本文へスキップ
株式会社オブライト
AI2026-08-24約11分で読めます

Ornith-1.5 必要スペック早見表

VRAM 8〜800GB / 9B・35B-A3B・397Bの量子化別動作条件【2026年8月MITオープンウェイト】

Ornith-1.5はVRAM 8GB〜800GBで動くMITライセンスのオープンウェイトLLM。9B・35B-A3B・397Bの3サイズを量子化別に整理し、GPU選定やKVキャッシュ増加の注意点、Ornith-1.0からの変更点まで解説する必要スペック早見表を丁寧に紹介する。2026年8月時点の情報。


Ornith-1.5はVRAM 8GB〜800GBの幅で動く。オンデバイス検証なら9BをQ4量子化で8GB級GPUから動かせ、個人・小規模チームのローカルエージェント用途では35B-A3BのQ4で24〜32GB級が現実的な第一候補になる。

必要スペック早見表

モデル精度重みサイズ目安VRAM目安(短めのcontext)想定ハード
9Bbf16約19GB24GBRTX 4090 / 5090、L4×2
9BQ8約10.5GB12〜16GBRTX 4070 Ti Super 16GB
9BQ4_K_M約5.8GB8GB(余裕を見るなら12GB)RTX 4060 Ti 8/16GB、Mac 16GB
9B-Mobile端末最適化iOS / Android 実機
35B-A3Bbf16約70GB80GB×1(推奨は80GB×2 or H200 141GB×1)H100 / H200
35B-A3BFP8約35GB40〜48GBL40S 48GB、A6000 48GB
35B-A3BQ4_K_M約20GB24〜32GBRTX 5090 32GB、RTX 4090 24GB(短context)、Mac 32GB統合メモリ
397Bbf16約800GB8× H200 141GB(TP=8)1ノード8GPU
397BFP8約400GB8× 80GBH100×8
397BINT4 / Q4約200GB80GB×4、または大容量統合メモリのMac Studio級

上表は262,144トークンのcontextを使い切らない、短〜中程度のcontextを前提にした目安である。262K contextを実際に使うとKVキャッシュが重みとは別に大きく積み上がるため、長context運用ではVRAMをさらに上積みするか、KVキャッシュ量子化の併用を検討してほしい。量子化後サイズはあくまで概算であり、実際の消費量は実装・バッチサイズ・context長で変動する。

Ornith-1.5 とは

DeepReinforce(Hugging Face org: ornith-ai)が2026年8月20日に公開したオープンウェイトLLMシリーズ。35Bの重みは8月19〜20日にHugging Faceへ掲載された。ライセンスはMIT。ラインナップはDenseの9B、MoEの35B-A3B(総パラメータ約35B・活性パラメータ約3B)、MoEの397Bの3サイズで、いずれもQwen3.5およびGemma 4をベースに継続事前学習と強化学習を行っている。context長は3サイズとも262,144トークンで、YaRN factor 4.0適用でおよそ1Mトークンまで拡張可能。9BにはさらにiOS / Android向けのOrnith-1.5-9B-Mobileバリアントがあり、35B-A3Bは79種類の量子化版がllama.cpp / Ollama / LM Studio互換で公開されている。

自己改善ループ — 何が新しいのか

Ornith-1.5の核は自己改善(self-improving)ループにある。訓練中にモデル自身が「①自分の解答履歴を分析してより難しいタスクを自分で生成する」「②そのタスク専用のscaffold(指示・ツール・分解戦略)を自分で構築する」「③その scaffold のもとで実際に解く」という3つの工程を同時に学習し、解答に対する報酬がGRPOでこの3段階すべてに逆伝播する。開発元はこの仕組みを「data flywheel」と呼んでいる。

前世代のOrnith-1.0は「解のrolloutに加えてscaffolding自体も最適化する」設計だったが、Ornith-1.5はそれをタスク生成そのものまで拡張した点が最大の進化点である。モデルが解くべき問題の難易度を自ら引き上げながら学習ループを回すため、人手によるタスク設計への依存が減る構造になっている。

