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株式会社オブライト
AI2026-09-01約10分で読めます

Solar Open2 250B 必要スペック早見表 — VRAM 89〜191GBを量子化別に整理

Upstage Solar-Open2-250B(アクティブ15BのMoE)の必要スペックを整理。GGUF量子化はIQ4_XSで約127GB、Q2_Kで約89GB、Q6_Kで約191GBが目安となる。公式推奨はH200×4〜8枚だが、単一96GB GPUでも動作可能。2026年9月時点の情報を基に解説する。


結論: IQ4_XSで約127GB、Q2_Kで約89GB、Q6_Kで約191GB

Upstage の Solar-Open2-250B をローカルで動かす際の必要ストレージ・メモリは、GGUF 量子化の IQ4_XS で合計約127GB、Q2_K で約89GB、ほぼ無損失とされる Q6_K で約191GB が目安である。公式が示す推奨ハードウェアは NVIDIA H200 を最低4枚・推奨8枚とするサーバ構成だが、量子化を選べば単一の96GB級GPUや、Apple Silicon のユニファイドメモリ環境でも動作させられる。本記事では2026年9月時点で判明している事実(GGUF量子化の実測サイズ、公式推奨構成、アーキテクチャの特徴)をもとに、環境別の現実的な動かし方を整理する。

必要スペック早見表(量子化別)

量子化bits/weightサイズperplexity現実的な構成評価
Q6_K6.57約191GB4.123H200×4〜8枚、またはCPU+GPUハイブリッドほぼ無損失の基準品質
IQ4_XS4.35約127GB4.159VRAM約92GB+システムRAM約35GB(-ncmoe 15品質/サイズ比が最良。推奨
Q2_K3.05約89GB4.774単一96GB GPU(オフロードなし、約2.5倍高速)実用最小ライン
IQ1_M1.93約56GB7.71764GBユニファイドメモリ、または32GB×2品質劣化が大きく限定用途向け

上記のサイズは重みファイルの容量のみの目安であり、実際の推論に必要なメモリはこれにコンテキスト長やバッチサイズに応じた推論オーバーヘッド(KVキャッシュ・アクティベーション等)が加わる点に注意が必要である。特に長文脈を使う場合はここからさらに数GB〜数十GB上乗せされる可能性がある。

モデル概要: 250B総パラメータ・アクティブ15BのHybrid-Attention MoE

Solar-Open2-250B は韓国 Upstage が2026年7月22日にオープンウェイトとして公開したモデルである。総パラメータ250Bに対し、1トークンあたりに活性化するのは15Bのみという Mixture-of-Experts(MoE)構成を採る。エキスパートは320個の routed expert と1個の shared expert からなり、推論時は routed のうち8個と shared 1個、合計9個のエキスパートが活性化する。アーキテクチャは「Hybrid-Attention MoE」と呼ばれ、linear attention 層3に対し softmax attention 層1という比率を12回繰り返す計48層構成を取り、位置エンコーディングとして一般的な RoPE(回転位置エンコーディング)を一切使用しない点が特徴である。学習データは約12兆トークン、NVIDIA B200 で約200万GPU時間を投じ、英語・韓国語・日本語を主要言語として扱う。前世代の Solar Open 1(102B)からの選択的な重み転移で初期化されており、アーキテクチャ変更により生き残った約2.3%のみが転移され、残りはランダム初期化されたとされる。コンテキスト長は最大1Mトークンで、拡張推論(extended reasoning)は最大131Kトークンまで対応し、OpenAI互換APIでのtool callingにも対応する。

