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株式会社オブライト
AI2026-09-07約11分で読めます

K2 Horizon 必要スペック早見表

VRAM 1GB未満〜750GB級/RTX 4060〜マルチGPUまで【2026年9月版】

2026年9月時点、MBZUAI傘下IFMが公開したK2 Horizon(6モデル・0.9B〜375B)の必要VRAMは量子化次第で1GB未満から750GB級まで幅がある。モデル別・量子化別の早見表とGPU/Apple Silicon構成の目安をまとめた。


K2 Horizonの必要VRAMは0.9Bで1GB未満、375B-A23BはBF16で750GB級

K2 Horizonは2026年9月3日にMBZUAI傘下のInstitute of Foundation Models(IFM)が公開した、0.9B〜375Bパラメータの6モデルからなるオープンウェイト群である。必要VRAMは量子化と機種によって幅があり、最小の0.9Bモデルは4bit量子化で1GBに満たない一方、最大の375B-A23BはBF16精度だと750GB級のメモリが必要になる。以下、モデル別・量子化別の目安をまとめる。

K2 Horizonとは何か

K2 HorizonはMBZUAI(ムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学)傘下のInstitute of Foundation Models(IFM)が開発した基盤モデル群である。IFMはEric Xing氏が主導し、アブダビ・シリコンバレー・パリに拠点を持つ。K2 Horizonは重みだけでなく学習コード・学習データ・データ混合比・学習ログまで含めて公開する「完全オープン」を掲げており、ライセンスはモデル・コードともApache 2.0としている。ただし2026年9月7日時点で全項目の公開が確認できているのは3.7Bと7Bのみで、32B・36B-A4B・375B-A23Bは重みは公開済みだが、中間チェックポイントや学習コード・データの一部は後日公開予定とされている(詳細は本文後半で扱う)。

モデル総パラメータ活性化パラメータ方式コンテキスト長
K2-Horizon-0.9B0.9B0.9B(Dense)Dense128K
K2-Horizon-3.7B3.7B3.7B(Dense)Dense512K
K2-Horizon-7B7B7B(Dense)Dense512K
K2-Horizon-32B32B32B(Dense)Dense512K
K2-Horizon-MoVA-36B-A4B36B4B疎行列MoE+MoVA512K
K2-Horizon-375B-A23B375B23B疎行列MoE512K

必要スペック早見表(モデル×量子化)

モデルQ4_K_M(約4.5bit・概算)Q8_0(8bit・概算)BF16(16bit・概算)
K2-Horizon-0.9B約0.5GB約0.9GB約1.8GB
K2-Horizon-3.7B約2.1GB約3.7GB約7.4GB
K2-Horizon-7B約3.9GB約7GB約14GB
K2-Horizon-32B約18GB約32GB約64GB
K2-Horizon-MoVA-36B-A4B約22.4GB(GGUF実測)約39.8GB(GGUF実測)約72GB(概算)
K2-Horizon-375B-A23B約211GB約375GB約750GB

手元のGPU・Macで動くかをすぐ確かめたい場合は、モデル・量子化・コンテキスト長を選ぶだけで必要VRAMを試算できるVRAM計算ツール(無料・登録不要)も用意している。K2 Horizonの各モデルもモデル一覧から選択できる。

VRAM計算の考え方 — MoEでも「総パラメータ」基準、4B活性が意味すること

上の早見表は「総パラメータ数(B) × 1weightあたりのbit数 ÷ 8」で概算している。MoE構成のK2-Horizon-MoVA-36B-A4Bや375B-A23Bも例外ではなく、活性化パラメータ数ではなく総パラメータ数を基準にしている。理由は単純で、MoEは推論時にどのエキスパートが呼ばれるかがトークンごとに変わるため、使われないエキスパートも含めて全重みをメモリに常駐させておく必要があるからだ。したがって「4B活性」というスペックは計算量(=推論速度)が4B相当で済むという意味であり、VRAM消費量は36B総パラメータを前提に見積もる必要がある。速度は軽いがメモリは重い、という非対称な性質がMoEモデルの特徴である。

36BのMoEモデルは全エキスパートの重みをVRAMに常駐させる必要がある一方、1トークンあたりに計算されるのは約4B分だけであるため、必要メモリは36B相当・推論速度は4B相当という非対称になることを示す図

