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株式会社オブライト
Software Development2026-09-25約9分で読めます

Whiteboardとは — AIエージェントの変更を図解でレビューするOSSキャンバス【使い方】

Whiteboardは、YC W26採択スタートアップ/dev/fastが開発したMITライセンスのOSS製デスクトップアプリである。Claude CodeやCodexが書いたコードの変更をシーケンス図や決定ログとして可視化し、レビューを助ける。2026年9月にShow HNで公開され話題になった。


Whiteboardは、YC W26採択スタートアップ/dev/fastが開発したMITライセンスのオープンソースデスクトップアプリだ。Claude CodeやCodexといったAIコーディングエージェントに、自分の変更をシーケンス図・エンティティ関係図・決定ログとして説明させ、まるで隣に座った開発者とホワイトボードで会話するような感覚でレビューできるようにする。対象はAIエージェントが書いたPRをレビューする開発者・エンジニアリングリードで、「なぜそう変更したのか分からないまま高速にマージが進む」問題への処方箋として2026年9月24日にShow HNで公開され、Hacker News掲載時点で約313ポイントを集めた。

開発元の/dev/fastは、Sid・Alex・Ketan・Milanの4名(いずれも各社の元テックリード)が創業したチームで、GitHubリポジトリは devdotfast/whiteboard として公開されている(執筆時点でスター数約850)。狙いは開発者コミュニティで「cognitive debt(認知的負債)」と呼ばれる現象への対処だ。AIエージェントが自律的にコードを書けるようになったことで、開発者は自分が完全には理解していないPRをレビュー・マージする機会が増えている。Whiteboardは、エージェント自身にその変更の意図と構造を図として説明させることで、この負債を減らそうとしている。

何ができるか

Claude Code/Codexの変更がSDK経由でWhiteboardキャンバスに描かれ、シーケンス図・ER図・意思決定ログ・セマンティック差分ビューアからコードへジャンプし、人がマージ前に変更を理解する閲覧専用の仕組みを示す図。
機能内容
エージェント連携SDKClaude CodeやCodexなど手持ちのコーディングエージェントに接続し、変更内容をアプリ内キャンバスに描画させるSDKを提供。READMEはモデルとしてGPT-6 SolとClaude Opus 5.5を推奨
シーケンス図変更によって生じる処理フロー・呼び出し関係を図示
エンティティ関係図(ER図)データモデルやオブジェクト間の関係を可視化
決定ログ(Decision Log)エージェントの思考過程や要件のトレーシングを時系列で記録
ジャンプ機能図の要素やエージェントの発言(引用)をクリックすると、対応するコード箇所に直接ジャンプ
セマンティックdiffビューアRust製のAST(抽象構文木)認識diff。大きな関数は疑似コードとして要約表示
WASMプラグインシステムdiff表示のカスタマイズが可能
レビュー共有・エクスポートレビュー結果を他のマシンにエクスポート・共有可能(共有後の更新は再共有しないと反映されない点に注意)
エディタ基盤Code-OSS(VS Codeのベース)をvendoringしたフォーク上に構築。Copilot関連コードを約45%削除し、VS Codeのキーバインドとコードナビゲーション(LSP)は維持

なお、Whiteboard自体でファイルを編集することはできない。あくまでレビュー・設計理解に特化したツールであり、コード編集は従来のエディタやIDEで行う想定だ。

インストール・料金・動作環境

項目内容
料金デスクトップアプリは無料(オープンソース)
対応OSmacOS対応済み。Fedora Linuxはビルド提供あり(AppImage/AUR/Nixは未対応でユーザーから要望が出ている)。Windowsは未対応(対応を予告)
ライセンスMIT
ダウンロード(macOS)install.dev.fast
ダウンロード(Fedora Linux)install.dev.fast/linux
アプリサイズ約736MB(大きいとの批判あり。開発元はネイティブ書き換えを計画中と説明)
テレメトリ匿名の利用状況のみ収集し、コード・diff・プロンプト・モデル出力は含まない。無効化も可能
チームプランマルチプレイヤー機能とトラジェクトリ保存に対応したホスト型Web/チーム版を計画中(セルフホストも継続提供予定)

使い方

最短の流れは、アプリをダウンロードして開き、ウェルカム画面から手持ちのコーディングエージェント(Claude CodeやCodex)を接続し、そのエージェントに「このブランチをレビューして、結果をWhiteboardで開いて」と依頼するだけだ。エージェントはSDK経由で変更内容を解析し、シーケンス図・ER図・決定ログをアプリ内キャンバスに描画する。レビュアーは図の要素やエージェントの発言を起点に該当コードへジャンプでき、Hunkのようなターミナルdiffビューアや素のGitHub PRレビューでは追いにくかった「なぜこの実装にしたか」という意図を、会話ログと図の両方から追いやすくなる。