- タスク生成:解答履歴を分析し、現状より難しいタスクを自ら作る
- scaffold構築:そのタスク専用の指示・ツール・分解戦略を自ら設計する
- 求解:構築したscaffoldのもとで実際に問題を解く
- 上記3段階すべてにGRPOで報酬を逆伝播する

Ornith-1.5の自己改善ループ。解答履歴の分析→タスク生成→scaffold構築→求解→報酬計算と巡り、報酬がGRPOでタスク生成・scaffold構築・求解の3段階のモデル重みに逆伝播する。

Ornith-1.0 からの変更点

前世代Ornith-1.0は2026年6月26日に公開された。1.5との最大の違いは、35Bクラスの内部構造の開示レベルにある。1.0の35BはMoEではあったが活性パラメータ数が公表されておらず、1.5で初めてA3B(活性パラメータ約3B)であることが明示された。これにより「総パラメータは大きいが生成速度は3B級」という35B-A3Bの特性がユーザー側からも把握しやすくなっている。

モデルOrnith-1.0 SWE-bench VerifiedOrnith-1.5 SWE-bench Verified
9B69.470.6
35B75.679.0
397B82.486.0

ベンチマーク(開発元自己申告値)

ベンチ9B35B-A3B397B
SWE-bench Verified70.679.086.0
SWE-bench Pro47.559.665.1
SWE-bench Multilingual71.479.6
Terminal-Bench 2.1 (Terminus-2)46.267.886.1
Terminal-Bench 2.1 (Claude Code harness)47.085.2
GPQA Diamond86.489.292.8
MCP-Atlas70.280.0

開発元は397BのTerminal-Bench 2.1スコア86.1が、Claude Opus 4.8の85.0を「わずかに上回る」と主張しており、この値は「5回の独立実行の平均」だと注記している。また35B-A3Bは同サイズのQwen3.6-35B-A3Bを公開済みのコーディング・エージェント系ベンチ全項目で上回り、Gemma 4-31BやMuse Glimmer-30Bといったより大きなdenseモデルにもエージェンティック・コーディングで差をつけると主張している。ただしこれらはいずれも開発元自身の測定値であり、第三者による独立検証はまだ確立していない点に注意が必要である。

モデルサイズ別 — どれを選ぶか

- 9B:単体GPUでの検証・オンデバイス用途向け。Mobileバリアントを含め、まず動作を試す入り口として最適
- 35B-A3B:個人・小規模チームの本命。総パラメータは大きいが活性パラメータが約3Bのため、Q4量子化なら24〜32GB級GPUやMacの統合メモリでも実用速度が出る
- 397B:データセンター前提。TP=8構成の1ノード(例: 8× H200 141GB)を要し、個人利用の対象外

量子化とVRAMの目安の出し方

重みサイズの概算は「パラメータ数 × ビット幅 ÷ 8」で求められる(bf16=16bit、Q8=8bit、Q4系はおよそ4〜5bit相当)。MoE構成の35B-A3Bや397Bでは、メモリに載せる重みサイズは総パラメータ数で決まる一方、トークン生成速度は活性パラメータ数で決まる点を混同しないことが重要である。35B-A3Bが「大きいのに速い」のはこの分離構造のためだ。

手元のGPU・想定モデル・量子化方式から必要VRAMを試算したい場合は、VRAM計算ツールにモデルサイズと量子化方式を入力すると目安値と動作可能なGPU/Macの候補を確認できる。

動かし方(最短手順)

- Ollamaの場合:公式ライブラリに掲載されていればタグ指定で ollama run できる。掲載前でも Hugging Face の GGUF を ollama run hf.co/<repo>:<quant> の形で直接指定して動かせる(リポジトリ名・量子化タグは配布元の実際の表記を確認すること)
- llama.cpp(GGUF)の場合:Hugging Faceのornith-ai組織からGGUF版をダウンロードし、llama-server -m ornith-1.5-9b.Q4_K_M.ggufのように起動する
- vLLMの場合:vLLM ≥ 0.19.1(SGLangなら≥ 0.5.9、Transformersなら≥ 5.8.1)を用意し、OpenAI互換エンドポイントとしてサーブする

