Windows 10 ESU 2年目は$122 — 中小企業は使い続けてよいか
Windows 10 ESU 2年目は2026年10月14日開始で1台約$122(目安)。1年目未購入なら累計$183が必要だ。Win11へ移れないPCだけ延命し、他は買い替えが合理的。中小企業向けに年次別の費用表、10台・30台の総額例、使い続けるリスク、移行7ステップ、購入前チェックリストを整理する。
Windows 10 ESU(拡張セキュリティ更新)とは、サポートが終了したWindows 10に対して、有料でセキュリティ更新だけを延長して受け取れる仕組みである。法人向けの1年目は2026年10月13日で終了し、2年目が10月14日から始まる。結論として、専用機器や古い業務ソフトの都合でWindows 11へ移れないPCは1台あたり約$122(目安)の2年目を購入して期限付きで延命し、買い替え時期が来ているPCはESUに払わず入れ替えたほうが合理的である。
2025年10月14日にWindows 10の通常サポートは終わり、いまは「お金を払った会社だけが更新を受け取れる」状態にある。1年目を買ったまま何もしなければ、2026年10月の期限後は更新が届かなくなる。この記事では、2年目の費用、買うべきPCと買わなくてよいPCの見分け方、使い続けた場合のリスク、移行計画の手順を、IT担当者がいない会社でも社内で話し合えるように整理する。サーバー側の期限についてはWindows Server 2016のサポート終了対応も参考になる。
結論:2年目は「延命の最終手段」であって、標準の選択肢ではない
ESUは、あくまで移行までの時間を買うための制度である。2年目は1年目の2倍、3年目はさらに2倍という価格設計で、使い続けるほど1台あたりの負担が急に重くなる。しかも受け取れるのはセキュリティ更新だけで、新機能も、不具合の修正も、Microsoftへの技術サポートも含まれない。
そのため判断の基本は次の2択になる。Windows 11へ移れるPCは、2年目を待たずに計画的に入れ替える。移れないPC(専用機器や古い業務ソフトに縛られたもの)は、2年目を買って期限を区切って延命しつつ、並行して後継を用意する。「とりあえず払っておけば安心」と全台に購入するのは、費用面でもっとも割高になりやすい。
ESU 2年目の費用:1台あたり$122(目安)、3年目は$244
Microsoftが公表している法人向けESUの定価は、1年目が1台あたり$61である。価格は毎年2倍になるとされており、2年目は$122、3年目は$244になる計算だ。なお、2年目と3年目の金額は「毎年2倍」という公表ルールから算出した値で、円建ての価格は販売店や為替レートで変わるため、実際の購入前に必ず見積りを取ってほしい。ESUは最長3年(2028年10月まで)で、それ以降は延長できない。
| 年次 | 期間 | 1台あたり価格(定価) | 累計(1台あたり) |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 2025年10月〜2026年10月13日 | $61 | $61 |
| 2年目 | 2026年10月14日〜2027年10月 | $122 | $183 |
| 3年目(最終) | 2027年10月〜2028年10月 | $244 | $427 |

次に、PC台数ごとの総額を示す。ドル建ての定価をそのまま掛けた金額で、円は「1ドル=150円」と仮定した目安にすぎない。実際の円価格は為替や販売店の手数料で上下する。
| 規模 | 2年目のみ(ドル) | 1年目+2年目(ドル) | 1年目+2年目(150円換算の目安) |
|---|---|---|---|
| 10台の会社 | $1,220 | $1,830 | 約27万円 |
| 30台の会社 | $3,660 | $5,490 | 約82万円 |
ここで見落としやすい点が2つある。まず、ESUは累積型で、2年目だけを単独で買うことはできない。1年目を買わずに過ごした会社が今から始める場合は、1年目と2年目の合計である1台あたり$183を払うことになる。次に、ESUの加入は自動更新されない。2年目を購入しなければ、2026年10月以降はセキュリティ更新が届かなくなる。期限が過ぎたあとで気づいても、その間の更新は取り戻せない点に注意したい。
買い方と、割引・無償になる例外
法人のESUは、Microsoftのボリュームライセンスや、CSP(クラウドソリューションプロバイダー)と呼ばれる販売パートナーを通じて購入する。個人向けのESU(2025年10月15日〜2026年10月13日)は法人の業務利用には対象外なので、会社のPCに個人向けを適用することはできない。
