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株式会社オブライト
Business DX2026-09-29約15分で読めます

オフィス移転のIT費用相場とチェックリスト|回線・LAN・電話

オフィス移転のIT費用は、10名規模で総額60万〜150万円、30名規模で200万〜450万円が目安です。回線・LAN・電話・複合機・セキュリティ・住所変更の項目別の相場、移転6か月前からの逆算スケジュール、業者の役割分担と選び方、よくある失敗とチェックリストを非IT担当者にも分かりやすく解説します。


オフィス移転のIT関連費用は、10名規模で総額60万〜150万円、30名規模で200万〜450万円が目安です。費用そのものより怖いのは「光回線が移転日に開通しない」「LANの口が足りない」「電話番号が変わってしまう」といった段取りの失敗で、これらは費用の問題ではなくスケジュールの問題です。本記事では、項目別の相場、6か月前からの逆算スケジュール、業者の役割分担、よくある失敗、チェックリストを、IT担当者がいない会社の経営者・総務担当者向けに整理します。

オフィス移転で発生するIT作業の全体像

移転のIT作業は、大きく「新オフィスで使えるようにする作業」「旧オフィスから持っていく作業」「住所が変わったことを外部に伝える作業」の3つに分かれます。内装工事や引っ越しに気を取られていると、3つ目が抜けやすくなります。

- 通信:インターネット回線(光回線)、固定電話・電話番号、Wi-Fi
- 社内設備:LAN配線工事、スイッチ、ルーター、UTM(統合セキュリティ機器)、複合機、入退室管理・防犯カメラ
- 機器の移設:PC、サーバー、NAS、ネットワーク機器の梱包・搬送・再設定
- 情報の更新:会社ホームページ、ドメイン・メール関連、Googleビジネスプロフィール、各種SaaSや取引先への登録住所、名刺・封筒・登記
- 旧オフィスの片付け:リース機器の返却、回線・電話の解約、データ消去、原状回復時の撤去物

「ネットワーク構築」だけを切り出した費用はオフィス移転・増床のネットワーク・Wi-Fi構築費用の相場で詳しく扱っています。本記事はそれを含む移転全体の視点でまとめています。

項目別の費用相場(目安)

以下は一般的なレンジです。建物の構造、既存配管の有無、フロアの広さ、選ぶ機器のグレードで大きく変わるため、必ず複数社から見積もりを取ってください。

項目費用目安備考
光回線の新規工事・開通0円〜10万円キャンペーンで工事費が実質無料になることもある。ビルの引込み状況で変動
LAN配線工事1ポート5千〜1.5万円天井裏・壁内・床下で単価が変わる。10名で20〜30ポート程度が目安
Wi-Fi(アクセスポイント)1台3万〜8万円法人向け・PoE対応。面積と人数で台数を決める
ルーター・スイッチ5万〜40万円事業用グレード。UTMを入れる場合は別途
UTM(統合セキュリティ機器)10万〜40万円+月額数千〜2万円ライセンスの年額が別にかかる
電話(クラウドPBX切替)初期0〜10万円+月額1人500〜2,000円電話機不要でスマホ・PCで運用できる方式もある
電話(従来型ビジネスフォン)30万〜150万円主装置・電話機の購入または移設。移設は新規購入より安いとは限らない
複合機の移設2万〜10万円保守契約先による。リース中は契約先の承認が必要
PC・周辺機器の移設・再設定1台3千〜1万円自社で運べば運搬費は不要だが、再設定の手間がかかる
サーバー・NAS移設5万〜30万円停止・搬送・再接続・動作確認。NASの費用相場も参照
入退室管理・防犯カメラ20万〜150万円台数・ドア数による。費用相場の記事参照
旧機器のデータ消去・廃棄1台数千〜1万円消去証明書の発行可否で価格が変わる
旧オフィスの回線・電話の解約0〜数万円更新月・違約金・撤去工事費を確認する

見積の中には「工事費」ではなく月額の固定費が増える項目(UTMのライセンス、クラウドPBX、回線)が混ざります。初期費用だけでなく、移転後の月額がいくら増減するかも合わせて比較してください。

規模別の総額目安(10名・30名)

項目10名規模30名規模
回線・ルーター・UTM15万〜50万円30万〜80万円
LAN配線・Wi-Fi20万〜50万円60万〜150万円
電話(クラウドPBX or ビジネスフォン)5万〜40万円20万〜120万円
複合機・PC・サーバー/NAS移設10万〜25万円30万〜70万円
入退室管理・防犯カメラ(新設する場合)0〜50万円0〜150万円
住所変更・旧機器処分・その他5万〜15万円15万〜40万円
総額の目安60万〜150万円200万〜450万円

