Plainとは — Slack・Teams・メールを1つにまとめるB2B向けAIサポート基盤。Ari/Sidekickの
仕組みと料金【2026年9月】
Plainは、Slack・Teams・Discord・メールなど複数チャネルの問い合わせを1つの受信箱にまとめ、顧客向けAI「Ari」と担当者向けAI「Sidekick」が対応するB2B向けサポート基盤だ。料金は席とAIクレジット制で月額35ドルから。機能・料金・API・導入事例を公式情報から解説する。
Plainは、Slack・Teams・Discord・メールといった複数チャネルからの問い合わせを1つの受信箱にまとめ、顧客向けAI「Ari」と担当者向けAI「Sidekick」で一次対応から調査までを支援する、B2B向けのカスタマーサポート基盤だ。料金は席とAIクレジットの組み合わせで、月額35ドルから利用できる。
本記事は2026年9月23日時点でplain.com公式サイト・料金ページ・製品ページ・changelog・公式ブログおよびGraphQLドキュメントに公開されている情報をもとに、Plainの仕組みと料金、開発者向けAPI、日本の中小企業・小さなチームから見た使いどころを整理する。
Plainとは — 顧客がいる場所(Slack)に受信箱を合わせるB2Bサポート基盤
Plainのコンセプトは「The AI support stack built for B2B」だ。従来型のヘルプデスクが「チケット」を起点に設計されているのに対し、Plainは顧客が実際にいる場所に受信箱を合わせるという発想を取る。Slack Connectの共有チャネルやSlack Enterprise Grid、Slackコミュニティ、Microsoft Teams、Discord、メール、サポートポータル、問い合わせフォーム、ライブチャット、ヘルプセンターからの問い合わせは、すべて1つのPlainの受信箱に集約され、スレッド・Customer Cards・ワークフローとして一元管理される。公式によれば「数百のSlackチャネルを1つの受信箱にまとめ、SLA追跡と違反アラートをSlack向けに提供する」といい、接続そのものは「ワークスペースを接続→アプリをチャネルに追加→メッセージが自動同期」という3ステップで30秒とうたう。受信箱に集まった問い合わせは、まずAriが定型的な内容に出典つきで一次対応し、解決できない場合は人のエージェントにハンドオフする。人のエージェントはSidekickの支援を受けながらLinearやJiraでエンジニアと連携し、CRMや監視ツール、カスタムMCPサーバーからも文脈を取得して返信を組み立てる。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | Not Just Tickets Ltd(英国) |
| 主対象 | Slack・Linear・Jiraを軸に働くエンジニア主導のB2B SaaSチーム |
| 対応チャネル | Slack(Slack Connect / Enterprise Grid / コミュニティ)/Microsoft Teams/Discord/メール/サポートポータル/問い合わせフォーム/ライブチャット/ヘルプセンター |
| 主な連携 | Linear・Jira・Shortcut・GitHub Issues/Attio・HubSpot・Salesforce/Decimal・Duckie AI・Inkeep・Parahelp/incident.io・Rootly |
| API | GraphQL API(https://core-api.uk.plain.com/graphql/v1)、Webhook |
| 信頼性情報 | Trust Center(trust.plain.com)/ステータスページ(status.plain.com) |
Ari — 出典つきで返信し、人が入った瞬間に引く顧客向けAI
Ariは、顧客と会話し問題を解決するAIエージェントだ。スレッド全体を読み、ヘルプセンター記事や社内ドキュメント、ナレッジベースに基づいて出典つきで返信を起草する。公式によれば「すべての回答は出典に直接リンクし、顧客に届く前に確認できる」という。
本番投入前には、非公開チャットで質問してAriの推論を観察できるPlaygroundと、実トラフィックに対してメッセージを送らずに挙動だけを観察するShadow Modeの2通りで検証できる。トーンとエスカレーション規則を設定でき、人のエージェントが会話に参加した瞬間にAriはハンドオフする。収益やプラン、任意のデータをもとに、特定の顧客セグメントだけにAriを振り向けることも可能だ。
2026-08-18のリリースではPlayground・Shadow Mode・引用追跡・カスタム指示が追加され、2026-09-21には「あいまいな顧客メッセージに対して詳細を聞き返す」機能と、顧客がチームメンバーをタグ付けした際のハンドオフ挙動の設定が加わった。Ariは最も安価なFoundationプランから含まれる。なお、自社LLMでAriを稼働できるかどうかは公式ページに明記なし(第三者記事にはその旨の記述があるが未確認)。
