MiniMax M3.1 Flash 必要スペック早見表
428B MoEは4bitで約250GB、Mac 512GBかGPU 4枚構成【2026年版】
MiniMax M3.1 Flash(428B・活性23B)は4bitで重み約250GB、必要メモリは260〜300GB。メモリ512GBのMacかGPU4枚が前提。量子化別サイズ、100万トークンのKVキャッシュ約35GB、API料金、ライセンスの注意点、動かし方まで詳しく解説。2026年10月更新。
MiniMax M3.1 Flash は、MiniMax が公開した総428B・活性約23BのマルチモーダルMoEモデルで、4bit(NVFP4)の重みは約250GB、動かすのに必要なメモリは KVキャッシュ込みで約260〜300GBが目安。 24GBや32GBのGPU1枚、64GBのMacでは動かせず、メモリ512GBのMac Studio(M3 Ultra)か、96GB級GPUを4枚そろえたサーバーが現実的なラインになる。ローカルにこだわらないなら、公式APIは入力100万トークンあたり$0.15、出力$0.60と安く、個人の試用はAPIで足りる。
MiniMax M3.1 Flash は2026年10月19日にサービスとして先行提供され、10月23日にHugging Face(MiniMaxAI/MiniMax-M3.1-Flash)とModelScopeで重みが公開された。公開当日からvLLMが対応している。開発中は「Space Bunny」というコードネームで予告されていた。本記事では、公開されたファイルサイズと公式の数値から必要スペックを整理し、公式が示していない部分は当サイトの推定として明記する。ベンチマークの多くは開発元の公表値である点にも注意してほしい(2026年10月24日時点)。
必要スペック早見表
| 精度・量子化 | 重みのサイズ | 必要メモリの目安 | 載せ方の例 |
|---|---|---|---|
| BF16(参考・非配布) | 約856GB(推定) | 約900GB以上 | H200×8(1,128GB)クラス。個人では非現実的 |
| FP8 | 約430GB超(推定) | 約450〜500GB | 8×H100 80GB(640GB)、512GB Mac(短いコンテキスト) |
| 公式配布 NVFP4(4bit) | 252.4GB(リポジトリ実測。うちDSparkドラフター2.3GB) | 約260〜300GB | 512GB Mac、RTX PRO 6000(96GB)×4、B300×4 |
| 3bit級GGUF(推定) | 約170〜190GB | 約190〜220GB | 256GB Mac(短いコンテキスト)、96GB GPU×3 |
| 2bit級GGUF(推定) | 約125〜140GB | 約140〜170GB | 192GB Mac、メモリ192GB級のワークステーション |
手元のGPU・Macで動くかをすぐ確かめたい場合は、モデル・量子化・コンテキスト長を選ぶだけで必要VRAMを試算できるVRAM計算ツール(無料・登録不要)も用意している。MiniMax M3.1 Flashもモデル一覧から選択できる。
表のうち、252.4GB(リポジトリ)と250.1GB(vLLM向けNVFP4チェックポイント)は公式の値で、BF16・FP8・3bit・2bitは総パラメータ428Bから当サイトが算出した推定値である(BF16=2バイト、FP8=1バイト、3bit級≒3.5bit、2bit級≒2.7bit換算)。「必要メモリの目安」はこれにKVキャッシュと実行時バッファの余裕を足したもので、公式が示した数字ではない。公式は個人向けGPUの必要スペックを公表していない。
モデルの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総パラメータ | 428B(公式値) |
| 活性パラメータ | 約23B/トークン(MoE) |
| 入力 | テキスト・画像・動画(ネイティブマルチモーダル) |
| 出力 | テキスト |
| コンテキスト長 | 最大1,000,000トークン |
| 最大出力 | 524,288トークン |
| 注意機構 | MiniMax Sparse Attention(MSA) |
| 推論の高速化 | DSpark投機的デコード(2.3GBのドラフトヘッド同梱) |
| ライセンス | MiniMax Community License |
| 重みの配布先 | Hugging Face、ModelScope |
活性が約23Bなので、1トークンあたりの計算量は20B級のモデルに近い。ただし、どのエキスパートが選ばれるかはトークンごとに変わるため、428B分の重みはすべてメモリ上に置く必要がある。「活性23Bだから軽い」のは生成速度の話で、必要メモリは428B級のままだ。
Hugging Face表示の「220B」と公式の428Bが食い違う理由
Hugging Faceのsafetensorsメタデータでは、パラメータ数が約220Bと表示される。公式の数値は428Bで、約2倍の差がある。これは、4bit(NVFP4)の重みが8bit整数(U8)に2要素ずつ詰め込まれて保存されており、ビューアがその詰め込み後の要素数をそのまま数えているためとみられる。実際、重みのファイルサイズ(約252GB)は、428Bを4bit前後で持った場合の計算(約214GB+スケール値や高精度で残した層)と矛盾しない。メモリ見積もりでは、表示の220Bではなく公式の428Bを基準にすること。