上の表は、PCの買い替えや家具、内装工事、原状回復費を含みません。オフィス移転全体の予算では、IT関連が内装費の1〜2割程度を占めるケースが多いといわれます。なお、入退室管理や防犯カメラを新設するかどうかで総額が大きく振れるため、まず「新設するもの」と「移設するもの」を分けて見積を依頼すると比較しやすくなります。

回線と電話:最も時間がかかる2つ

移転のITスケジュールを支配するのは、インターネット回線と電話です。この2つは自社の都合では早められません。

光回線:新しいビルで光回線を引くには、事業者の現地調査、ビル管理会社の承認、引込み工事の日程調整が必要です。申込みから開通まで1〜2か月が一般的で、ビルの設備状況(すでに光が引き込まれているか、共用配管に空きがあるか)や繁忙期(3月・9月〜10月の移転集中期)には3か月近くかかることもあります。物件の契約が決まった時点、遅くとも移転の3か月前には申込みを済ませるのが安全です。すでに他のテナントが使っている回線が入っているビルなら、比較的早く開通することがあります。

固定電話・電話番号:固定電話(03など)の番号は、同じ番号エリア内の移転であれば引き継げることが多い一方、エリア外へ移転すると市外局番が変わるため引き継げません。同じエリアでも、契約の種類(アナログ回線・ひかり電話・クラウドPBXなど)によって手続きが異なります。事業者に「新住所で今の番号を使い続けられるか」を、物件が確定した直後に確認してください。番号が変わると、名刺・Webサイト・取引先への連絡・チラシなど影響が広範囲に及びます。

番号を守りたい場合や、移転をきっかけに電話の運用を見直したい場合は、クラウドPBXへの切替が選択肢になります。スマートフォンやPCで会社番号の発着信ができるため、電話機の移設や主装置の工事が不要で、開通までの期間も短くなる傾向があります。ただし、現在の番号がクラウドPBXに移せる契約かどうかは事前確認が必要です。

移転当日に電話が使えない期間ができる場合の代替策も決めておきます。転送設定(旧番号から携帯電話への転送)、留守番電話の案内メッセージ、Webサイトでの告知などです。

LAN配線・Wi-Fi・UTM:レイアウトが決まってから動く

LAN配線は、座席レイアウトと什器の配置が確定してから設計するのが原則です。座席が決まっていないまま配線すると、「デスク下にLANの口がない」「会議室に口が足りない」といったやり直しが発生します。内装工事の工程に組み込めるよう、内装業者との調整が必要です。

- 座席数の1.3〜1.5倍程度のLANポートを見込む(将来の増員・複合機・NAS・Wi-Fi・防犯カメラ用)
- 複合機、電話機、NAS、サーバーなど固定機器の位置を配線図に書き込む
- 会議室・受付・フリースペースにもポートを用意する
- Wi-Fiのアクセスポイントは天井設置を前提に位置を決め、電源(PoE給電)を確保する
- ルーター・スイッチ・UTMを置く場所(ラック・通気・電源・鍵の掛かる場所)を決める

Wi-Fiやネットワーク機器の選び方で詳しく説明していますが、家庭用ルーターで済ませるとオフィスでは通信が不安定になりやすく、セキュリティ面のリスクもあります。また、UTMを導入する場合は、ライセンス費用が年額でかかる点と、設定作業を誰が行うかを明確にしてください。

複合機・PC・サーバー・NASの移設

複合機は、リース契約中の場合、勝手に動かせません。リース会社や保守会社に移転を連絡し、移設作業を依頼する必要があります。保守契約の窓口・移設費用・稼働再開日を早めに確認してください。新オフィスでのスキャン先フォルダ、メール送信設定、IPアドレスも再設定が必要です。

PCは、運搬前に各自のデスクトップ・ノートPCへ名前シールを貼り、パーツ・ケーブル・ACアダプタをセットにしておくと、開梱後の混乱を防げます。新オフィスのネットワーク設定(固定IPを使っていた場合など)が変わるので、接続テストの担当者と時間を確保します。

サーバー・NASは、移転作業の中で最もリスクが高い機器です。移設前にバックアップを取り、バックアップの復元テストまで実施してください。搬送中の振動でハードディスクが故障する事例は珍しくありません。NASやファイルサーバーの費用と運用も参考になります。可能であれば、新オフィスの開通後に動作確認の時間を半日確保します。

住所変更に伴う情報更新(忘れやすい項目)