既存ツールとの比較

ツール形態得意なことWhiteboardとの違い
Whiteboard(本稿)デスクトップGUI(Code-OSSフォーク)エージェントの変更をシーケンス図・ER図・決定ログとして可視化—
HunkターミナルdiffビューアAI注釈付きのテキストdiffレビュー、軽量・ターミナル完結Whiteboardは図解主体、Hunkはテキストdiff主体。両者は競合というより住み分け可能
GitHub PR レビューWebブラウザチーム標準のレビューフロー、コメント・承認の記録Whiteboardはローカル完結の設計理解ツールで、最終的なレビュー記録はGitHub側に残す運用が現実的
Cursor / VS Code統合開発環境(IDE)コード編集そのものWhiteboardは編集不可のレビュー専用。IDEと併用する前提
Excalidraw / tldraw汎用ホワイトボード手動での自由な図解作成Whiteboardはエージェントが自動で図を生成する点が異なり、人手で描く手間がない
Mermaid + Markdown図解記法Gitでバージョン管理できる軽量な図Whiteboardは自動生成・双方向ジャンプが強みだが、コードとの同期が崩れると図だけが取り残されるリスクはMermaidより大きい(HNでも指摘された懸念)
likec4アーキテクチャ図DSL構造化されたアーキテクチャ記述からの図生成likec4は事前定義した構造を描く設計図、Whiteboardは個々の変更ごとに事後生成するレビュー図という違い
図解生成エージェントスキル(diagram-design等)Claude Codeスキル・CLI記事・ドキュメント用の恒久的な図解を生成Whiteboardはレビュー時点のキャンバス表示が主目的で、成果物として保存・公開する図を作る用途とは異なる

Hacker Newsでは「編集できないのに“IDE”を名乗るのはミスリーディングでは」「コードから乖離しうる第二の真実の源になるのでは」「なぜMarkdown+Mermaidではダメなのか」「VS Code拡張として実装すればよいのでは」といった批判も出ており、likec4.devやerode.devとの比較も話題に上った。関連の動きとして、AIコードレビューエージェントのAlibaba Open Code Reviewや、Claude Codeのdiagram-designスキル、アーキテクチャ図生成のArchifyなども同じ「AI時代のレビュー・可視化」領域の周辺ツールとして参考になる。

向いている人・向いていない人

- 向いている: Claude CodeやCodexにコードの大部分を書かせており、変更意図を素早く把握してからマージしたいエンジニアリングリード・シニアエンジニア
- 向いている: 複数エージェントの並列PRをさばく必要があり、テキストdiffだけでは全体構造を追いにくいと感じているチーム
- 向いていない: コードをその場で編集しながらレビューしたい人(Whiteboardは編集不可のためIDEへの行き来が必須)
- 向いていない: Windows環境が前提のチーム(本稿執筆時点で未対応)
- 向いていない: 736MBのアプリサイズやCode-OSSフォークの追加インストールを避けたい、軽量ツール志向のチーム

よくある質問

Whiteboardは無料ですか。

デスクトップアプリはMITライセンスのオープンソースで無料です。マルチプレイヤー機能を備えたホスト型のWeb/チーム版が計画されていますが、セルフホストも引き続き提供される予定です。

Whiteboardでコードを直接編集できますか。

できません。現状はレビュー・設計理解に特化したツールで、編集は従来のエディタやIDEで行う想定です。

どのAIコーディングエージェントに対応していますか。

Claude CodeとCodexへの接続が想定されており、READMEではモデルとしてGPT-6 SolとClaude Opus 5.5が推奨されています。

Windowsでも使えますか。

本稿執筆時点(2026年9月)ではWindows未対応です。開発元は近日対応を予告しています。Linuxは現状Fedoraビルドのみで、AppImageやAURなど他形式はユーザーから要望が出ている段階です。

まとめ

WhiteboardはAIエージェントが書いたコードの「なぜ」を図として引き出し、レビューの認知負荷を下げるための専用ツールだ。編集はできず、Code-OSSフォークによる大きめのアプリサイズやWindows未対応といった制約はあるものの、worktrunkで並列に走らせたエージェントのPRを、テキストdiffだけでなく図と決定ログの両面から素早く把握したいチームには試す価値がある。まずはmacOSかFedora Linuxでダウンロードし、手持ちのClaude CodeやCodexと接続して、小さめのブランチで挙動を確認するのがよいだろう。

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