重みが半分〜4分の1になる
- 動画入力のフレーム数やfpsを下げる。Omniのカードにも、フレーム数を減らすとコンテキストとメモリが減ると記載がある
- VL・Omniでは画像の解像度を下げる。画像1枚で最大2,048トークンを使う
- device_map="auto"でCPUオフロードを使う。ただし速度は大きく落ちる
- transformersのバージョンを確認する。要件より古いとロード時にエラーになる
よくある質問
LFM3-1.7Bは何GBのメモリで動きますか。
公式は4bit量子化で約1GBと説明している。BF16の重みは1.73B×2バイトで約3.5GBが目安(推定)で、実行時にはKVキャッシュなどが加わる。
LFM3は日本語に対応していますか。
テキスト系の対応16言語に日本語が含まれる。Audio・Omniの音声ロケールにも日本語がある。ただし日本語専用の公式ベンチマークは確認できていない。
LFM3は商用利用できますか。
LFM Open License v1.0のもとで、年間売上が1,000万米ドル未満の利用者は商用利用できる。1,000万米ドル以上の組織の商用利用はこの契約ではライセンスされない。詳細は公式の原文で確認してほしい。
スマートフォンで動きますか。
公式はiPhone 17 ProやSamsung Galaxy S26 Ultraでの比較を公表しており、エッジ機器向けに設計されている。具体的な端末要件は公式に記載がなく、アプリ側の実装にも依存する。
LFM3-1.7BとLFM2.5-2.6Bの違いは何ですか。
LFM3-1.7Bはパラメータが約35%少なく、コンテキストが128Kから256Kに伸び、構成も13畳み込み+5SWA+6グローバル注意に変わった。公式はWebArena-VerifiedでLFM2.5-2.6Bの3.02から38.42に向上したと述べている(ベンダー公表値)。
d1-2Bは普通のチャットモデルとして使えますか。
使えない。d1系は自由文を生成せず、複数の質問に対して較正された確率つきの答えを1回の順伝播で返す決定モデルだ。会話にはLFM3-1.7BやLFM3-Omni-2Bを使う。
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