また、対象にはWindows 10のバージョン22H2が必要である。古いバージョンのまま放置しているPCは、先に22H2へ更新しないとESUを受け取れない。
- クラウド更新管理の割引: Intune(インチューン)やWindows Autopatchのようなクラウドの更新管理で運用している端末は、1年目に割引(報道では25%、$45)があったとされる。2年目の割引は確認が取れていないため、価格を決める前に販売店に確認する
- Windows 365・Azure Virtual Desktop上のWindows 10: クラウドPCとして動かしているWindows 10は、追加費用なしでESUを受け取れる。自社のPCではなくクラウド上でWindows 10を使っているなら、別途購入は不要である
- 含まれる内容は限定的: 重要・緊急度の高いセキュリティ更新のみ。新機能、セキュリティ以外の不具合修正、技術サポートは含まれない
判断基準:2年目を買うPCと、買わずに入れ替えるPC
PCごとに「Windows 11へ移れるか」「いつまでに入れ替えられるか」を分けて考えると、判断がぶれない。以下は、会社のPCの棚卸し結果を当てはめるための早見表である。
| PCの状況 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 購入から5年以上、またはWindows 11の要件を満たさない | 買い替え | ESUに払う金額が、買い替え費用の一部にあたる。延命しても性能と故障リスクの問題は残る |
| Windows 11へ移れるが、更新作業が追いついていない | 期限前にアップグレードか入れ替え | ESUを払うより、移行作業に時間をかけるほうが安い |
| 専用機器・古い業務ソフトの都合でWindows 10に縛られている | 2年目を購入して延命 | 後継の用意に時間が要る。期限(2027年10月)を決めて並行準備する |
| 1年以内に入れ替え予定が確定している | 2年目を購入 | 数か月分のために買い替えを急ぐより、計画に合わせるほうが安い |
| ほとんど使っていない・共用の予備機 | 廃棄または用途の見直し | 使っていないPCに更新費用を払う意味は薄い |

費用の比較:ESU 2年分と買い替えのどちらが安いか
1台あたりで、ESUの累計と買い替えを比べてみる。ESUの1年目と2年目の合計は$183(約27,450円、1ドル=150円の目安)で、3年目まで続けると$427(約64,050円)になる。一方、法人向けノートPC(標準クラス)は本体12〜18万円が目安で、キッティングなどの作業費が別にかかる。詳しい価格帯や調達方法は会社のパソコンはいつ買い替えるべきかにまとめた。
数字だけを見ると、ESUは買い替えよりずっと安い。だが、これは「移行先がある前提」の比較である。ESUを払っても、PCは古くなり続け、3年目の価格は2年目の2倍になり、2028年10月以降はもう延命できない。ESUは買い替え費用を減らす制度ではなく、買い替えの時期をずらす制度と捉えたほうが正確である。次のように考えると整理しやすい。
- 残り使用予定が1年未満: ESU 2年目を買うほうが、前倒しで新品を買うより安く済む
- 残り使用予定が2年以上: ESU 2〜3年目の合計(累計$427)より、買い替えで新しい保証と性能を得るほうが長期的に有利になりやすい
- 古くて故障しやすい5年超のPC: ESU費用を払っても、故障したときの業務停止や復旧の手間は減らない
- 専用機器がつながるPC: 買い替えより先に、機器側の対応OSや後継機をメーカーに確認する
Windows 10を使い続けるリスク:ESUなしの場合
ESUを買わずに2026年10月以降もWindows 10を使い続けても、PCが突然使えなくなるわけではない。問題は、新しく見つかった脆弱性に対する修正が届かなくなり、穴がふさがれないまま日々の業務を続ける状態になることである。
- ランサムウェアなどの被害: 古いOSの未修正の脆弱性は、攻撃者が狙いやすい入口になる。業務データが暗号化されれば、復旧までの業務停止と、復旧費用・対応工数が発生する
- 取引先のセキュリティチェックシート: 取引先からの調査票に「サポート切れのOSを使っていないか」という項目があることは多い。回答できない、または「使っている」と答えると、取引条件に影響する可能性がある
- サイバー保険の条件: 保険会社によっては、サポート切れのOSの利用が加入条件や支払いに影響する場合がある。契約書の約款を確認しておきたい
- 社内の他の端末への波及: 1台の感染が、社内ネットワークを通じて他のPCやサーバーに広がることがある
- ソフトの対応終了: 時間がたつほど、ブラウザーや業務ソフトがWindows 10への対応を打ち切り、使えなくなる場面が増える
