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株式会社オブライト
Business DX2026-10-05約12分で読めます

Windows Server 2016 サポート終了(2027年1月)— 中小企業の移行先と費用

Windows Server 2016は2027年1月12日にサポート終了。中小企業の移行先は新サーバー(80万〜200万円)、NAS(10万〜50万円)、Microsoft 365、Azure VMの4つ。費用目安、棚卸しチェックリスト、移行スケジュール、よくある失敗例を比較表でわかりやすく整理する。


Windows Server 2016のサポートは2027年1月12日(延長サポート終了日)で終わり、以降はセキュリティ更新プログラムが提供されなくなる。IT担当者がいない中小企業が社内サーバーを入れ替える場合、費用の目安は新サーバーへの更新で80万〜200万円、NASへの置き換えで10万〜50万円、クラウド移行で初期30万〜100万円+月額である。残り約3か月で間に合わせるには、10月中に現状を棚卸しし、11月までに移行先を決めることが現実的なラインになる。

この記事では、ファイルサーバー、ドメインコントローラー(Active Directory)、会計・販売管理パッケージ用サーバーなど、Windows Server 2016を使い続けてきた会社が、何を確認し、どの選択肢から選び、いくらかかるのかを順に整理する。専門用語は最小限にし、経営者が社内やベンダーと話をするための材料になることを目指す。なお、サポート終了全般の考え方はEOL(サポート終了)対応ガイドでも解説している。

Windows Server 2016のサポート終了とは何か

Windows Serverには「メインストリームサポート」と「延長サポート」の2つの期間がある。Windows Server 2016のメインストリームサポートは2022年1月11日にすでに終わっており、現在は延長サポート期間にあたる。この延長サポートが2027年1月12日に終了する。

延長サポートが終わると、新しく見つかった脆弱性に対するセキュリティ更新プログラムが配布されなくなる。サーバーが突然止まるわけではなく、今日と同じように動き続ける。しかし、攻撃者に狙われやすい穴がふさがれないまま残ることになる。ランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求する攻撃)の被害は、まさにこうした古いサーバーの未修正の穴から広がるケースが多い。

加えて、サポートが切れたOSでは、取引先からのセキュリティ調査票への回答、サイバー保険の加入条件、各種認証の審査などで不利になることがある。「動いているから問題ない」とは言い切れない状況になる点が、経営上の本当のリスクである。

まず何を確認するか:サーバー棚卸しのチェックリスト

移行先を考える前に、現状を正確に把握する必要がある。ひとり情シスや総務兼任の担当者でも、次の項目を表にまとめるだけで、見積もりの精度が大きく変わる。

- 台数と設置場所:Windows Server 2016が何台あるか。物理サーバーか、仮想環境(Hyper-Vなど)か
- 役割:ファイル共有、ドメインコントローラー、プリンター共有、DB、業務パッケージ用など、1台で何を担っているか
- ユーザー数と端末数:サーバーにつながる人数とPCの台数(CALの本数に直結する)
- 業務ソフトの対応OS:会計、販売管理、勤怠、CADなどが新しいWindows Serverに対応しているか。ベンダーに確認する
- データ量:共有フォルダーの総容量と、実際によく使われているデータの割合
- 外部公開の有無:インターネットから直接つながっている機能(リモートデスクトップ、VPN等)がないか
- ハードウェアの年数:購入時期、保守契約の有無、ディスクの状態
- バックアップ:何を、どこに、いつ取っているか。実際に戻せるか試したことがあるか
- 契約・ライセンス:OSのライセンス形態、CAL、業務ソフトの保守契約の期限
- 社外との接続:拠点間VPN、取引先システムとの連携、プリンターや複合機のスキャン保存先

特に見落としやすいのが、「このサーバーでしか動かないソフト」と「複合機のスキャン保存先がサーバーの共有フォルダーになっている」というケースである。サーバーを入れ替えた後で、スキャンデータが保存できなくなって初めて気づく例は珍しくない。

移行先の選択肢と費用目安

Windows Server 2016からの移行先は、大きく4つに分けられる。会社の規模、使っている業務ソフト、社内にIT担当者がいるかどうかで、向き不向きが変わる。費用は目安であり、台数やデータ量、業者によって上下する。

選択肢向いている会社初期費用(目安)月額(目安)注意点
新サーバー+Windows Server 2025業務ソフトがサーバー上で動く、ドメイン管理を続けたい10〜30名規模80万〜200万円(本体・ライセンス・CAL・設定込み)保守契約を付けるなら別途5〜7年後にまた同じ更新が必要。業務ソフトの対応確認が必須
NASへの置き換えファイル共有が主目的で、サーバーの役割が少ない10万〜50万円ほぼなし(保守・バックアップ費用は別)AD(ユーザー管理)の代替にはならない。アクセス権設計に注意
Microsoft 365(SharePoint/OneDrive)+Entra ID在宅・外出が多い、サーバー管理の負担を減らしたい移行作業20万〜80万円、AD→Entra ID移行30万〜100万円1ユーザー月額2,000円前後〜古い業務ソフトや社内専用アプリは別に対処が必要。運用ルールの再設計が要る
クラウドVM(Azure VMなど)業務ソフトを動かし続ける必要があるが、自社に置きたくない移行作業30万〜100万円2万〜10万円使い続ける限り月額が続く。接続方式(VPN等)の設計が必要