移転後に「まだ旧住所のままだった」というトラブルは、後から地味に効いてきます。以下は更新漏れが起きやすい項目です。

- 会社ホームページ(会社概要・アクセスマップ・お問い合わせページ・フッター)
- Googleビジネスプロフィール(住所・地図ピン・営業時間・電話番号。住所変更で確認のハガキや電話認証が求められる場合がある)
- ドメイン・メール関連(WHOIS情報の登録住所、SSL証明書の組織情報)
- 各種SaaS・クラウドサービスの請求先住所、契約住所
- 取引先・金融機関・保険・リース会社への住所変更届
- 名刺・封筒・請求書テンプレート・メール署名
- SNS・比較サイト・求人媒体・ポータルサイトの掲載情報
- 法人登記の変更(法務局)、税務署・年金事務所・労働基準監督署などへの届出(総務・社労士担当)

Googleビジネスプロフィールは、住所を変更すると再確認(ハガキ・電話・動画など)を求められることがあり、確認が済むまで表示が制限される場合があります。移転日の1〜2週間前から手続きを進めると、営業開始時に表示が間に合いやすくなります。

逆算スケジュール(移転6か月前〜移転後1週間)

移転6か月前から移転後1週間までのIT作業を時系列に並べた図。光回線の申込みは3か月前までに済ませるのが最重要。
時期やること担当の目安
6か月前移転先の候補ビルで、光回線の引込み状況・電気容量・ネットワーク機器の設置場所を確認。ITの担当者(責任者)を決める経営者・総務
4〜5か月前現在の契約(回線・電話・リース・保守)の解約条件と更新月を洗い出す。座席レイアウト案を作る総務・IT担当
3か月前光回線の申込み。電話番号の引継ぎ可否を確認。IT業者・通信業者・内装業者に見積依頼IT担当
2か月前LAN配線・電話・Wi-Fiの設計確定。内装工事の日程に配線を組込む。複合機・保守会社へ移転連絡IT担当・内装業者
1か月前機器の発注(納期を確認)。旧オフィスの回線解約日と新オフィス開通日の重なりを確認。移転作業の役割表を作るIT担当
2週間前バックアップ取得と復元テスト。Googleビジネスプロフィール等の住所変更手続き開始。社内周知(電話・メールの一時的な不便)IT担当・総務
1週間前電話の転送設定。PC・機器の梱包ルールを共有。旧機器の廃棄・データ消去の手配IT担当
移転当日サーバー・NAS・ネットワーク機器の搬送・設置。回線・Wi-Fi・電話・複合機の接続確認IT業者・IT担当
移転後1週間不具合の洗い出し。Webサイト・SaaS・取引先の住所更新の確認。旧オフィスのリース機器の返却、回線・電話の解約完了を確認IT担当・総務

最大のポイントは、光回線の申込みを3か月前に終わらせることです。この一点を守るだけで、失敗の大半は避けられます。

業者の選び方と「誰が全体を見るか」問題

オフィス移転では、複数の業者が関わります。それぞれの得意分野が異なり、誰も全体を見ないと、責任の所在があいまいになります。

業者主な担当注意点
内装業者壁・床・天井・電気工事。LAN配線の穴・配管LAN配線を「内装工事の一部」として頼むと設計が甘くなりやすい
通信業者(回線事業者・電話会社)光回線・電話回線の引込みと開通社内のLAN・Wi-Fiは範囲外であることが多い
IT業者(ITベンダー・保守会社)ネットワーク設計・機器設定・PC/サーバー移設内装や回線のスケジュールに関与できる契約かを確認する
複合機・電話機の販売会社複合機・ビジネスフォンの移設リース契約の名義・保守範囲を確認
引越し業者一般の什器・PCの運搬サーバー・NASは専用梱包が必要な場合がある

最も多い失敗パターンは、内装業者は「ここまで」、通信業者は「ここから」と言い、その間にあるLANの口や機器設置場所の調整が誰の担当か決まっていない状態です。移転プロジェクト全体のIT窓口を1人決める(社内の担当者、または外部のIT業者に一括で依頼する)ことで、この問題は大部分が解決します。IT担当者が社内にいない場合は、IT業者に「設計から当日の立ち会い、移転後のフォローまで」を一括で依頼できるか、範囲を明確にして見積を取ってください。

業者を選ぶときは、次の点を確認します。

- 見積が項目別に分かれているか(一式表記が多くないか)
- 移転当日の立ち会いとトラブル時の連絡体制があるか
- 機器の保証・保守を、移転後も同じ会社が対応するか
- 設計図(配線図・IPアドレス表)を成果物として納品してくれるか
- 旧オフィスの機器の撤去・データ消去まで対応範囲に入っているか

