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株式会社オブライト
AI2026-08-15約15分で読めます

Qwen3.8-27B 必要スペック早見表

VRAM 9〜56GB / Apache-2.0で商用利用可【2026年版】

2026年8月15日にweightsが公開されたQwen3.8-27Bの必要VRAMを、公式配布ファイルの実容量から早見表で解説。Q4_K_Mは17.1GBで16GB GPUには載らず、IQ4_XS(15.7GB)が現実解となる。ライセンスはApache-2.0で商用利用可。


Qwen3.8-27Bの必要VRAMは、量子化形式によって約9GB〜56GBの範囲になる。 2026年8月15日(JST)にHugging Faceでweightsが公開され、公式配布ファイルの実容量が確定した。本記事はその実測容量にもとづく必要スペック早見表である。

実務上もっとも重要な点を先に書く。個人利用の定番であるQ4_K_Mは17.1GBあり、VRAM 16GBのGPUには載らない。 前世代Qwen3.6-27BのQ4_K_Mが16.8GBだったのに対しわずかに増えており、16GB環境ではIQ4_XS(15.7GB)かUD-Q3_K_XL(13.4GB)を選ぶ必要がある。

必要スペック早見表

項目内容
weights公開日2026年8月15日(JST)
パラメータ数27B(Hugging Face表示は28B params)
アーキテクチャdense(MoEではない)/64層・hidden 5,120・GQA(Attention heads 24 / KV heads 4)
注意機構ハイブリッド(Gated DeltaNetによる線形注意とfull attentionを4層ごとに交互配置)
コンテキスト長262,144トークン(ネイティブ)/YaRN等で最大1,000,000トークンまで拡張可
マルチモーダル対応ネイティブVision-Language。テキスト・画像・動画入力に対応
推論モードthinkingモードがデフォルトON(reasoning_effortで制御)
4bit量子化VRAM目安約16〜18GB(実容量ベース)
FP8 VRAM目安約25GB(実容量ベース)
BF16 VRAM目安約56GB(実容量55.6GB)
ライセンスApache-2.0(商用利用可・追加の利用規模制限なし)
配布形式safetensors(公式BF16 / FP8)、GGUF(Unslothほかコミュニティ)

Qwen3.8-27Bとは

2026年8月3日、Alibabaは2.4TパラメータのMoEモデル「Qwen3.8-Max」(活性化パラメータ95B、コンテキスト長1M、APIは入力$2・出力$6 per Mトークン)を発表した。詳細はQwen3.8 Maxとはで解説している。このQwen3.8-Maxの発表と同時に、自己ホスト可能な小型モデル「Qwen3.8-27B」が予告され、8月15日(JST)にHugging Faceで公開された。

公開されたのは、BF16のsafetensors版(Qwen/Qwen3.8-27B)とFP8版(Qwen/Qwen3.8-27B-FP8)の2リポジトリである。ライセンスはApache-2.0で、再配布・商用利用・ファインチューニングいずれも許諾されており、月間アクティブユーザー数の上限といった追加条項は付いていない。中小企業が社内システムに組み込む際のライセンス審査は、事実上この一点の確認で済む。

アーキテクチャ:dense + ハイブリッド注意 + ネイティブVL

config.jsonから読み取れる構成はQwen3_5ForConditionalGeneration(model_type: qwen3_5)で、MoEではなくdenseである。64層・hidden size 5,120・Attention heads 24に対しKV heads 4のGQA構成、語彙数は248,320。注意機構はGated DeltaNetによる線形注意とfull attentionを4層ごとに交互配置するハイブリッド型で、full attention層が全体の4分の1にとどまるため、長コンテキスト時のKVキャッシュ消費は同規模の従来型denseモデルより小さくなる見込みである。

加えて、Vision Encoderを内蔵したネイティブVision-Languageモデルである点が前世代からの実質的な変更点にあたる。Vision側はdepth 27・hidden 1,152・patch size 16で、出力を言語側の5,120次元に射影する構成。画像・動画それぞれに専用トークンIDが割り当てられている。GGUFで画像・動画入力を使う場合は、本体の量子化ファイルに加えてmmproj(マルチモーダル投影)ファイルが別途必要になる点に注意したい。

