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株式会社オブライト
AI2026-08-01約6分で読めます

Mathematica 15リリース — 全ノートブックにAIアシスタント内蔵

Wolfram Researchは2026年6月16日、Wolfram Language/Mathematicaのバージョン15をリリースした。目玉は「組み込みAI」で、全ノートブックにAIアシスタントが搭載され、AI環境側からWolframの正確な計算・知識も呼び出せるようになった。新機能も多数追加された。


Wolfram Researchは2026年6月16日、技術計算システム「Wolfram Language」および「Mathematica」の最新版となるバージョン15をリリースした。開発元Stephen Wolfram氏の公式ブログで発表されたもので、1988年6月23日のバージョン1.0公開からおよそ38年目の大型アップデートとなる。今回の目玉は「組み込みの(役に立つ)AI」で、①全てのノートブックにAIアシスタントが標準搭載される点、②逆にAI環境側からWolframの正確な計算・知識を呼び出せるようになる点の2本柱が中心に据えられている。

Mathematica / Wolfram言語とは

Mathematicaは数式処理・数値計算・可視化・データ分析を1つの言語体系にまとめた技術計算ソフトウェアで、内部の中核言語がWolfram言語と呼ばれる。組み込み関数は7,000個を超え、代数・微分方程式・機械学習・画像処理・地理データまで一貫した文法で扱えるのが特徴だ。1988年に登場したバージョン1のコードが現在のバージョン15でもそのまま動く後方互換性を長年維持しており、Windows・macOS・Linuxに加えクラウド版にも対応、無料トライアルも用意されている。中小企業のエンジニアやデータ担当者にとっては、統計・シミュレーション・レポート生成までを1つの環境で完結できる選択肢の一つだ。

AI Assistant in Every Notebook — 全ノートブックにAIアシスタント

バージョン15の第一の柱が「AI Assistant in Every Notebook」だ。作業単位である「ノートブック」の下部にチャットバー(chatbar)が新設され、コードや計算結果を見ながらその場でAIアシスタントに直接質問・指示できるようになった。従来は別ウィンドウやブラウザでAIに質問し、返ってきたコードをノートブックにコピーし直すような使い方が多かったが、計算とAIとの対話が同じ画面の中で完結する構成に変わった。

コードの生成・修正: 自然文で依頼した処理をWolfram言語のコードとして提案してもらえる
エラーの解説: 計算エラーやシンタックスエラーの原因をその場で確認できる
計算の意図確認: 複雑な式や関数の意味をチャット形式で確認しながら組み立てられる

「AI環境からWolframを使う」ことの意味

もう1つの柱「Use Wolfram from Your AI Environment」は、逆方向の統合だ。公式サイトでは「お客様のAIをより賢くする — 正確でリアルタイムの計算と知識を、あらゆるLLMベースのシステムに注入する」という表現で説明されている。ChatGPTやClaudeのような汎用LLMは、統計や単位換算、複雑な数式の計算を苦手とし、もっともらしい誤った数値を返すことがある。これに対しWolframは、1988年から積み上げてきた正確な計算エンジンと、地理・化学・金融などの構造化されたリアルタイム知識ベースを持つ。バージョン15はこの計算・知識の部分を外部のAI環境から呼び出しやすくする方向を強化しており、LLMが「言葉を扱う」役割、Wolframが「正確に計算・参照する」役割を分担する構図がより明確になった。AIクライアントが外部ツールを標準化された形で呼び出す流れは、MCPの2026年仕様のようなプロトコル整備とも軌を一にしており、今後は「どのAIから」「どの計算エンジンを」呼ぶかという組み合わせの設計が実務でも問われるようになりそうだ。

その他の主な新機能

AI関連以外にも、データ処理・可視化・物理シミュレーション・インフラ面で幅広い更新が入っている。主なものを分野別にまとめた。

分野主な新機能
データ処理TimeSeries/EventSeriesの大規模データ対応強化、カテゴリカルデータの計算対応、ModelFitスーパー関数、Tabularの接続性強化
可視化・UIマルチパネル可視化、ギガバイト級ノートブック+リアルタイム検索、ノートブック初のサイドバー、ビジュアルテーマ
数理・物理Symbolic Music(記号的音楽)、DSolveへのAI手法の補助的導入、曲線座標系PDE、制御系の強化学習
インフラ・接続WebSocketsリアルタイム接続、CUDAカーネルの外部関数化、Wolfram Compute ServicesのGPU対応、(スーパー)コンピューティングサービス

入手方法・対応環境

Wolfram Language & Mathematica バージョン15はWindows・macOS・Linuxのデスクトップ版に加え、クラウド版でも利用できる。既存ユーザーはアップデートで入手でき、初めて使う場合も無料トライアルが用意されている。直前のバージョンである14.3は2025年8月にリリースされ、ダークモードの完全対応やLLMGraph、Python/R連携の高速化などが追加されていた。バージョン15はそこからおよそ10か月でのメジャーアップデートとなる。

よくある質問

Mathematica 15の最大の変更点は何ですか?

全てのノートブックにAIアシスタントとの対話用チャットバーが標準搭載されたことと、逆にAI環境側からWolframの正確な計算・知識を呼び出しやすくする方向が強化されたことの2点です。この「組み込みAI」がバージョン15の目玉として発表されています。

AI Assistantは既存のノートブックの使い方を大きく変えますか?

ノートブック下部にチャットバーが追加された形なので、既存のコードや計算資産はそのまま使えます。AIとの対話が同じ画面内で完結する点が主な変更で、コード自体の文法や関数体系に破壊的な変更はありません。

無料で試せますか?

公式サイトから無料トライアルを利用できます。Windows・macOS・Linuxのデスクトップ版とクラウド版の両方に対応しています。

既存のMathematicaコードはバージョン15でも動きますか?

Wolfram言語は1988年のバージョン1から一貫した後方互換性を保っており、当時のコードも現在のバージョン15で動作するとされています。長年蓄積したノートブック資産をそのまま引き継げる点は大きな特徴です。

まとめ

Mathematica 15は、38年続く技術計算システムに対して「ノートブック内のAIアシスタント」と「AI環境からのWolfram呼び出し」という双方向のAI統合を持ち込んだアップデートだ。計算そのものを担うWolframと、対話や指示出しを担うLLMという役割分担が、今後の技術計算・AI活用における標準的な組み合わせ方の一つになっていくかどうかが注目される。

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