よくある失敗と対策

失敗原因対策
光回線が移転日に開通しない申込みが直前。ビルの承認・工事の待ち3か月前に申込み。開通まで代替(モバイルルーター等)を用意
LANの口が足りない・位置が悪いレイアウト確定前に配線レイアウト確定後に設計。座席数の1.3〜1.5倍を見込む
電話番号が変わってしまった番号継続の確認を怠った物件決定直後に事業者へ確認。クラウドPBXも検討
旧オフィスのリース機器を返却し忘れる契約の把握不足契約一覧を作り、返却日・撤去費用・違約金を確認
旧PC・サーバーのデータが残ったまま廃棄消去を業者任せデータ消去証明書を取得。ディスクは物理破壊または専用ソフトで消去
旧オフィスの回線・電話の解約漏れ請求が続いて初めて気づく解約日・撤去工事の立ち会いを日程表に入れる
NASのデータが壊れたバックアップなしで搬送移設前にバックアップと復元テスト
住所変更が一部だけ古いまま更新対象の洗い出し漏れ更新チェックリストを共有し、移転後1週間で再確認

データ消去については、PCやサーバー、複合機のハードディスクにも顧客情報が残っている場合があります。複合機はリース返却時に内部の記憶装置を消去してもらえるか、また証明書が出るかを確認してください。不要になったPCを廃棄する場合は、消去した日時・機器・方法を記録したデータ消去証明書を取得しておくと、取引先や監査への説明に使えます。

チェックリスト(移転3か月前〜移転後)

- IT全体の責任者(窓口)を1人決めた
- 光回線の申込みを移転3か月前までに済ませた
- 新住所で現在の電話番号が使えるか事業者に確認した(使えない場合はクラウドPBXなど代替を検討)
- 座席レイアウトを確定し、LAN配線図を作成した
- LANポート数に座席数の1.3〜1.5倍の余裕を持たせた
- Wi-Fiアクセスポイントの設置位置と電源(PoE)を決めた
- ルーター・スイッチ・UTMの設置場所を決めた
- 複合機のリース会社・保守会社に移転を連絡した
- 移設対象機器の一覧(PC・サーバー・NAS・ネットワーク機器)を作った
- バックアップを取り、復元テストを実施した
- 移転当日の役割分担表と連絡体制を作った
- 移転日前後の電話転送・留守番電話の案内を設定した
- 旧オフィスのリース機器・回線・電話の解約日と返却日を確認した
- 旧機器のデータ消去・廃棄と証明書の取得を手配した
- ホームページ・Googleビジネスプロフィール・SaaS・取引先の住所変更を実施した
- 移転後1週間で不具合と更新漏れを再確認した

まとめ

オフィス移転のIT費用は、10名規模で60万〜150万円、30名規模で200万〜450万円が目安です。ただし費用の多寡よりも、光回線は3か月前に申込む、レイアウトが決まってからLANを設計する、IT全体の窓口を1人決める、旧オフィスの解約・返却・データ消去まで終えるという段取りが成否を分けます。まずは現在の契約(回線・電話・リース・保守)を一覧にし、更新月と解約条件を確認するところから始めてください。

オフィス移転のIT費用は、何名規模でどのくらいかかりますか?

目安として10名規模で総額60万〜150万円、30名規模で200万〜450万円です。入退室管理や防犯カメラを新設するか、電話を従来型にするかクラウドPBXにするかで大きく変わります。PCの買い替えや内装工事、原状回復費は含みません。複数社から項目別の見積を取って比較してください。

光回線は、移転の何か月前に申し込めばよいですか?

移転の3か月前までが目安です。申込みから開通まで一般的に1〜2か月かかり、ビルの承認や引込み工事の状況、3月や9〜10月の繁忙期には3か月近くかかることもあります。物件が決まったらすぐ、ビル管理会社に引込み状況を確認し、申込みを進めてください。

オフィスを移転すると、固定電話の番号は変わりますか?

同じ番号のエリア内での移転なら引き継げることが多いですが、エリア外へ移ると市外局番が変わるため引き継げません。契約の種類でも扱いが異なります。物件が確定したら、電話事業者に新住所での継続可否を確認してください。番号を守りたい場合は、クラウドPBXへの切替も選択肢です。

内装業者・通信業者・IT業者のどこに頼めばよいですか?

役割が異なり、どれか1社で全部を完結できることは多くありません。内装業者は配管と電気、通信業者は回線の引込み、IT業者は社内ネットワークと機器の設定を担当します。重要なのは全体の窓口を1人決めることです。社内にいない場合は、IT業者に設計から当日立ち会いまでの範囲を明確にして依頼する方法があります。

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