同じ現象は他のモデルでもよく見られる。たとえばDeepSeek V4.1 Flash の必要スペック記事でも、資料によって総パラメータ数が食い違う話を扱っている。モデルページの数字だけで判断せず、リポジトリの実ファイルサイズを必ず確認する習慣をつけたい。
NVFP4と量子化認識学習(QAT)
M3.1 Flashは、完成したモデルを後から4bitに削るのではなく、学習の段階から低精度で動くことを前提に鍛える量子化認識学習(QAT)で作られている。公開情報によると、ルーティング対象のエキスパートとスパース注意のKV経路はNVFP4、共有エキスパートはMXFP8、クエリ経路はFP8で学習された。精度を落としても性能が崩れにくい部分だけを4bitにし、重要な部分は8bitに残す混在構成である。
結果として、前世代のMiniMax M3(MXFP8)が451.5GBだったのに対し、vLLM向けNVFP4チェックポイントは250.1GBと44.6%小さい。公式配布の形がすでに4bitなので、「さらに小さい量子化に落とす」場合は、コミュニティ製のGGUFなどに頼ることになる。HF上には約25種のコミュニティ量子化版が並んでいるが、品質の検証はまだ十分とはいえない。
KVキャッシュと100万トークンのメモリ
長いコンテキストを使うときに効いてくるのがKVキャッシュだ。公式の数値では、M3.1 Flashは1トークンあたり34,560バイトで、M3の61,440バイトより43.75%小さい。ここから当サイトで計算すると、次のようになる。
| コンテキスト長 | KVキャッシュ(M3.1 Flash) | 参考: M3(61,440B/トークン) |
|---|---|---|
| 32K(32,000トークン) | 約1.1GB | 約2.0GB |
| 128K(128,000トークン) | 約4.4GB | 約7.9GB |
| 256K(256,000トークン) | 約8.8GB | 約15.7GB |
| 1M(1,000,000トークン) | 約34.6GB | 約61.4GB |
この表は1リクエスト分の値で、同時リクエストが増えれば比例して増える。4×B300(公式の報告)で256Kトークンの系列を76本同時に処理できたとされているのは、重みを4bitに圧縮したうえで、KVキャッシュも小さくなったためだ(M3では28本)。個人利用で1本だけ処理するなら、256Kまでは重みの250GBに対して9GB前後の上乗せで済み、1Mでも約35GBである。ただし、画像や動画を入れると入力トークンが急に増える点には注意が必要だ。
Apple Siliconで動かす(Mac Studio M3 Ultra)
ユニファイドメモリのMacは、GPUメモリの壁を気にせず巨大なMoEを載せられる点が強い。M3.1 Flashの4bitは約250GBなので、メモリ512GBのMac Studio(M3 Ultra)なら、重みとKVキャッシュ、OSの分を含めても余裕をもって載る。256GBのMacは、4bitの重みだけでほぼ上限になり、macOSとKVキャッシュの余裕が残らないため、3bit級(約170〜190GB)に下げて、コンテキストも短くするのが現実的だ。128GB以下のMacは、2bit級でも厳しい。
なお、Mac向けの実行環境は、公開直後の時点では整っていない。公式が推奨する推論エンジンはSGLang、vLLM、TokenSpeedで、いずれもNVIDIA・AMDのサーバー向けが中心だ。TransformersやKTransformers、unslothへの対応は「進行中」とされ、llama.cppも公式の推奨には入っていない。MLX形式やGGUFでの動作は、コミュニティ製の量子化版を自分で検証する前提になる。
NVIDIA GPUのマルチGPU構成
- B300×4(公式の報告構成): 256K系列を76本同時処理。サーバー向けで、個人調達の対象外
- RTX PRO 6000(96GB)×4=384GB: 4bit(約250GB)を載せたうえで、KVキャッシュに約130GBの余裕。ワークステーション級で、この記事の中では個人・小規模チームが手を出せる数少ないNVIDIA構成
- H100 80GB×8=640GB: FP8(約430GB超)も載せられる、昔ながらのサーバー構成
- H200×8=1,128GB: BF16(約856GB)まで載せたい場合の構成
- RTX 5090(32GB)や4090(24GB)の単枚: 重みが桁違いに大きく、載らない。複数枚を束ねても、24GB×8=192GBでは4bitが入らない
GPUを複数枚束ねる場合は、PCIe接続だとGPU間の通信が遅くなり、MoEのエキスパートを複数GPUに分散するときに速度が落ちやすい。NVLink付きのサーバー向けGPUのほうが、同じメモリ容量でも速度の面で有利だ。公式がGB300、Rubin、AMD MI355Xでも動作を確認しているのは、こうしたデータセンター向けの構成が主な想定だからだ。
CPUとRAMを使うオフロード構成