なぜKVキャッシュが軽いのか: 48層中12層のみが保持

1Mトークンという長いコンテキスト長が現実的な選択肢になっている背景には、Hybrid-Attention構成によるKVキャッシュの軽さがある。48層のうち、KVキャッシュを保持する必要があるのは softmax attention を使う12層のみで、残り36層の linear attention 層はキャッシュを必要としない。この結果、1トークンあたりのKVキャッシュは約48KiBという小さな値に収まる。一般的な全層softmax attentionのモデルであれば長文脈時にKVキャッシュが急速に肥大化しVRAMを圧迫するが、Solar-Open2-250Bではこの負荷が大幅に軽減されるため、長文脈用途でもメモリ設計がしやすい。ただし、これはKVキャッシュ自体の話であり、モデル重み本体の容量とは別枠で加算される点は変わらない。

linear attention 3層+softmax attention 1層のブロックが12回繰り返され全48層になり、KVキャッシュはsoftmaxの12層のみが保持することを示す図

環境別の動かし方

量子化レベルと手元のハードウェアの組み合わせによって、現実的な選択肢は変わる。代表的な環境ごとの目安は以下の通りである。

- Apple Silicon(ユニファイドメモリ): IQ1_M(約56GB)なら64GBメモリ機でも収まる可能性がある。IQ4_XS(約127GB)は192GB以上のMac Studio級が現実的なライン
- 単一96GB GPU: Q2_K(約89GB)であればオフロードなしで単一カードに載せられ、Q6_K比で約2.5倍高速に動作するとされる。ただし perplexity の劣化は大きい
- マルチGPU: IQ4_XS〜Q6_Kまで含め、複数枚のGPUに分散して確実に動かしたい場合はマルチGPU構成が安全。公式推奨のH200×4〜8枚はこの延長線上にある
- CPU+GPUハイブリッドオフロード: IQ4_XSでは-ncmoe 15のようなオプションでMoEレイヤーの一部をCPU側RAMにオフロードし、VRAM約92GB+システムRAM約35GBのように分担する運用が現実解になる

ベンチマークと立ち位置

ベンチマークSolar-Open2-250B
MMLU-Pro86.2
SWE-Bench Verified70.4
AIME 202695.7
LiveCodeBench92.4
APEX-Agents16.6(比較: DeepSeek-V4-Flash 13.4 / MiMo-V2.5 13.2)

APEX-Agents のようなエージェント系ベンチマークで他モデルを上回る数値が示されており、コーディング・エージェント用途を意識した設計であることがうかがえる。総パラメータ250Bに対しアクティブ15Bという構成は、推論コストを抑えつつ大規模モデル相当の性能を狙う近年のMoEモデルの流れに沿ったものである。

llama.cppで動かす際の注意: カスタムビルドが必須

Solar-Open2-250B の Hybrid-Attention MoE アーキテクチャは、2026年9月時点で mainline の llama.cpp では未対応である。動かすには対応パッチを当てたカスタムビルドが必要になる点をまず押さえておきたい。

- バッチサイズは -ub 512 または -ub 4096 を使う。-ub 2048 はCUDAクラッシュを起こすため避ける
- MoEレイヤーのCPUオフロードには -ncmoe オプションを使う(IQ4_XSでは-ncmoe 15が一つの目安)
- 全量子化レベルにおいて attention と embedding は Q6_K のまま保持されており、これは検索・retrieval精度を落とさないための設計である
- GGUF量子化は prometheusAIR/Solar-Open2-250B-GGUF として配布されているほか、NotaAI からも INT4 / NVFP4 の量子化版が提供されている

vLLMでのサーバ運用: 公式推奨構成

本番運用や複数ユーザーへの同時提供を想定する場合、Upstage が公式に推奨する実行系は vLLM である。推奨構成はテンソル並列8・エキスパート並列を組み合わせ、Triton backend を用いるというもので、これはハードウェア要件である H200×8枚とセットになった構成と考えてよい。H200×4枚を最低ラインとしつつ、実運用のスループットや同時接続数を確保するには8枚構成が推奨されている。API経由での利用としては、2026年9月時点で主要なAPIプロバイダによるホスティング提供は確認されておらず、事実上セルフホストが前提となる。

