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株式会社オブライト
Software Development2026-09-22約10分で読めます

worktrunkとは — 並列AIエージェント向けのGit worktree管理CLI、switch/merge/re

moveで衝突なく複数タスクを回す

worktrunkは、Rust製のGit worktree管理CLIだ。wt switchで複数のworktreeを一瞬で作り、Claude Codeなどのエージェントを並列起動、wt mergeで後片付けまで1コマンドで済ませられる。


worktrunkは、複数のGit worktreeを短いコマンドで作成・一覧・マージ・削除できるRust製のCLIツールだ。Claude CodeやCodexのようなAIコーディングエージェントを1つのリポジトリで並列に走らせる用途に特化して設計されている。開発元はmax-sixty氏で、GitHubリポジトリ max-sixty/worktrunk として公開されており、本稿執筆時点(2026年9月22日)でスター数8,320・フォーク数290、ライセンスはMIT OR Apache-2.0のデュアルライセンス、最新リリースはv0.79.0(2026年9月21日公開)である。

結論から言うと、worktrunkが解決するのはGitネイティブのworktree機能の「UXの悪さ」だ。素のgitで新しいworktreeを作るだけでも git worktree add -b feat ../repo.feat に続けて cd ../repo.feat と、ブランチ名を3回タイプする必要がある。worktrunkはこれを wt switch -c feat の1コマンドに圧縮し、さらに -x フラグでエージェントの起動まで同時に行える。AIエージェントが人の監督なしに長時間タスクをこなせるようになったことで、1つのリポジトリで5〜10並列以上の作業ディレクトリを持つ運用が現実的になり、その受け皿としてworktrunkが位置づけられている。

基本情報

項目内容
開発元max-sixty(個人開発者)
リポジトリgithub.com/max-sixty/worktrunk
公式ドキュメントworktrunk.dev
実装言語Rust
ライセンスMIT OR Apache-2.0(デュアルライセンス)
スター数8,320(2026年9月22日時点、GitHub API実測)
フォーク数290(同時点)
最新リリースv0.79.0(2026年9月21日公開)
初回コミット目安2026年初頭に公開(リポジトリ作成は2025年10月17日)
対応OSmacOS / Linux / Windows

コマンド名は wt だが、Windowsでは Windows Terminal の wt コマンドと衝突するため、Winget経由のインストールでは git-wt という別名で提供される点に注意したい。

何ができるか

機能内容
wt switchworktreeの作成・切り替えをブランチ名だけで実行、-c で新規作成、-x でコマンド実行(エージェント起動など)
wt list全worktreeの差分・ahead/behind・コミットを一覧表示、--full でCIステータスとAI生成サマリーも表示
wt mergeスカッシュ→リベース→マージ→後片付けを1コマンドで実行、コミットメッセージはLLMが差分から自動生成
wt removeworktreeとブランチをまとめて削除
フック(hooks)worktree作成時・マージ前後などのタイミングで任意コマンドを自動実行、依存インストールやdevサーバー起動を自動化
ビルドキャッシュ共有APFS/btrfs/XFS上でcopy-on-writeにより target/node_modules/ を複数worktreeで共有、再ビルド・再コピー不要
インタラクティブピッカーworktreeをCI状態・diff・ログ・PR/コメントのプレビュー付きで一覧選択
PRチェックアウトwt switch pr:123 でPR番号からそのブランチへ直接切り替え
worktreeごとのポート割り当てhash_port テンプレートフィルタでworktreeごとに一意なポートを自動割り当て、devサーバーの共存を実現
エイリアス・per-branch変数wt <name> の独自コマンド定義や、ブランチごとの状態をフックテンプレートで参照

インストール

Homebrew・Cargo・Winget・Arch Linuxのpacman・Conda/Pixiに対応している。インストール後の wt config shell install はシェル統合の設定で、これによりworktrunkのコマンドが現在のシェルセッション内でディレクトリを変更できるようになる(実行しないとサブシェル止まりでcdが反映されない)。

```bash
# macOS / Linux(Homebrew)
brew install worktrunk && wt config shell install

# Cargo(Rustツールチェイン経由)
cargo install worktrunk && wt config shell install

# Windows(Winget、wtの代わりにgit-wtとして導入される)
winget install max-sixty.worktrunk
git-wt config shell install

# Arch Linux
sudo pacman -S worktrunk && wt config shell install

# Conda / Pixi(コミュニティメンテナンスのfeedstock)
conda install -c conda-forge worktrunk && wt config shell install
```