MoVA(Mixture-of-Values attention)とは何か

MoVAはK2-Horizon-MoVA-36B-A4Bに採用されているアテンション機構で、MoEと同じスパースルーティングの考え方をアテンション内部に持ち込んだものである。通常のvalue projectionを学習済みのvalueエキスパート群に置き換え、トークンごとに一部のみを活性化させる。これにより表現の「幅」を持たせつつ推論コストを抑えられるとIFMは説明している。IFMはこの構成により、tau3-Banking(エージェントタスク)やGPQA Diamond(大学院レベル科学QA)などのベンチマークで、活性化パラメータ数が約15倍大きい他のオープンウェイトMoEモデルを上回ると説明している。KVキャッシュへの影響については、アテンション機構自体が変わるため既存のKVキャッシュ見積もり式をそのまま適用できるかは個別に検証が必要で、2026年9月7日時点でIFMから詳細なKVキャッシュ仕様は公表されていない。コンテキスト長とKVキャッシュの一般的な関係はKVキャッシュとコンテキスト長のVRAM影響を参照してほしい。

Kimi K2との違いに関する注記

「K2」という名前が共通するため紛らわしいが、K2 HorizonとMoonshot AIのKimi K2シリーズは別の開発元による別のモデルである。K2 Horizonの開発元はMBZUAI傘下のIFM、Kimi K2の開発元は中国のMoonshot AIであり、アーキテクチャもライセンス方針も異なる。当サイトにはKimi K2系の記事もあるため、検索や比較検討の際は開発元がIFMかMoonshot AIかを必ず確認する必要がある。

量子化別の実測サイズ(K2-Horizon-MoVA-36B-A4B)

量子化実測サイズ(GGUF)
Q3_K_M約17.7GB
Q4_0約21.3GB
Q4_K_M約22.4GB
Q5_K_M約26.4GB
Q6_K約30.8GB
Q8_0約39.8GB

MoVA-36B-A4BについてはGGUF版の実測サイズが公開されているため、この表の数値は計算式による概算ではなく実測値である。なお2026年9月7日時点でK2-Horizon系のGGUFを読み込むにはMBZUAI-IFMのllama.cppフォーク(k2-horizon対応ブランチ)が必要とされており、標準のllama.cppへの取り込みは完了していない点に注意したい。

Apple SiliconとNVIDIA GPUでの動作の目安

- Apple Silicon(統合メモリ): 0.9B〜7BはM2/M3の16GBメモリでも余裕を持って動作する。32BはユニファイドメモリのうちOS分を差し引くとM3 Max 64GB〜が目安。MoVA-36B-A4Bも同程度(64GB〜、余裕を見て96GB以上が無難)。375B-A23Bは4bit量子化でも200GB超が必要になるためM2/M3 Ultra 192GBでも単体では厳しく、量子化をさらに強めるかクラウド利用が現実的
- RTX 4060 / 4070(8〜12GB): 0.9B〜7BのQ4量子化までが対象。32B以上は単体では収まらない
- RTX 4090(24GB): 32BをQ4_K_Mで、あるいはMoVA-36B-A4BをQ4_K_M(約22.4GB)でぎりぎり収める構成が可能。ただしコンテキストを長く取るとKVキャッシュ分で溢れやすい
- RTX 6000 Ada / A100(48〜80GB): 32B・MoVA-36B-A4BをQ8_0まで含め余裕を持って動作。375B-A23Bは複数枚構成が前提
- H100/H200マルチGPU構成: 375B-A23Bを実運用で動かす場合の現実的な選択肢。BF16でフル精度を狙うなら750GB級のVRAM合計が必要になる

予算別の推奨構成

- 〜15万円程度(中古GPU含む): RTX 3060 12GB等で0.9B〜7BをQ4〜Q8で運用。日常的な文章作成や要約タスクが主用途になる
- 〜40万円程度: RTX 4090 24GB構成で32BまたはMoVA-36B-A4BをQ4量子化で運用。コーディング支援やエージェントタスクの検証に向く
- 150万円以上(マルチGPUまたは中古A100): 32B・MoVA-36B-A4Bを高精度量子化で快適に、375B-A23Bも強い量子化と複数枚構成なら視野に入る
- クラウドAPI併用: 375B-A23Bをフル精度で試すだけであれば自前ハードウェアより、対応クラウド経由でのAPI利用の方が初期投資を抑えられる