# Hugging Face の GGUF を直接指定して実行する例(repo名・量子化タグは配布元の表記に合わせる)
ollama run hf.co/ornith-ai/Ornith-1.5-9B-GGUF:Q4_K_M

推論結果はchain-of-thoughtをreasoning_contentフィールドに分離して返す仕様のため、通常の応答本文と思考過程を混在させたくないアプリケーションでも扱いやすい。function calling / tool useにも対応しており、OpenAI互換API経由でエージェント用途に組み込める。

他のオープンウェイトモデルとの比較

モデルライセンス総パラメータ活性パラメータcontextQ4 VRAM目安得意領域
Ornith-1.5-35B-A3BMIT約35B約3B262K(YaRNで約1M)24〜32GB級エージェンティック・コーディング
Qwen3.8-27BApache-2.0約27B—(dense)262K(YaRN等で最大1M)約16〜18GB汎用・マルチモーダル(Vision-Language)
GLM-5.2MIT約753B約40B約430GB(VRAM+RAM合計)大規模推論・OSS最上位クラス

Qwen系・GLM系との詳細な必要スペックは、Qwen3.8-27B 必要スペック早見表GLM-5.2 必要スペック早見表をあわせて参照してほしい。

留保事項

- 本記事のベンチマーク数値はすべて開発元DeepReinforceの自己申告値であり、第三者による独立検証は未確立
- Claude Opus 4.8との比較を含む対クローズドモデルの優位性主張は、コミュニティの一部から懐疑的な見方も出ている
- 量子化版(FP8/INT4/Q4等)の実効的な出力品質は、bf16版とは別途の検証が必要
- VRAM目安は短〜中context前提であり、長context運用では別途増加を見込む必要がある
- 数値・仕様はすべて2026年8月時点の公開情報に基づく

RTX 4090 24GBで35B-A3Bは動きますか?

Q4_K_M量子化(重み約20GB)であれば短めのcontext設定を前提にRTX 4090 24GBでも動作します。ただしKVキャッシュ分の余裕を考えると、context長を欲張らない運用が前提になります。長context運用にはRTX 5090 32GBやそれ以上のVRAM、またはMacの統合メモリ32GB以上を推奨します。

MITライセンスなので商用利用できますか?

Ornith-1.5はMITライセンスで公開されており、他の多くのオープンウェイトモデルに見られる利用者数上限や派生物の再ライセンス制限が原則ありません。ただし実際の商用適用にあたっては、必ず配布元であるHugging Face(org: ornith-ai)に掲載された最新のライセンス文面を確認してください。

9BとMobile版の違いは何ですか?

9Bの基本アーキテクチャは同一ですが、Ornith-1.5-9B-MobileはiOS / Android実機での動作を想定して最適化されたバリアントです。GPUサーバーやPCで動かす通常の9B(bf16 / GGUF量子化版)とは配布形態・想定実行環境が異なります。

262Kコンテキストを本当に使えますか?

アーキテクチャ上は262,144トークン(YaRN factor 4.0適用で約1Mトークンまで拡張)に対応しています。ただし実際に長context を使うと重みとは別にKVキャッシュが大きく積み上がるため、本記事のVRAM早見表通りのGPUでは短〜中context運用が前提になります。長context を常用するならVRAMの上積みかKVキャッシュ量子化の併用が必要です。

Ollamaで動かす最短手順は?

Ollamaをインストール後、ollama run ornith-1.5:9bのようにモデルタグを指定して実行するだけでpullと起動が行われます。35B-A3Bや397Bなど大きいサイズはVRAM要件を早見表で確認したうえで、対応する量子化タグを選んでください。

この記事に関連する無料ツール(登録不要・その場で結果)

お気軽にご相談ください

お問い合わせ