料金は無料のオープンソースソフトウェアであり、有償プランは公式には存在しない(本稿執筆時点)。

使い方

最短の流れは、機能ブランチ用のworktreeを作り、作業後に wt list で状態を確認し、wt merge でまとめてマージするというものだ。

```console
$ wt switch --create feature-auth
✓ Created branch feature-auth from main and worktree @ ~/repo.feature-auth
```
```console
$ wt list
  Branch        Status      HEAD±     main↕    main…±    Remote⇅  Commit    Age  Message
@ feature-auth  +   ↑      +27   -8   ↑1       +31                4bc72dc    2h  Add authenticatio…
^ main              ^⇡                                    ⇡1      0e631ad    1d  Initial commit

○ Showing 2 worktrees, 1 with changes, 1 ahead, hidden: Path
```

作業が終わったら、PRワークフローかローカルマージのどちらかを選べる。PRワークフローではコミット・push・PR作成を手動で行い、マージ後に wt remove で片付ける。ローカルマージでは wt merge が差分からコミットメッセージを生成し、リベース・マージ・不要になったworktreeの削除までを自動で行う。

```console
$ wt merge main
◎ Generating commit message and committing changes... (2 files, +53, no squashing needed)
  Add authentication module
✓ Committed changes @ a1b2c3d
◎ Merging 1 commit to main @ a1b2c3d (no rebase needed)
✓ Merged to main (1 commit, 2 files, +53)
◎ Removing feature-auth worktree & branch in background
○ Switched to worktree for main @ ~/repo
```

並列でAIエージェントを走らせる場合は、-x フラグでworktree作成と同時にエージェントを起動する。

```bash
wt switch -x claude -c feature-a -- 'Add user authentication'
wt switch -x claude -c feature-b -- 'Fix the pagination bug'
wt switch -x claude -c feature-c -- 'Write tests for the API'
```
worktrunkのライフサイクル図。wt switch -c -x claudeで3つのworktreeを作成しClaude Codeを並列実行、wt listで状態確認後、wt mergeでスカッシュ・リベース・マージ、wt removeでworktreeとブランチを削除する流れ

この-x フラグと合わせて、worktree作成時に依存インストールやdevサーバー起動を自動化する「post-startフック」を設定しておくと、wt switch 一発でエージェントがすぐ作業を始められる環境が整う。Claude Code連携では /worktrunk スキルがworktrunk関連の設定(コミットメッセージ自動生成、フック追加、パステンプレートの調整、シェル統合の不具合修正など)を支援し、isolation: "worktree" で起動したエージェントはworktrunkの命名規則・フック・ライフサイクル管理に従ってworktreeを作成する。また wt list statusline --format=claude-code でエディタのステータスラインにモデル名やコンテキスト使用量を表示できる。

既存ツールとの違い

並列AIエージェントの運用ツールは、大きく「CLIでworktree管理だけを担うもの」と「GUIで並列運用全体を統合するもの」に分かれる。worktrunkは前者の代表格であり、後者の代表は弊社既存記事で紹介したOrca(OSSのエージェント開発環境)だ。