Sidekick — Linear・Sentry・CRM・MCPを横断して調べる担当者向けAI
Sidekickは2026-07-13に公式ブログ「Meet Sidekick」で公開された、担当者向けのコパイロットだ。共同創業者のSimon Rohrbachは「顧客の質問が会話だけで答えられることはまれだ」と述べ、返信を書くこと自体よりも、その前の調査に時間がかかるという課題からSidekickが生まれたと説明している。典型的な問い合わせ解決の流れはこうなる。まずAriが定型的な問い合わせに出典つきで一次対応し、解決できない場合や顧客がチームメンバーをタグ付けした場合に人のエージェントへハンドオフする。次にSidekickが会話・エンジニアリングシステム・ドキュメント・接続ツールから文脈を横断的に集め、複数の情報源をまたいで推論し、結論とアクション案を返信の下書きとして起草する。最後に人のエージェントがその返信案をレビューし、必要があれば修正してSendを押す、という順序だ。

| 分類 | ツール |
|---|---|
| ドキュメント / メモ | Notion/Grain/Granola |
| CRM | HubSpot/Attio |
| 課題 / インシデント管理 | Linear/Jira/incident.io |
| 監視 | Datadog/Grafana/Sentry |
| プロダクト分析 | PostHog/LaunchDarkly |
| その他 | Slack/GitHub(読み取り専用)/カスタムMCPサーバー(2026-07-29 changelogで追加) |
2026-07-27には再利用できるCustom Skills、2026-07-12にはセッション管理・接続ツール一覧・調査の開始をまとめたSidekick Homeが追加された。2026-09-21には、自然言語の説明からトリガー・条件・アクションを組み立ててワークフローを生成する機能も加わった。公式が挙げる利用例には、夜間の待ち行列の変化の要約、依頼に紐づくLinear issueの特定、オンボーディング中の顧客の設定進捗の追跡、エラーの背後のコードの調査、ヘルプセンター記事の下書き、顧客の感情とアカウント状況の分析、日次ブリーフィングなどがある。
重要な制約として、公式は「Sidekickは返信案を提案できるが、チームメンバーがレビューしてSendを押す必要がある。単独で顧客にメッセージを送ることはできず、現時点でこの挙動は変更できない」と明記している。Sidekickは有料プラン全てで既定で有効だ。
料金 — 席+AIクレジット制、$35/月から
| プラン | 月額 | 含まれる席 | 追加席 | AIクレジット / 月 | 主な内容 |
|---|---|---|---|---|---|
| Foundation | $35 | 1席 | $35/席 | 2,000 | Slack・メール・アプリ内チャネル/Ari/Linear・Jira連携/ヘルプセンター/ナレッジベース/Customer Cards/AIワークフロー/Sidekick/API・Webhook(7日間無料トライアル、カード不要) |
| Horizon | $299 | 3席 | $99/席 | 15,000 | Foundation+Microsoft Teams/SLAと営業時間/エスカレーションパス/CRM連携/レポートのテーマ/AI提案返信/Slackでの優先サポート |
| Frontier | 要問い合わせ | ― | ― | カスタム | Horizon+Discord/Lookup with Cursor/カスタムワークスペース/個別契約/高度なセキュリティ・SSO・SCIM/カスタムAI(BYOA)/専任CSM/導入支援 |
AIの利用はクレジット制で、各有料プランに月次の付与がある。請求サイクル開始時にリセットされ、追加購入分は翌月に繰り越される。(Featurebaseの記事によれば)クレジットは「量ではなく手間」で計測され、短い要約は安く、複数ツールを横断する深い調査は高くなるという。公開された換算レートはなく、使い切ると次のリセットまでSidekickが一時停止するとされる。なお(Featurebaseの記事によれば)席数上限はFoundation最大5席・Horizon最大10席とされるが、公式料金ページには上限の記載はない。
スタートアップ向けプログラムでは、Horizonが50%オフになり、12か月・10席で$6,000の固定料金になる。条件はVC出資で調達額$5M以下、サポートチーム10人以下、既存顧客でないことだ。デモ予約→適格性確認→2週間の無料トライアルという流れで申し込む。
公式の料金の考え方として、「AI利用はクレジット制でプランに紐づくため、コストはプランに従い、量に応じて跳ね上がる解決件数課金ではない」と説明されている。公式の比較記事は「Intercom Finの利用者の約半数が、解決件数ごとのAI課金を障害として挙げた」とも述べている(Plain社の主張として)。
