Microsoft 365 のプラン選びとライセンス見直し — 違い・料金・無駄を減らす手順
Microsoft 365 Business の Basic・Standard・Premium の違いは、デスクトップ版Officeの有無と端末管理・セキュリティ機能にある。選び方、料金の目安、未割り当てライセンスや退職者アカウントの棚卸し手順、年契約で途中減数できない点を整理する。(2026年10月確認)
Microsoft 365 Business の3プラン(Basic・Standard・Premium)の違いは、「デスクトップ版 Office アプリが使えるか」と「端末管理・高度なセキュリティが付くか」の2点に集約される。 Basic はブラウザ版 Office とメール・Teams・クラウド保存が中心、Standard はそこにデスクトップ版の Word・Excel・PowerPoint などが加わり、Premium はさらに端末管理(Intune)や条件付きアクセス(Entra ID P1)、エンドポイント保護(Defender for Business)などが加わる。全員を同じプランにそろえる必要はなく、1つのテナントに複数のプランを混在させられる。費用を抑えるうえで効くのは、プランの格下げよりも、使われていないライセンスを見つけて減らすことである。本記事では、プランの違い、選び方、料金の目安、ライセンスの見直し手順、年契約の注意点を、IT 専任者がいない会社向けに中立的に整理する。(確認日: 2026年10月31日時点)
まず押さえる3プランの位置づけ
Microsoft 365 には個人向け、大企業向け(Enterprise)、中小企業向け(Business)の系統がある。従業員300人以下の会社が対象となるのが Business 系統で、Basic・Standard・Premium の3つに、Office アプリだけの Apps for business を加えた4種類が基本の選択肢である。1つのテナント(会社のアカウントの入れ物)に登録できる Business 系ライセンスのユーザー数は最大300人で、これを超える規模になると Enterprise 系への移行が必要になる。
- Business Basic: メール、Teams、OneDrive、SharePoint、ブラウザ版・スマホ版の Office。デスクトップ版 Office は含まれない
- Business Standard: Basic の内容に、パソコンにインストールして使うデスクトップ版の Word・Excel・PowerPoint・Outlook などが加わる
- Business Premium: Standard の内容に、端末管理(Intune)、Entra ID P1(条件付きアクセスなど)、Defender for Business、Defender for Office 365 などのセキュリティ機能が加わる
- Apps for business: デスクトップ版 Office アプリとOneDriveが中心で、Exchange のメールボックスは含まれない
また、Basic と Standard、Premium には Teams を含まない版も用意されている。すでに他社のビデオ会議・チャットを使っている会社向けの選択肢であり、Teams を含む版より単価が低い。ただし、取り扱いの有無や価格は時期によって変わるため、購入時は管理センターか販売店の画面で確認してほしい。
プラン比較表
主な違いを表にまとめる。機能の細部は更新されることがあるため、契約前に公式サイトの比較ページで最新の内容を確認してほしい。
| 項目 | Business Basic | Business Standard | Business Premium |
|---|---|---|---|
| デスクトップ版 Office(Word・Excel など) | 含まれない(ブラウザ版・モバイル版のみ) | 含まれる | 含まれる |
| メール(Exchange) | 含まれる(メールボックス50GB) | 含まれる(50GB) | 含まれる(50GB) |
| Teams・OneDrive・SharePoint | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
| Entra ID(旧 Azure AD) | 無償版(Free) | 無償版(Free) | P1(条件付きアクセスなど) |
| 端末管理(Intune) | なし | なし | あり |
| Defender for Business(端末のウイルス対策・脅威対応) | なし | なし | あり |