GPUのメモリが足りない場合は、エキスパートの重みをCPU側のRAMに置き、アクティブなものだけをGPUで処理する方法がある。KTransformersなどが得意とする方式で、メモリ256〜512GBのDDR5を積んだワークステーションに、24〜48GBのGPUを1枚組み合わせる構成が想定される。ただし、M3.1 FlashへのKTransformersの対応は公開時点では「進行中」で、まだ使えるとはいえない。対応が整った後も、速度はRAMの帯域に縛られ、サーバーのGPUで動かした場合よりずっと遅くなる点は覚悟しておきたい。
予算別の推奨構成
| 予算感 | 構成 | 現実的な使い方 |
|---|---|---|
| 24〜32GBのGPU1枚 | 載らない | APIを使う。ローカルで試したいなら小型のRecursive Flintのような40B級を選ぶ |
| 64〜128GBのMac | 2bit級でも厳しい | APIを使う |
| メモリ256GBのMac | 3bit級GGUF+短いコンテキスト | 試用。品質低下の程度は自分で確認する |
| メモリ512GBのMac Studio(M3 Ultra) | 4bit(約250GB)+余裕のあるコンテキスト | 個人の常用。公開直後は実行環境の整備待ち |
| RTX PRO 6000(96GB)×4 | 4bit(vLLM/SGLang) | 小規模チームの自社サーバー |
| H100×8/B300×4 | FP8〜4bit、同時多数 | 業務利用・多人数向け |
APIとセルフホストの費用比較
公式APIの料金は、入力100万トークンあたり$0.15、出力$0.60、キャッシュ入力$0.015で、長いコンテキストの追加料金はない。OpenRouterでは入力$0.10、出力$0.50と報じられているなど、提供元によって価格は異なる。Together AIもサーバーレスのエンドポイントを用意している。たとえば、月に入力1億トークン、出力2,000万トークンを使った場合の目安は、$0.15×100+$0.60×20=$27(約4千円前後)だ。
注意点は、M3.1 Flashが推論(reasoning)を切れないモデルだという点だ。チャットテンプレートでは推論の強さを low/medium/high/xhigh/max から選べるが、オフにはできず、未指定ならmaxになる。推論トークンは出力として課金されるため、短い質問でも出力が想定より膨らむことがある。まずは low で試して、コストを確認するとよい。
セルフホストは、機材の購入費や電気代、運用の手間を考えると、月$27のようなAPI利用量に見合う損益分岐点は現実的には来ない。ローカルで動かす意味があるのは、機密性の高いデータを外に出せない場合、大量のトークンを常時処理する場合、あるいはモデルを検証・改造したい場合に限られる。
ライセンスの注意点
M3.1 FlashはMiniMax Community Licenseで公開されている。商用利用は認められるが、「Built with MiniMax M3」という表記が求められる。年間売上が2,000万米ドル以下の場合は、1回限りのメールでの通知が必要で、2,000万米ドルを超える場合は事前の書面による許可が必要になる。OSI基準のオープンソースではなく、同じ時期に出たDeepSeek V4.1 Flash(MITライセンス)とは条件が大きく異なる。商用で組み込む場合は、配布ページのLICENSE全文を必ず確認してほしい。
動かし方(vLLM・SGLang・Docker)
- vLLM: vllm serve MiniMaxAI/MiniMax-M3.1-Flash でOpenAI互換のサーバーが立ち上がる。公開当日から対応
- SGLang: Dockerイメージ lmsysorg/sglang:latest を使い、--shm-size 32g を付けて起動する
- TokenSpeed: 公式が推奨する推論エンジンの一つ
- Docker Model Runner: docker model run hf.co/MiniMaxAI/MiniMax-M3.1-Flash
- Transformers・KTransformers・unsloth: 対応は進行中
- llama.cpp: 公式推奨には入っていない。コミュニティ製GGUFを使う場合は自己責任
推奨のサンプリング設定は temperature 1.0、top_p 0.95。推論の強さはチャットテンプレートで指定する。DSpark投機的デコードのドラフトヘッド(2.3GB)はリポジトリに同梱されているので、対応するエンジンでは速度向上に使える。複数GPUで動かす場合は、エンジン側のテンソル並列の設定をGPU枚数に合わせること。
ベンチマークと注意点
| ベンチマーク | スコア | 備考 |
|---|---|---|
| DeepSWE v1.1 | 73.7 | 開発元公表値 |
| OSWorld 2.0 | 61.7 | 開発元公表値 |
| Terminal Bench 4.0 | 38.1 | 開発元公表値 |
| Automation-Bench | 62.8 | 開発元公表値 |
| BankerToolBench | 76.2 | 開発元公表値 |
| CyberGym | 82.2 | 開発元公表値 |