ESUは完全な安全を保証するものではないが、少なくとも既知の重大な脆弱性への対応は続く。逆に言えば、ESUも買わず、入れ替えもしないPCは、会社のネットワークの中でもっとも弱い場所になる。この対策は、IT資産管理の始め方にあるような、どのPCがどのOSで動いているかを把握することから始まる。
移行計画の進め方:7つのステップ
2年目のESU期間は約1年である。この期間を「延命して終わり」にせず、計画的に入れ替えを進める流れを示す。IT担当者が兼任の会社でも、次の順に進めれば無理がない。
1. Windows 10のPCを棚卸しする: 台数、購入年、メーカー・型番、使っている人、設置場所を表にする。ここが抜けると予算もESUの購入台数も決まらない
2. Windows 11に移れるか確認する: Microsoftの「PC正常性チェック」アプリで、各PCが要件を満たすか確認する。満たさないPCは買い替え候補になる
3. 古い業務ソフトと専用機器を洗い出す: Windows 11で動くか、ソフトメーカーや機器メーカーに確認する。対応できないものが、ESUを買う理由になる
4. PCを3つに分類する: 「アップグレード可能」「買い替え」「ESUで延命」に仕分け、延命するPCには終了予定日を書く
5. 予算を組む: 買い替え費用、ESU費用、キッティング(初期設定)費用に分けて見積る。費用感はPCキッティングの費用を参照
6. 段階的に入れ替える: 一度に全台を入れ替えず、故障しやすい古いPCから順に進める。繁忙期を避け、月ごとの台数を決める
7. データ移行と旧PCの処分を行う: 必要なデータの移行、バックアップ、旧PCのデータ消去と廃棄までを1台ずつ記録する
ESU 2年目の購入前チェックリスト
- 対象PCのWindows 10が22H2になっている
- 1年目のESUを購入済みか、未購入なら1年目分も必要なことを理解している
- 購入台数が、本当に延命が必要なPCだけに絞られている
- 見積りは円建てで取り、為替レートと有効期限を確認した
- 購入先(ボリュームライセンス販売店やCSP)と、ライセンスの管理方法を決めた
- 延命するPCごとに、いつまでに後継へ移すかを決めた(2027年10月が1つの区切り)
- 取引先や保険会社から、OSのサポート状況に関する要求がないか確認した
- ESUを買わないPCは、使用を停止するか、ネットワークから切り離すかを決めた
よくある失敗
- 全台にESUを買う: 入れ替えるべきPCにまで払ってしまい、費用が膨らむ
- 1年目を飛ばして2年目から始められると思い込む: ESUは累積型で、2年目だけの購入はできない
- 期限切れに気づかない: 自動更新されないため、2026年10月を過ぎてから慌てる
- 台数を数えていない: 使っていない予備機や、退職者のPCが残っていて、棚卸しの数と合わない
- 延命の終了日を決めない: 気づけば3年目の$244を払い、最終期限の2028年10月に追い込まれる
よくある質問
Windows 10 ESUの2年目はいくらですか?
法人向けの定価は1台あたり$122(目安)です。1年目の$61が毎年2倍になるルールから算出した金額で、円建ての価格は販売店や為替レートによって変わります。購入前に見積りを取ってください。
ESUの1年目を買っていない場合、2年目だけ購入できますか?
できません。ESUは累積型で、1年目を飛ばして2年目だけを買うことはできないため、今から始める場合は1年目と2年目の合計である1台あたり$183が必要です。
2026年10月以降、ESUを買わずにWindows 10を使い続けるとどうなりますか?
PCは動き続けますが、新しく見つかった脆弱性の修正が届かなくなります。ランサムウェアなどの被害を受けやすくなるほか、取引先のセキュリティチェックやサイバー保険の条件で不利になる場合があります。
Windows 10をクラウドPCで使っている場合もESUの購入が必要ですか?
Windows 365やAzure Virtual Desktop上で動かしているWindows 10は、追加費用なしでESUを受け取れます。自社のPC上で動かしている場合は購入が必要です。
まとめ
ESU 2年目は、Windows 11へ移れない事情があるPCを期限付きで守るための制度であり、全台に買う前提のものではない。1台あたり$122(目安)、累計では$183、3年目まで続けると$427になる。まずは棚卸しとPC正常性チェックで台数を確定させ、買い替えるPC、延命するPC、廃棄するPCに分けるところから始めたい。延命するPCには必ず終了日を設け、2028年10月の最終期限に追い込まれない計画にしておくことが重要である。
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