ライセンスの注意: Solar Licenseの派生命名義務

Solar-Open2-250B は Apache 2.0 派生の「Upstage Solar License」で提供される。商用利用は可能だが、Apache 2.0 単体とは異なり、このモデルをファインチューニングするなどして派生モデルを作成・配布する場合には、モデル名に「Solar」というプレフィックスを付けることと、Upstage への帰属表示を行うことが求められる。自社サービスに組み込む形での利用(ファインチューニングを伴わない推論利用など)では大きな制約にはならないが、独自の派生モデルとして公開・配布する計画がある場合は、命名規則と帰属表示の要件を事前に確認しておく必要がある。

他のオープンウェイトMoEモデルとの比較

モデル総パラメータアクティブコンテキスト長4bit時の目安メモリライセンス
Solar-Open2-250B250B15B1M約127GB(IQ4_XS)Upstage Solar License(Apache 2.0派生)
GLM-5.3-Flash約320B約18B(A18B)公開情報ベースで長文脈対応(詳細な上限は本記事では未確認)公開情報ベースで概ね150GB台と推定公開情報ベース(要確認)
DeepSeek-V4-Flash公開情報ベース(詳細非公開)公開情報ベースで比較的小さいアクティブ規模と見られる長文脈対応(詳細は公開情報ベース)公開情報ベースで数十GB規模と推定公開情報ベース(要確認)
Qwen3.8-Flash-Next公開情報ベース(詳細は関連記事参照)公開情報ベースで軽量なアクティブ規模長文脈対応公開情報ベースで比較的小さいと推定公開情報ベース(要確認、Apache系が多い)

GLM-5.3-Flash や Qwen3.8-Flash-Next の詳細な必要スペックは、GLM-5.3-Flash 必要スペックQwen3.8-Flash-Next 必要スペックでそれぞれ量子化別に整理している。総パラメータやアクティブパラメータの数字だけでなく、KVキャッシュの軽さやアーキテクチャの違いも実運用時のメモリ要件に大きく影響するため、あわせて確認することを推奨する。

よくある質問

Solar-Open2-250Bの日本語性能はどの程度か。

学習データに英語・韓国語・日本語が含まれており、日本語を含む多言語対応を掲げているモデルである。ただし本記事で参照した公開ベンチマーク(MMLU-Pro、SWE-Bench Verified等)は日本語特化の評価ではないため、日本語タスクでの具体的な精度は自環境での検証が必要である。

単一GPUだけで動かせるか。

Q2_K量子化(約89GB)であれば単一96GB GPUにオフロードなしで載せられるとされている。ただしperplexityの劣化が比較的大きいため、品質と単一GPU運用のどちらを優先するかで選択が変わる。IQ4_XS以上の量子化では単一96GB GPUには収まらず、CPUオフロードかマルチGPUが必要になる。

1Mトークンのコンテキスト長は実用的か。

48層中12層のみがKVキャッシュを保持し、1トークンあたり約48KiBという軽さのため、長文脈を扱う際のメモリ負荷は一般的な全層softmax attentionモデルより小さい。ただし1Mトークン近くまで使う場合はKVキャッシュ分のメモリが別途積み上がるため、本記事のサイズ表はあくまで重み容量の目安として扱う必要がある。

APIとして手軽に使えるか。

2026年9月時点で主要なAPIプロバイダによる提供は確認されていない。現時点ではセルフホストが前提のモデルであり、APIとして手軽に呼び出したい場合は他の選択肢を検討する必要がある。

ファインチューニングして自社モデルとして配布する場合のライセンスは。

Upstage Solar Licenseの下では、派生モデルを作成・配布する際にモデル名へ「Solar」プレフィックスを付けることとUpstageへの帰属表示が義務付けられている。Apache 2.0単体よりも制約があるため、配布計画がある場合は事前にライセンス条文を確認すべきである。

IQ1_M(約56GB)は実用に耐えるか。

perplexityが7.717とQ6_Kの4.123から大きく劣化しており、公式にも品質劣化が大きいとされる量子化である。64GBユニファイドメモリ機や32GB×2構成など、メモリ制約が最優先で品質は妥協できる用途に限定して検討すべきである。

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