| 上限ユーザー数(テナント全体) | 300人 | 300人 | 300人 |
表のうち、メールボックスの容量は3プランとも同じである。違いが出るのは「パソコンに Office を入れて使うか」と「会社が端末やログインの安全性を管理するか」であり、この2点を軸に考えると迷いにくい。
料金の目安(2026年7月の改定を含む)
Microsoft は2026年7月1日から、Business 系プランの価格を改定した。Microsoft のライセンス告知(米ドル建て)では、Business Basic が6ドルから7ドル、Business Standard が12.50ドルから14ドルに上がり、Business Premium は22ドルである。契約中の会社は、更新のタイミングで最新の価格表に基づく金額に切り替わる(Microsoft Q&A でも、更新時に最新価格で再計算されると説明されている)。
日本円では、Microsoft の日本向け公式ページ(2026年10月31日確認)に、1ユーザーあたりの月額相当(年払い・自動更新・税抜)で次の金額が表示されている。表に「公式サイトで確認」とあるものは、今回の確認で数字を確かめられなかった項目である。
| プラン | Teams あり | Teams なし |
|---|---|---|
| Business Basic | 1,049円 | 公式サイトで確認 |
| Business Standard | 2,098円 | 1,617円 |
| Business Premium | 3,298円 | 2,817円 |
| Apps for business | 公式サイトで確認 | 公式サイトで確認 |
- 上記は年契約・年払いの月額相当である。年契約でも月払いにすると、単価が割高になる場合がある
- Premium に含まれる機能は単体でも買える。公式ページでは Defender for Business が449円、Intune P1 が1,199円、Entra ID P1 が1,049円(いずれも月額相当・年払い)と表示されている。一部の人だけ守りを強めたい場合の比較材料になる
- Copilot などの追加機能(アドオン)は別料金である。必要な場合は個別に価格を確認する
- 表示価格は税抜で、消費税が別に加算される
プランの選び方:2つの質問で決める
プラン選びで迷う場合は、利用者ごとに次の2つの質問に答えると整理しやすい。
質問1:パソコンにインストールした Office を使うか
Excel で関数やマクロを使った集計をしている、大きなファイルを開く、印刷レイアウトを細かく整える、オフラインで作業する場面がある、といった人は、デスクトップ版 Office が必要になる可能性が高く、Standard 以上が候補になる。一方、メールの確認、Teams での会議、共有された文書の閲覧や簡単な編集が中心の人は、ブラウザ版で足りることが多く、Basic でも業務が回る。年契約では後述のとおり途中で減らせないため、試す場合は人数を限定したい。
質問2:会社として端末やログインの安全性を管理する必要があるか
社員の私物スマホや持ち出しパソコンから会社のデータにアクセスしている、紛失したときにデータを遠隔で消したい、取引先から情報セキュリティ対策の証明を求められる、といった状況では、Premium の機能が役に立つ。Intune で端末の暗号化やパスワード設定を強制したり、条件付きアクセスで「社外の見知らぬ端末からはログインさせない」といった制御をかけたりできる。一方、会社支給のパソコンだけで持ち出しも限られるなら、Standard で多要素認証などを確実に設定すれば足りる会社も多い。Premium は設定や運用の手間も増える。
| 利用者のタイプ | 目安のプラン |
|---|---|
| メールと Teams、共有文書の確認が中心(現場スタッフなど) | Business Basic |
| Excel・Word・PowerPoint を日常的に使う事務・営業・管理職 | Business Standard |
| 重要情報を扱う、外部から端末を使う、管理者権限を持つ | Business Premium |
| メールは別サービス、Office アプリだけ使いたい | Apps for business |
プランは1社の中で混在させてよい
Microsoft 365 は、ユーザー1人ごとにライセンスを割り当てる仕組みである。同じテナントの中で、Basic、Standard、Premium を人ごとに使い分けても問題ない。たとえば、事務職は Standard、現場担当は Basic、経営者と経理は Premium といった組み合わせができる。ただし、Premium のセキュリティ機能は、そのライセンスを割り当てられた人にしか適用されない。管理者や重要情報を扱う人に付けないと、保護の空白ができる。