導入事例の数値 — n8n・Sourcegraph・Granola
| 企業 | 結果(公式公表値) |
|---|---|
| n8n | PlainのAPI上に自社のAIエージェントを構築し、チケットの60%をAIが処理(目標80%)。応答時間は2〜3週間→6〜8時間(98%短縮)。チケット量が20倍になる中でチーム人数は2倍にとどまった |
| Resend | 10万件のチケットを自動化 |
| Sourcegraph | 3ツールを置き換え、初回応答時間を67%短縮 |
| Sanity | Zendeskから移行し、チーム満足度が120%向上 |
| Buildkite | follow-the-sun体制で5分未満のSLAを実現 |
| Tinybird | Enterpriseプランの初回応答が1時間→12分に短縮 |
| Northflank | 応答時間が50%改善 |
| Fly.io | 年200時間以上のエンジニア時間を節約 |
| Granola | 5つの流入チャネルを1ワークスペースに統合。自動化されたアクションの比率が30日で57%→88%、ワークフロー数は29 |
このうちn8nの事例は、PlainのAPIの上に自社のAIエージェントを構築した例であり、AriやSidekickをそのまま使った結果ではない点に注意したい。資金調達額や顧客数、日本語UI・日本語サポートの有無については公式ページに記載がなく、管理画面・ドキュメントは英語のみで提供されている。
開発者向け — GraphQL APIとBring Your Own Agent
PlainはAPIファースト設計で、GraphQL APIのエンドポイントはhttps://core-api.uk.plain.com/graphql/v1(POST)。認証はAuthorization: Bearer <API_KEY>ヘッダーで行い、customer:readのような権限スコープを持つ。スキーマはhttps://core-api.uk.plain.com/graphql/v1/schema.graphqlで公開されており、customers・threads・tenants・tiers・labelsが主なオブジェクトだ。公式の最小例は次のとおり。
```graphql
query customerByEmail($email: String!) {
customerByEmail(email: $email) {
id
fullName
updatedAt { iso8601 }
}
}
```このクエリをcurlで叩く形の例は次のようになる(公式ドキュメントにcurl例そのものは掲載されていないため、上記の最小クエリを踏まえた実行例として示す)。
```bash
curl -X POST https://core-api.uk.plain.com/graphql/v1 \
-H "Authorization: Bearer $PLAIN_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"query":"query customerByEmail($email: String!) { customerByEmail(email: $email) { id fullName updatedAt { iso8601 } } }","variables":{"email":"user@example.com"}}'
```PlainはAPIの「machine user」(AIエージェントがユーザーとして振る舞う仕組み)を通じて、Decimal・Duckie AI・Inkeep・Parahelpといったサードパーティ製AIエージェントとの連携も可能だ。公式の比較記事は「BYOA on Frontier: connect your own model and tools via API and MCP」として、Frontierプランで自社モデルとツールをAPI・MCP経由で接続できると説明している。2026-09-22のchangelogでは、machine userがSlack・メール・タイムラインで人のチームメンバーとして返信できるようになった。Webhookの詳細やレート制限、SDK名については、今回参照した導入ページには記載がなく、ドキュメントの他ページを参照する必要がある。
Zendesk・Intercomなど従来型ヘルプデスクとの違い
| 観点 | Plain | 従来型ヘルプデスク(Zendesk・Intercomなど) |
|---|---|---|
| 受信箱の置き場所 | Slack Connect・Teams・Discordなど顧客がいる場所に受信箱を合わせる | 自社のチケットポータル・メールが中心 |
| AI課金 | 席+AIクレジット制(プランに紐づく) | ツールにより解決件数ごとの従量課金を採用する場合がある(公式の比較記事の主張) |