| HLE(ツールなし) | 43.4 | 開発元公表値 |
| Vals Index | 53.78% | 第三者 |
| AA-Omniscience ハルシネーション率 | 93% | 第三者(Artificial Analysis)。注意が必要 |
上の表のうち、開発元公表値は自己申告で、独立した再現は少ない。第三者のArtificial AnalysisによるAA-Omniscienceでは、ハルシネーション率が93%と報告されている。これは「知らない質問に誤って答えてしまう割合」を測る指標で、高い数字は、わからないときにわからないと答えにくい傾向を示す。事実確認が重要な用途では、検索や社内文書を併用し、出力を検証する前提で使いたい。
他モデルとの比較
| モデル | 規模 | 重み(目安) | ライセンス | 主な入口 |
|---|---|---|---|---|
| MiniMax M3.1 Flash | 428B/活性約23B | 約250GB(NVFP4) | MiniMax Community License | 512GB Mac、96GB GPU×4 |
| MiniMax M3 | 前世代 | 451.5GB(MXFP8) | 未確認 | 8×B200(公式の参照構成) |
| DeepSeek V4.1 Flash | 763B(表示。資料により552B) | 約510GB(公式配布) | MIT | H200×8、512GB級Mac(4bit級で約430GB) |
| Kimi K3 | 2.8T MoE | 約1.4TB(MXFP4) | 修正MIT系と報じられている | 大規模クラスタ前提 |
| Recursive Flint | 40B/活性約2.5B | 4bitで約23〜26GB | Apache 2.0 | 24〜32GBのGPU、48GBのMac |
同じ「オープンウェイトの大型MoE」でも、M3.1 Flashは重みがDeepSeek V4.1 Flashの約半分で、Kimi K3の数分の一に収まる。個人が手を出せるぎりぎりの上限に近い。関連する記事は、DeepSeek V4.1 Flash の必要スペック、Kimi K3 オープンウェイトのセルフホスト、前々世代にあたるMiniMax M2.5にまとめている。手元の1枚のGPUで動かしたいなら、Recursive Flint の必要スペックのような小型モデルが現実的な代替になる。
トラブルシューティング
- メモリ不足(OOM): コンテキスト長と同時リクエスト数を下げる、--max-model-len を小さくする、GPU枚数を増やす、の順で試す。KVキャッシュは1Mトークンで約35GBに達する
- モデルが読み込めない: vLLMやSGLangのバージョンが古い可能性がある。公開当日から対応したのは最新版なので、まず更新する
- Dockerで共有メモリ不足: SGLangでは --shm-size 32g が必要
- 出力が遅い・トークンが多い: 推論の強さが未指定でmaxになっている。low/mediumに下げる
- 品質が落ちた: コミュニティ製の2〜3bit量子化は、検証が不十分。公式のNVFP4と比べて確認する
- 画像・動画を入れたらメモリが急増: 入力トークンが増えるぶんKVキャッシュも増える。解像度やフレーム数を減らす
よくある質問
MiniMax M3.1 Flash を動かすのに必要なメモリはいくつですか。
公式配布のNVFP4(4bit)の重みは約252GBで、KVキャッシュや実行時の余裕を含めると260〜300GBが目安です。3bit級では約190〜220GB、2bit級では約140〜170GBという推定ですが、これらは当サイトの試算で、公式の数字ではありません。
RTX 4090や5090で動きますか。
1枚では動きません。24GBや32GBに対して、重みだけで約250GBあるためです。GPUを複数枚束ねても、24GB×8=192GBでは4bitが入りません。ローカルで試したいなら、より小型のモデルを選ぶか、APIを使うのが現実的です。
Mac Studioで動かせますか。
メモリ512GBのM3 Ultra搭載Mac Studioなら、4bitの重み(約250GB)とKVキャッシュが載る計算です。256GBでは3bit級以下かつ短いコンテキストになります。ただし公開直後はMac向けの実行環境が未整備で、コミュニティ製の量子化版を自分で検証する必要があります。
なぜHugging Faceでは220Bと表示されるのですか。
公式の総パラメータ数は428Bです。4bit(NVFP4)の重みが8bit整数に2要素ずつ詰めて保存されていて、表示がその要素数を数えているため、約半分の220Bに見えているとみられます。メモリの見積もりは428Bを基準にしてください。
商用で使えますか。
MiniMax Community Licenseの下で商用利用は可能です。ただし「Built with MiniMax M3」の表記が必要で、年間売上が2,000万米ドル以下なら1回限りのメール通知、超える場合は事前の書面許可が必要です。MITのような制限のないライセンスではないので、LICENSE全文の確認をお勧めします。
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