Google Workspace との比較で迷っている場合は、Google Workspace と Microsoft 365 の比較も参考になる。
ライセンス見直しの手順
ライセンスの見直しは、管理センター(admin.microsoft.com)の画面を見ながら進められる。作業は、管理者権限(全体管理者や課金管理者など)を持つアカウントで行う。以下の順で確認するのが分かりやすい。
手順1:契約の全体像を確認する
管理センターの「課金情報」→「お使いの製品」で、契約している製品の一覧を確認する。製品名、購入したライセンス数、割り当て済みの数、更新日が表示される。ここで、同じ製品を別々に契約していないか、見覚えのない契約がないかを見る。あわせて、請求方法が年払い・月払いのどちらか、自動更新がオンかオフかも確認する。販売店経由で契約している場合は、減数や解約は販売店を通すことになる。
手順2:未割り当てライセンスを探す
契約数と割り当て数に差があれば、それは支払っているのに誰も使っていないライセンスである。たとえば10本契約して8本しか割り当てていなければ、2本分が空きになっている。空きは、退職者のアカウントを削除したときに発生することが多い。この空きを別の新入社員に割り当てれば、新たな購入は不要になる。空きが恒常的にあるなら、更新のタイミングで本数を減らす候補である。
手順3:退職者・休眠アカウントを洗い出す
「ユーザー」→「アクティブなユーザー」の一覧で、すでに退職した人や、長く使っていないアカウントがないかを確認する。ライセンスが付いたまま残っているアカウントは、費用がかかり続けるうえ、使われていないのにログインできる状態になっているため、セキュリティ上のリスクにもなる。人事の退職者リストと突き合わせると漏れを防げる。データの引き継ぎが必要な場合は、先に移してからライセンスを外す。手順の全体像は退職者のIT対応チェックリストにまとめている。
手順4:利用状況レポートで実際の使われ方を見る
管理センターの「レポート」→「使用状況」には、メール、Teams、OneDrive、Office アプリのアクティベーション状況などの利用実績が出る。「最終アクティビティ日」を見れば、ライセンスが付いているのに数か月以上メールも Teams も使っていない人が分かる。また、Standard を割り当てているのに、デスクトップ版 Office を一度もインストールしていない人がいれば、Basic への切り替え候補になる。ただし、レポートは目安であり、年に数回しか使わない業務用の共有アカウントなどもあるため、最終判断は本人や部署への確認を挟む。
年契約の更新タイミングと、途中で減らせない点
現在の Microsoft 365 の法人契約(新しい商取引体系、いわゆる NCE)では、年契約を選ぶと1年間の契約期間が確定する。このときの基本ルールは次のとおりである。
- ライセンスの追加は、期間の途中でもいつでもできる。追加分は請求書に日割りで反映される
- ライセンスの減数は、購入または更新から7日以内に限られる。この期間を過ぎると、次の更新まで本数を減らせない
- 年契約の解約は、原則として期間途中の払い戻しがない。7日以内の取り消しは対象外である
- 年契約を月払いにしている場合、途中で解約すると解約手数料がかかる場合がある
- 自動更新がオンのままだと、新しい価格・同じ本数で自動的に更新される
つまり、「更新直後の7日間」と「更新日の前」が、本数やプランを見直す好機である。更新日を過ぎてから退職者の分に気づいても、その年は支払いが続く。見直しは更新日の1〜2か月前に始め、更新の前日までに結論を出すのが安全である。なお、細かな取り扱いは、Microsoft から直接購入した契約(MCA)か、販売店経由の契約(CSP など)か、あるいは旧来の契約かによって異なる場合がある。管理センターの「課金アカウントの種類」と「パートナー関係」で、自社の契約形態を確認しておきたい。
更新時期の確認や、契約の棚卸しは、Microsoft 365 に限らず、他の SaaS にも共通する作業である。まとめて見直したい場合は、SaaS サブスクリプション費用の見直し方も参考になる。
よくある無駄のパターン
- 退職者のライセンスが残っている: アカウントは削除したがライセンスの本数を減らしておらず、空きのまま払い続けている
- 全員を Standard か Premium にそろえている: 実際にはブラウザ版で足りる人が半数いる
- 共有アドレスに1人分のライセンスを付けている: 共有メールボックスにすればライセンスを節約できる場合がある
- 自動更新のまま放置している: 必要な本数の確認をせず、前年と同じ数で更新されている