量子化別のVRAMと配布ファイル実容量

以下は公式リポジトリおよびUnslothのGGUFリポジトリで確認できる実容量である。VRAM目安は「重みの実容量+KVキャッシュ・アクティベーションの余裕」を見込んだ実務上の推奨値であり、コンテキスト長を伸ばすほど追加のメモリが必要になる。

量子化形式配布ファイル実容量必要VRAM/メモリ目安備考
BF16(公式safetensors)55.6GB(18分割)64GB以上品質劣化なし。サーバー・ワークステーション向け
FP8(公式safetensors)約25GB(レイヤー単位分割、1ファイル372〜384MB)32GB以上FP8対応GPUでの速度・品質バランス
Q8_0(GGUF)29GB32GB以上高精度寄りの量子化
UD-Q6_K_XL(GGUF)25.9GB32GB品質重視でファイルサイズも抑えたい場合
Q5_K_M(GGUF)19.8GB24GB24GB GPUでの品質重視の選択肢
UD-Q4_K_XL(GGUF)17.9GB24GBUnsloth Dynamicの4bit上位版
Q4_K_M(GGUF)17.1GB24GB推奨(16GBには載らない)個人利用の定番だが16GB GPUでは不可
IQ4_XS(GGUF)15.7GB16GB(ギリギリ)16GB GPUでの4bit現実解
UD-Q3_K_XL(GGUF)13.4GB16GB16GB環境で余裕を持たせたい場合
UD-Q2_K_XL(GGUF)10.7GB12GB品質劣化のリスクあり
UD-IQ2_XXS(GGUF)9.01GB12GB最小構成。品質劣化が大きい
mmproj(画像・動画入力時)931MB(mmproj-BF16)上記に加算マルチモーダル利用時のみ必要

GGUFの容量はUnsloth Dynamic V3.0(preview)ビルドの実測値である。同じ量子化名でもビルド元によって数百MB単位で差が出るため、16GB前後のギリギリの構成を狙う場合は、使用するリポジトリの実ファイルサイズを必ず確認してからダウンロードしてほしい。

量子化フォーマットの選び方

量子化形式の選定は「使えるVRAM」と「求める品質」のトレードオフである。前世代のQwen3.5 27B/35B ローカル導入でも同様の判断基準を解説しているので、あわせて参照してほしい。

- BF16: VRAMに余裕があるワークステーション・サーバー向け。品質劣化なし
- FP8: H100等FP8対応GPUで速度と品質のバランスを取りたい場合
- Q8_0 / UD-Q6_K_XL: 品質を優先しつつファイルサイズも抑えたい場合
- Q4_K_M / UD-Q4_K_XL: VRAM 24GB環境での第一候補
- IQ4_XS / UD-Q3_K_XL: VRAM 16GB環境での現実解。Q4_K_Mは載らないため、この帯を選ぶことになる
- UD-IQ2系: VRAMが極端に限られる環境向け。応答品質の劣化を許容できる場合のみ

NVIDIA GPU別の現実解

以下は公開された実容量にもとづく可否判定である。トークン/秒の実測は公開直後のため十分なデータが揃っておらず、本表では容量面の可否に絞っている。

GPUVRAM動く量子化備考
RTX 4060 Ti 16GB16GBIQ4_XS / UD-Q3_K_XLQ4_K_M(17.1GB)は載らない。ここが下限ライン
RTX 4070 Ti SUPER 16GB16GBIQ4_XS / UD-Q3_K_XL容量条件は4060 Tiと同じ。速度面で有利
RTX 4080 SUPER 16GB16GBIQ4_XS / UD-Q3_K_XL同上。演算速度が高い
RTX 4090 24GB24GBQ4_K_M / UD-Q4_K_XL / Q5_K_M4bit定番が余裕を持って載る帯
RTX 5090 32GB32GBQ8_0 / UD-Q6_K_XL / FP8長コンテキストのKVキャッシュにも余裕
A6000 48GB48GBFP8 / Q8_0(余裕)BF16(55.6GB)は単体では不可
H100 80GB80GBBF16フル精度長コンテキスト・マルチユーザー運用も視野

注意点として、BF16の55.6GBはA6000 48GB単体には載らない。フル精度で動かすなら80GBクラスか、複数GPUへの分散が必要になる。48GB環境ではFP8(約25GB)が実質的な上限運用となる。