他のオープンウェイトモデルとの比較

モデル総パラメータ/活性化方式詳細記事
K2-Horizon-MoVA-36B-A4B36B/4BMoE+MoVA本記事
Solar Open2 250B-A15B250B/15BMoE必要スペック記事あり
GLM-5.3-Flash320B/18BMoE必要スペック記事あり
Qwen3.8-Flash-Next非公開(Flash系軽量構成)MoE系必要スペック記事あり
Ornith-1.535B/3A B相当MoE必要スペック記事あり

ライセンスと「完全オープン」の意味・現時点の制約

K2 Horizonはモデル・コードともApache 2.0で公開されており、商用利用を含めて制限は緩い。IFMが強調する「完全オープン」は重みの公開にとどまらず、学習データ・データ混合比・学習ログまで公開することで、第三者が結果を再現・検証したり、独自のファインチューニングやアブレーション研究の土台として使えることを狙ったものである。ただし2026年9月7日時点で全項目の公開が確認できているのは3.7Bと7Bのみで、32B・36B-A4B・375B-A23Bについては重みは公開済みだが中間チェックポイント・学習コード・学習データの一部は後日公開予定とされている。32Bは最終版ではなく初期段階のチェックポイントという位置付けであることも公表情報から分かっている。ローカル実行環境についてはローカル推論エンジン比較ローカルLLM全体地図も参考になる。

よくある質問

K2 Horizonは何ビットの量子化ならRTX 4090(24GB)で動くか。

K2-Horizon-32BはQ4_K_M(約18GB概算)でRTX 4090 24GBに収まる。K2-Horizon-MoVA-36B-A4BはGGUF実測でQ4_K_Mが約22.4GBのため、24GBカードだとコンテキスト長を短めに絞らないとKVキャッシュ分で溢れる可能性がある。375B-A23Bは単一の24GBカードでは量子化を最も強くかけても不可能で、複数GPUかCPUオフロードが前提になる。

36B-A4Bは「4B活性」なのに、なぜ36B相当のVRAMが必要なのか。

MoEモデルは推論時にどのエキスパートが呼ばれるかがトークンごとに変わるため、使われないエキスパートも含めて全パラメータをメモリ上に置いておく必要がある。計算量(速度)は4B相当で済むが、メモリ容量は総パラメータの36B基準で見積もる必要がある。

K2 HorizonとMoonshot AIのKimi K2は同じものか。

別物である。K2 Horizonは2026年9月にMBZUAI傘下のInstitute of Foundation Models(IFM)が公開したモデル群の名称で、開発元・アーキテクチャ・ライセンス方針のいずれもMoonshot AIのKimi K2シリーズとは異なる。名称が似ているため検索時は開発元(IFMかMoonshot AIか)を確認する必要がある。

「完全オープン」とはどこまで公開されているのか。

IFMは重み・コード・学習データ・データ混合比・学習ログまでの公開を掲げている。ただし2026年9月7日時点で完全な公開が確認できているのは3.7Bと7Bで、32B・36B-A4B・375B-A23Bについては重みは公開済みだが、中間チェックポイントや学習コード・データの一部は後日公開予定とされている。32Bは最終版ではなく初期段階のチェックポインという位置付けである。

0.9Bモデルはどんな端末で動くか。

0.9BはQ4_K_M量子化なら1GBに満たないサイズになるため、スマートフォンやスマートウォッチ、Raspberry Pi級のエッジ端末でも動作しうる。IFMも腕時計やスマートグラスなど制約の大きい端末を主な用途として説明している。

コンテキスト長を512Kまで使うと必要VRAMはどれだけ増えるか。

早見表の数値は重みの読み込み分のみで、KVキャッシュの分は含んでいない。512Kトークンのコンテキストをフルに使うとモデルサイズによっては数十GB単位でVRAMが追加で必要になるため、実際の運用ではVRAM計算ツールでコンテキスト長を指定して試算するか、KVキャッシュとコンテキスト長のVRAM影響を確認することを推奨する。

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