どれが正解というわけではなく、会社の状況に応じた組み合わせになるのが普通である。たとえば「ファイル共有はMicrosoft 365へ、会計ソフトだけは小さな新サーバーかクラウドVMに残す」といった形だ。

選択肢1:新しい物理サーバーでWindows Server 2025へ更新する

もっとも変化が小さいのが、新しいサーバー機にWindows Server 2025を入れて、データと設定を移す方法である。業務パッケージが「社内サーバーで動くこと」を前提にしている会社には、現実的な選択肢だ。10〜30名規模で、新サーバー本体、Windows Server 2025のライセンス、CAL(クライアントアクセスライセンス)、セットアップ費用を合わせて、おおむね80万〜200万円が目安になる。

ここで注意が必要なのが2点ある。1つ目は、古いサーバーのOSをそのままアップグレードする方法は、ハードウェアが8年以上前のものである可能性が高く、お勧めしにくいことだ。Windows Server 2016が出た頃に購入した機器は、すでにディスクや電源の故障リスクが高まっている。OSだけ新しくしても、機器そのものが壊れれば意味がない。2つ目は、CALは新しいバージョン用を買い直す必要があることだ。旧バージョンのCALでは新しいサーバーにつなげない。ユーザー数または端末数分の本数が必要になる。

費用面のポイントは、「何年使うか」と「保守をどうするか」である。物理サーバーは5〜7年で次の更新が来るため、年あたりに直すと、クラウドと大きく変わらないケースもある。サーバー更新の費用感は、ファイルサーバー中心ならNASとファイルサーバーの費用比較も参考になる。

選択肢2:ファイル共有をNASまたはクラウドへ、認証をEntra IDへ

サーバーの役割が主にファイル共有だけなら、NASへの置き換えが最も安く済む。10万〜50万円が目安で、容量と冗長化(ディスクを2本以上で保護する構成)の有無で価格が決まる。ただし、NASはWindowsのドメイン(Active Directory)の代わりにはならない。ユーザーごとのアクセス制限を細かくかけたい会社は、設計をしっかり行う必要がある。

もう一歩進めて、ファイル共有をMicrosoft 365のSharePointやOneDrive(またはGoogle Drive)に移し、ユーザー管理をMicrosoft Entra ID(旧Azure AD、クラウド上のユーザー管理)に移すと、社内にサーバーを置かなくてよくなる。費用は、初期の移行作業が20万〜80万円、AD→Entra ID移行が30万〜100万円、ライセンスが1ユーザー月額2,000円前後〜という構成が目安になる。メリットは、在宅や外出先からも同じように使えること、サーバー保守の手間がなくなること、バックアップや履歴管理が標準で備わることだ。移行の進め方と費用の詳細はMicrosoft 365移行の費用ガイドにまとめている。

デメリットは、毎月の費用が継続して発生すること、フォルダー構成の見直しが必要になること、古い業務ソフトのように「ネットワークドライブ前提」のアプリが動かない場合があることだ。会計ソフトのデータ保存先がサーバーの共有フォルダー固定になっている場合は、そこだけ別の手当てが要る。

選択肢3:クラウドVM(Azure VMなど)へ移す

業務ソフトが特定のWindows Server上でしか動かない場合、サーバーそのものをクラウド上の仮想マシン(VM)として動かす方法がある。自社に機器を置く必要がなくなり、ハードウェア故障のリスクも減る。費用は、移行作業が30万〜100万円、月額が2万〜10万円程度が目安である。

なお、Azureでは、古いバージョンのWindows ServerをAzure上で動かす場合に、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)が提供される場合がある。Windows Server 2016についても、Microsoftが有償のESUを提供する可能性があるが、提供の有無や条件、価格は変わりうるため、必ずMicrosoftまたは販売パートナーに最新の情報を確認してほしい。ESUはあくまで「時間を稼ぐ手段」であり、最終的には新しいOSへの移行が必要になる。

クラウドVMの注意点は、使い続ける限り月額費用がかかること、社内PCからの接続方法(VPNなど)を設計する必要があること、通信が遅いと業務ソフトの動作が重くなる場合があることだ。事前に小さく試して、実際の使い心地を確かめるのが望ましい。

間に合わないときの応急策(あくまで一時しのぎ)

2027年1月までに移行が終わらない場合でも、慌てて何もしないよりは、リスクを下げる手を打っておくほうがよい。ただし、以下はすべて「移行までのつなぎ」であり、恒久策ではない。