| エンジニア連携 | Linear・Jiraと標準連携、GitHub読み取りも可能 | 製品により連携の深さは異なる |
| API | GraphQL APIファースト設計 | 製品ごとにREST / GraphQL等が異なる |
| 向くチーム | Slack中心・エンジニア主導のB2B SaaSチーム | 電話・メール中心の幅広い業種のサポートチーム |
上記はPlain公式の比較記事の主張を含めた整理であり、断定的な優劣ではない。Zendesk・Intercom・Front・Kustomerなど各社の最新の料金・機能は公式サイトで確認してほしい。内製の代替として、ローカルLLMとRAGで自前のサポートAIを組む選択肢もある。
日本の中小企業・小さなチームから見た使いどころと注意点
- Slack Connectで顧客とやり取りしている受託開発・SaaSチームには相性がよい。問い合わせをまとめる問い合わせをSlack・LINE・Chatworkに自動通知する方法のような通知設計と比べて検討したい
- 管理画面・ドキュメントは英語で、日本語UIの有無は公式に明記されていない
- Ariの日本語での応答品質は未検証。導入前にShadow Modeで実際の挙動を確認してから本番投入を判断したい
- AIクレジットは換算レートが非公開なので、まずはFoundationプランで試して消費ペースを実測するのが現実的
- 第三者記事による席数上限(Foundation最大5席・Horizon最大10席)の記載には注意し、チーム規模とプランの整合を事前に確認する
- 電話中心・メール中心のサポートには、従来型のヘルプデスクやフォーム+Slack通知の組み合わせの方が安く済む場合もある。エンジニアが多いチームならLinearとは?のような課題管理との連携価値も判断材料になる。人とAIの分担設計は問い合わせ対応のAI活用、自前でAIサポートを組みたい場合はOllama+OpenClawで構築するRAG対応カスタマーサポートAIも参考になる
よくある質問
無料で使える?
無料プランはなく、Foundationプランに7日間の無料トライアル(カード不要)がある。
Ariは勝手に顧客へ返信する?
Ariは出典つきで返信を起草し、人のエージェントが会話に参加した瞬間にハンドオフする設計だ。収益やプランなどをもとに、特定の顧客セグメントだけにAriを振り向ける設定もできる。
Sidekickは顧客に直接メッセージを送信する?
できない。公式によれば返信案を提案するのみで、チームメンバーがレビューしてSendを押す必要があり、この挙動は現時点で変更できない。
日本語には対応している?
日本語UIやAriの日本語応答品質については公式に明記がなく、未検証。管理画面・ドキュメントは英語で提供されている。
Zendeskから移行できる?
2026-08-04公開のカスタムインポータで、任意のツールからメタデータを保ったままチケット履歴を移行できる(重複防止機能つき)。
自社のAIモデルを使える?
FrontierプランのBring Your Own Agent(BYOA)でAPI・MCP経由の自社モデル・ツール接続や、Decimal・Duckie AI・Inkeep・Parahelpなどサードパーティ製AIエージェントとの連携ができる。
まとめ
Plainは、Slack・Teams・Discord・メールなど顧客がいる場所に受信箱を合わせ、Ariによる一次対応とSidekickによる担当者支援を組み合わせたB2B向けサポート基盤だ。料金は席とAIクレジットの組み合わせで月額35ドルから、GraphQL APIとBYOAによって開発者主導の拡張もできる。
一方で日本語対応や自社LLMでの稼働可否、AIクレジットの換算レートなど、公式に明記されていない点も多い。導入を検討する場合は、Shadow ModeやFoundationプランの無料トライアルで実際の挙動とクレジット消費を確認してから判断するのが現実的だ。
参考リンク(一次ソース)
- https://www.plain.com/
- https://www.plain.com/pricing
- https://www.plain.com/ari
- https://www.plain.com/sidekick
- https://www.plain.com/blog/meet-sidekick
- https://www.plain.com/changelog
- https://www.plain.com/customers
- https://www.plain.com/startups
- https://www.plain.com/docs/graphql/introduction
- 第三者: https://www.featurebase.app/blog/plain-pricing
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