このうち、退職者分の放置と、プランの過剰が多くの会社で見つかるパターンである。パソコンなどの資産と合わせて棚卸しすると、漏れが減る。進め方はIT 資産管理の始め方で解説している。
10人の会社での費用シミュレーション(例)
あくまで考え方を示すための例であり、実際の金額は契約内容によって異なる。前提は、従業員10人の会社が、全員に Business Standard を割り当てて契約していた場合である。単価は前掲の公式価格(Teams あり、月額相当・税抜)を使い、Standard は2,098円、Basic は1,049円、Premium は3,298円とする。
| ケース | 構成 | 月額(税抜) | 年額(税抜) |
|---|---|---|---|
| 現状 | Standard × 10 | 20,980円 | 251,760円 |
| 見直し後 | 退職者分の2本を削減し、Standard × 5+Basic × 3 | 13,637円 | 163,644円 |
| 参考:全員 Premium | Premium × 10 | 32,980円 | 395,760円 |
この例では、退職者2人分のライセンスを削減し、残る8人のうち、メールと Teams が中心の3人を Basic に切り替えている。結果として月額で約7,300円、年額で約88,000円の差が出る。Premium を全員に付けると、現状の約1.6倍になる。もっとも、Premium が必要な人には必要であり、金額だけで決めてはいけない。守るべき範囲と費用のバランスで考えたい。
なお、Microsoft 365 への移行や、他のサービスからの乗り換えにかかる費用については、Microsoft 365 移行の費用で整理している。
IT 担当がいない会社の見直しチェックリスト
- 管理センターにログインできる管理者が、少なくとも2人いるか(1人が退職しても困らないか)
- 契約の一覧(製品名・本数・更新日・請求方法)を1枚にまとめたか
- 契約本数と割り当て数に差(未割り当て)がないか確認したか
- 退職者・休職者・テスト用のアカウントが残っていないか
- 利用状況レポートで、数か月間まったく使っていない人がいないか
- 各人がデスクトップ版 Office を実際に使っているか(Basic に下げられる人がいないか)
- 私物スマホや持ち出しパソコンを使う人に、Premium が必要かを検討したか
- 共有アドレスにライセンスを付けていないか
- 自動更新の設定と、次回の更新日をカレンダーに登録したか
- 見直しの結果を、更新日の前に販売店または管理センターで手続きしたか
よくある質問
Business Basic でも Word や Excel は使えますか。
使える。ただしブラウザ版とスマートフォン向けアプリが対象で、パソコンにインストールして使うデスクトップ版は含まれない。ブラウザ版は基本的な編集には十分だが、マクロや高度な関数、細かな印刷設定などは制限がある。日常的に複雑な Excel を使う人は Standard 以上が候補になる。
Business Premium は小さな会社でも必要ですか。
会社の規模ではなく、扱う情報と端末の使い方で決まる。私物スマホや持ち出しパソコンから業務データにアクセスする、紛失時に遠隔でデータを消したい、取引先からセキュリティ対策を求められるといった場合は有力な選択肢になる。会社支給のパソコンのみで、持ち出しが限られるなら、Standard で多要素認証などの基本設定を確実に行う運用でも足りる場合がある。
プランを途中で変更したり、ライセンスを減らしたりできますか。
追加は期間の途中でもできる。減らすのは、購入または更新から7日以内に限られ、それを過ぎると次の更新まで原則として減らせない。プランの切り替えも契約の種類によって取り扱いが異なるため、管理センターか販売店で確認してほしい。年契約を選ぶ前に、必要な本数を慎重に見積もっておくことが大切である。
退職者のアカウントを削除すれば、費用は自動で減りますか。
自動では減らない。アカウントを削除すると割り当てが外れて未割り当てのライセンスが残るが、契約している本数は変わらないため、請求も同じままである。空きライセンスを新入社員に再利用するか、更新のタイミングで本数を減らす手続きが必要になる。
Business 系のプランは何人まで使えますか。
Business 系のライセンス(Basic・Standard・Premium など)は、1つのテナントで最大300ユーザーまでである。300人を超える場合は、Enterprise 系のプランへの移行を検討する。
この記事に関連する無料ツール(登録不要・その場で結果)
お気軽にご相談ください
お問い合わせ