- インターネットからの直接アクセスを止める:リモートデスクトップの公開、ルーターのポート開放などは優先して閉じる
- ネットワークを分ける:旧サーバーを、一般PCやインターネットから分離したネットワーク(VLANなど)に置く
- 余計な機能を止める:使っていないサービス、共有、アカウントを無効にする
- バックアップを強化する:インターネットから切り離した場所(外付けディスク、別拠点、クラウド)に、定期的に取り、実際に戻せるか確認する
- 管理者アカウントを見直す:パスワードの使い回しをやめ、不要な管理者権限を外す
- 保守契約と連絡先を確認する:故障時の連絡先と対応時間を明確にしておく

こうした対策を取っても、新しい脆弱性が見つかった場合に修正されない事実は変わらない。応急策を取りながら、移行日程を前倒しできる余地を探るのが基本である。

移行スケジュール:2027年1月12日から逆算する

今日(2026年10月5日)から期限まで約3か月である。サーバーの発注から納品までに数週間かかることもあるため、判断は早いほどよい。目安のスケジュールを次に示す。

時期やることポイント
10月上旬〜中旬棚卸し(台数・役割・ユーザー数・業務ソフト)業務ソフトのベンダーへ、新OS対応の確認を同時に依頼する
10月下旬〜11月上旬移行先の決定・見積もり取得2〜3社から取り、前提条件(台数、データ量)をそろえて比較する
11月上旬〜中旬発注(ハードウェア・ライセンス・CAL)納期を確認する。年末は混み合う
11月中旬〜12月上旬構築・テスト環境での動作確認業務ソフト、複合機、プリンター、バックアップを一通り試す
12月中旬本番移行(休業日や夜間を利用)旧サーバーは電源を入れたまま残し、すぐ戻せるようにする
12月下旬〜1月上旬動作確認・予備期間年末年始に問題が出ても対応できる余裕を残す
2027年1月12日サポート終了旧サーバーは停止・データ消去、または隔離
2027年1月12日のサポート終了から逆算した移行スケジュール。10月に棚卸し、11月に移行先決定と発注、12月上旬までに構築とテスト、12月中旬に本番移行、年末年始を予備期間とする。

年末年始は業者の稼働も限られる。12月中に本番移行を終え、1月は予備期間にするのが安全だ。取引先や在庫管理システムとの連携がある場合は、さらに早めの着手が望ましい。

よくある失敗パターン

- 業務ソフトの対応確認を後回しにする:新OSで動かず、ソフトの買い替えや大規模な追加費用が発生する
- CALの数え違い:端末数とユーザー数の違いを理解せず、不足や過剰購入が起きる
- 見積もりにデータ移行・設定作業が含まれていない:本体価格だけを比べて、後から追加費用が出る
- バックアップを取らずに作業を始める:移行中のトラブルでデータが失われる
- 複合機のスキャン保存先、プリンター、共有フォルダーの接続設定を忘れる:移行後に現場から問い合わせが殺到する
- 古いサーバーを廃棄する際のデータ消去を忘れる:情報漏えいの原因になる
- 「サポートが切れても動いているから」と先送りする:ランサムウェアの被害に遭ってから慌てる

失敗の多くは、技術的な難しさよりも「確認漏れ」と「時間切れ」に由来する。サポート終了の準備全般の考え方はEOL対応ガイドも参考にしてほしい。

よくある質問

Windows Server 2016は2027年1月12日を過ぎたらすぐ使えなくなるのか。

使えなくなることはない。サーバーはそれまで通り動くが、新しい脆弱性に対するセキュリティ更新が配布されなくなる。そのため、ウイルス感染や不正アクセスのリスクが徐々に高まる。

今のサーバーのOSだけ、Windows Server 2025にアップグレードできないか。

技術的に可能な場合もあるが、ハードウェアが8年以上前のものだと故障リスクが高く、新しいOSの要件を満たさない場合もある。多くの場合は、新しいサーバー機への入れ替えのほうが安全で、結果として長く使える。

ESU(拡張セキュリティ更新プログラム)を使えば、サポート終了後も使い続けられるか。

Microsoftが有償のESUを提供する可能性はあるが、提供の有無、条件、価格は変わりうる。最新の状況は、Microsoftまたは販売パートナーに確認してほしい。仮に利用できても、時間稼ぎの手段であり、最終的には新しいOSへの移行が必要になる。

ユーザーが10人程度の会社は、どの方法が一番安いか。

ファイル共有が中心ならNAS(10万〜50万円)が最も安い。ただし、ドメイン管理や業務ソフトの要件次第で変わる。ユーザー数が少なく、在宅勤務もあるなら、Microsoft 365への移行も有力である。月額費用が続く点とあわせて、5年トータルで比較するとよい。

CAL(クライアントアクセスライセンス)は新しく買う必要があるか。

必要である。新しいバージョンのWindows Serverには、同じバージョン以上のCALが必要になる。ユーザー単位か、デバイス単位かで本数が変わるため、棚卸しの段階で数を確認しておく。

間に合わない場合、最低限何をすればよいか。

インターネットからの直接アクセスを止める、サーバーを他のネットワークから分離する、バックアップを分離した場所に取り、戻せるか確認する、の3つを優先する。ただし、これは一時しのぎであり、移行日程は引き続き進める必要がある。

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