Apple Silicon での動作

Apple SiliconはユニファイドメモリをGPUと共有するため、Mac本体のメモリ容量がそのままVRAM相当の制約になる。実容量ベースでの可否は以下のとおり。

- 16GBユニファイドメモリ: UD-Q2系(9〜11GB)なら起動するが、OSやアプリと競合し実用は厳しい
- 24GBユニファイドメモリ: IQ4_XS(15.7GB)やUD-Q3_K_XL(13.4GB)が現実解。Q4_K_Mも他アプリを閉じれば射程に入る
- 32GBユニファイドメモリ: Q4_K_M(17.1GB)〜Q5_K_M(19.8GB)が実用的
- 48GBユニファイドメモリ: Q8_0(29GB)やFP8(約25GB)が視野に入る
- 64GBユニファイドメモリ: Q8_0を余裕を持って運用でき、長コンテキストにも対応しやすい
- 128GBユニファイドメモリ: BF16(55.6GB)フル精度での運用が現実的

画像・動画入力を使う場合は、上記にmmprojの931MBが加算される点を見込んでおきたい。

CPU・メモリのみで動かす場合

GPUを持たない環境でも、4bit以下の量子化GGUFであればCPU推論は可能である。ただし27Bクラスのdenseモデルは応答速度が対話用途に耐えないケースが多く、IQ4_XSで16GB、Q4_K_Mで24GB程度のシステムメモリを確保した上で、バッチ処理用途を想定するのが現実的である。加えて本モデルはthinkingモードがデフォルトONで、応答前に推論トークンを生成する分だけ体感速度がさらに落ちる。CPU環境ではreasoning_effortを下げる運用を検討したい。

推論エンジンの対応状況

公式モデルカードはvLLM・SGLang・Dockerでのサーブ手順を掲載しており、これらは公開初日から利用できる。GGUFはUnslothが公開初日にDynamic V3.0(preview)ビルドを揃えており、llama.cppおよびLM Studioからは Hugging Face 経由で読み込める。

一方、Ollama公式ライブラリには2026年8月15日0時(JST)時点でqwen3.8のエントリが存在せず、ollama run qwen3.8:27bはまだ利用できない。前世代の実績からは数時間〜数日で追加される見込みだが、それまではGGUFを直接指定する形での利用となる。ローカル推論エンジンの選定基準そのものはローカルLLM推論エンジン比較で整理している。

予算別の推奨構成

予算帯想定構成動く量子化用途
個人・検証(〜20万円)RTX 4060 Ti 16GB クラスの単体GPUIQ4_XS / UD-Q3_K_XL動作確認・小規模プロトタイピング
小規模チーム(〜60万円)RTX 4090 24GB クラスQ4_K_M / Q5_K_M開発チームでの共有利用
部門利用(〜150万円)RTX 5090 32GB クラスQ8_0 / FP8複数ユーザー・長コンテキスト用途
業務基盤(〜300万円)A6000 48GB クラスFP8 / Q8_0社内API化・常時稼働運用
高負荷運用H100 80GB クラスBF16フル精度高スループット・マルチユーザー
Mac中心の開発チームM4 Max等 64〜128GBユニファイドメモリQ8_0〜BF16開発機兼用、静音・省電力重視

Qwen3.6-27Bからの変更点

前世代のQwen3.6 27B dense coding modelは2026年4月に公開され、dense構成・テキスト/画像/動画のハイブリッドマルチモーダル・コンテキスト長262,144トークンという仕様だった。Qwen3.8-27Bはdense構成とコンテキスト長262,144トークンを引き継ぎつつ、YaRNによる1Mトークンまでの拡張、Gated DeltaNetを用いたハイブリッド注意機構、thinkingモードのデフォルト有効化が加わっている。

ベンチマークは公式モデルカードの掲載値で、コーディング・エージェント系タスクでの伸びが大きい。

ベンチマークQwen3.8-27BQwen3.6-27B差分
SWE-bench Pro61.753.5+8.2
QwenSWEBench79.049.3+29.7
CoWorkBench70.761.0+9.7
IFBench79.569.1+10.4
LiveCodeBench v690.383.9+6.4