並列エージェント運用ツールの位置づけ図。縦軸CLI〜GUI、横軸worktree専用〜統合環境の4象限で、worktrunkはCLI・worktree専用寄り、Orca/Conductorは GUI・統合環境寄り、herdrは中間に位置する
ツール形態役割の中心worktrunkとの関係
素の git worktreeGitネイティブ機能worktreeの作成・削除そのものworktrunkが薄いラッパーとしてUXを改善する対象
worktrunk(本稿)CLIworktreeのライフサイクル管理に特化
OrcaOSSのGUI/ADE(エージェント開発環境)worktree+ターミナル+ブラウザタブを束ねた並列実行環境全体worktreeを使う点は共通だが、Orcaは差分レビューやPR連携まで含む統合環境。CLI派はworktrunk+任意のターミナル、GUI派はOrcaという住み分け
ConductorデスクトップGUI複数のClaude Codeセッションを1画面で並列管理GUI寄りで、worktree管理は内部的に自動化される
herdrターミナルマルチプレクサ(Rust製)複数エージェントを1つのターミナルからtmux感覚で並列運用、SSH経由の永続セッションにも対応worktrunkがworktree単位の管理に対し、herdrはセッション・ペイン単位の管理に主眼がある。併用も可能

要するに、worktrunkは「worktreeを作る・見る・片付ける」という一点に絞ったツールであり、Orcaのような統合環境やherdrのようなセッション多重化ツールの下敷きとしても機能しうる。実際、公式READMEでもZellij(ターミナルマルチプレクサ)のタブと組み合わせた運用例が示されている。

注意点・向いている人/向いていない人

- CLI操作に抵抗がない人向け。GUIでworktreeやエージェントの状態を視覚的に把握したい場合はOrcaやConductorの方が向く
- Rust製の単一バイナリで動作が軽く、Electron不要。CI環境やSSH越しの運用にも組み込みやすい
- シェル統合(wt config shell install)を実行しないと、wt switch のディレクトリ変更が現在のシェルに反映されない点に注意
- Windowsでは wt コマンドがWindows Terminalと衝突するため git-wt という別名になる。エイリアス設定を忘れると呼び出しに失敗する
- ビルドキャッシュ共有はAPFS・btrfs・XFSでのcopy-on-writeに依存する機能で、対応していないファイルシステムでは効果がない
- wt merge のコミットメッセージ自動生成やAIサマリーはLLM呼び出しを伴うため、API利用料やレート制限の影響を受ける場合がある(詳細な料金体系は公式で個別に要確認)
- 個人開発者(max-sixty氏)によるプロジェクトのため、企業サポートを前提とした導入には注意し、社内ルールに沿ってOSSの利用審査を行うことが望ましい

よくある質問

worktrunkは無料で使えるか

はい。MIT OR Apache-2.0のデュアルライセンスで公開されているオープンソースソフトウェアであり、本稿執筆時点(2026年9月22日)で有償プランは公式に存在しない。

素のgit worktreeで十分では

少数のworktreeを手動管理するだけなら素のgitでも問題ない。ただしブランチ名を複数回タイプする手間や、状態一覧・後片付けの手間が並列数に比例して増えるため、5〜10並列以上でエージェントを運用する場合はworktrunkのようなラッパーの方が実務上のコストが小さい。

OrcaとworktrunkはどちらもGit worktreeを使うが、何が違うか

Orcaはターミナル・ブラウザタブ・差分レビューまで含めたGUIの統合環境で、worktrunkはCLIでworktreeのライフサイクル(作成・一覧・マージ・削除)だけを扱う。GUIで全体を見渡したいならOrca、コマンドラインで完結させたいならworktrunkが向く。

Claude Code以外のエージェントでも使えるか

使える。-x フラグは任意のコマンドを起動できるため、Claude CodeだけでなくCodexなど他のCLIエージェントの起動にも利用できる。

インストール後に何か追加設定が必要か

必要。wt config shell install でシェル統合を有効化しないと、wt switch によるディレクトリ変更が現在のシェルセッションに反映されない。

まとめ

worktrunkは、Git worktreeを使った並列AIエージェント運用のうち「worktreeの作成・一覧・マージ・削除」という基礎部分をCLIで簡潔にするツールだ。GUIで統合的に管理したい場合はOrca、ターミナルでの複数エージェント多重化を重視するならherdr、差分レビューを手厚くしたいならHunk、複数人での共同操作やデスクトップGUIを求めるならMosaicというように、並列エージェント運用スタックは目的別に組み合わせて選ぶのが現実的だ。社内への導入や開発体制づくりはソフトウェア開発AIコンサルティングでも支援している。相談はお問い合わせから。

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