公式モデルカードでは、これらのスコアが上位モデルQwen3.7-Plusを全項目で上回るとされている。ベンチマークスコアはベンダー自己申告値であり、自社の業務データでの検証は別途必要である点は従来どおりだが、27Bクラスで手元のGPUに載るモデルとしては選択肢の筆頭に挙がる水準といえる。

ライセンスと商用利用の判断

ライセンスはApache-2.0である。商用利用・改変・再配布が許諾されており、月間アクティブユーザー数の上限や特定用途の除外といった追加条項は付されていない。社内システムへの組み込み、自社サービスへの搭載、ファインチューニングした派生モデルの配布まで、Apache-2.0の一般的な条件(著作権表示とライセンス文の同梱)を満たせば可能である。

ライセンス面の制約が事実上ないため、選定の論点は「自社のGPUに載るか」「日本語を含む自社データでの精度が要件を満たすか」に集約される。前者は本記事の早見表で判断でき、後者は実データでの検証が必要になる。

トラブルシューティング(メモリ不足)

- 16GB GPUでQ4_K_MがOOMになる: 仕様どおりである。17.1GBあるため16GBには載らない。IQ4_XS(15.7GB)かUD-Q3_K_XL(13.4GB)に切り替える
- ファイルサイズ的には載るはずなのにOOMになる: KVキャッシュ分の余裕を見込めているか確認する。コンテキスト長を短く設定すると解消することが多い
- 画像を入力するとエラーになる: GGUF利用時はmmprojファイル(931MB)を別途ダウンロードし、推論エンジン側で指定する必要がある
- CPUオフロードで極端に遅い: 部分オフロード設定を見直し、GPUに載るレイヤー数を最大化する
- 応答が始まるまでが長い: thinkingモードがデフォルトONのため。reasoning_effortを下げると短縮できる
- Apple Siliconでスワップが発生する: 他アプリを終了しユニファイドメモリの空きを増やすか、一段小さい量子化に切り替える

よくある質問

Qwen3.8-27Bのweightsはいつ公開されたか?

2026年8月15日(JST)にHugging Faceで公開された。Alibabaは2026年8月3日のQwen3.8-Max発表と同時に「Aug 10の週」の公開を予告しており、告知どおりの時期に、BF16版(Qwen/Qwen3.8-27B)とFP8版(Qwen/Qwen3.8-27B-FP8)の2リポジトリが同時に公開されている。

Qwen3.8-27Bはdense構成かMoE構成か?

denseである。config.jsonのアーキテクチャはQwen3_5ForConditionalGenerationで、MoE関連のフィールドは存在しない。64層・hidden 5,120・Attention heads 24 / KV heads 4のGQA構成で、Gated DeltaNetによる線形注意とfull attentionを4層ごとに交互配置するハイブリッド注意機構を採用している。

最低限どのくらいのVRAMがあれば動くか?

最小構成のUD-IQ2_XXS(9.01GB)であれば12GB程度のVRAMで動作するが、品質劣化が大きい。実用的な下限はIQ4_XS(15.7GB)で、VRAM 16GBのGPUがひとつの目安になる。個人利用の定番であるQ4_K_Mは17.1GBあり16GBには載らないため、24GBクラスのGPUが必要である。

Qwen3.6-27Bと比べてマルチモーダル対応は変わるか?

引き続きテキスト・画像・動画に対応しており、Vision Encoder(depth 27・hidden 1,152・patch size 16)を内蔵したネイティブVision-Languageモデルとして構成されている。GGUFで画像・動画入力を使う場合は、本体の量子化ファイルとは別にmmprojファイル(BF16版で931MB)が必要になる。

商用利用は可能か?

可能である。ライセンスはApache-2.0で、商用利用・改変・再配布が許諾されており、月間アクティブユーザー数の上限といった追加の制限条項は付いていない。著作権表示とライセンス文の同梱というApache-2.0の一般的な条件を満たせば、社内システムへの組み込みからファインチューニング済み派生モデルの配布まで行える。

OllamaやLM Studioで使えるか?

LM Studioとllama.cppは、Unslothが公開初日に用意したGGUF(Dynamic V3.0 preview)をHugging Face経由で読み込む形で利用できる。一方Ollama公式ライブラリには2026年8月15日0時(JST)時点でqwen3.8のエントリがなく、ollama run qwen3.8:27bはまだ利用できない。追加されるまではGGUFを直接指定して使うことになる。

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